【第四頁】二人の女パーティ
「おおおま、おま、お前ぇぇぇぇ!!!」
「煩い。店主、それでどうなんだ?」
「またお主か【孤独な大盾】。お主は優秀なんだろうが、余りにも注文が多いと方々からクレームが頻発しておるぞ」
「異名カッケェェ!! 俺は!? 俺のは!?」
「軟弱者共にこそ問題があるんだ。俺は何も間違った事は言っていない」
「そういう所じゃて」
「俺の異名なんかないの!?!?」
「黙れ」
「ぐぬぬ……」
トーナメント大会の予選ぶりの再会、しかして互いがそれを望んでいたかと言えばそんな訳も無く、リック少年からすれば倒すべき敵の一人が目の前に現れたくらいの感覚であった。
また一方でディープス青年の方はと言えば、自身の自慢の盾であった【エアシールド】を破られ、その顔に泥を塗った宿敵といった程度の認識である。
互いが互いを敵と認識しての再会。その出会いは最悪と言って差し支えは無いだろう。
そんな二人が店主に話し掛けている最中、三度酒場の扉が開かれ、四人の面々が新たに店内へと入って来た。
「なぁラズリよぉ、そんな訳だからそろそろ俺たちとパーティを組もうぜ?」
「一時的であれば私は構わないのだけど、この子がねぇ」
「嫌」
「って言うのよ」
「そうは言ってくれるが、俺たちもアレから強くなったんだぜ?」
「おうともさ! だからな? そろそろ良いだろ?」
その四人は二人二人の二組だった様で、その分かれ方は男女でも二分されていた。つまり男二人組と、女二人組が店内へと入って来たのだ。
「そう言われてもねぇ、その言葉をどう受け取れば良いのやら……あら? 店長、その二人は?」
「なんじゃ今日は変な客が多いな。お主は……【北方の魔女】じゃな。此奴らは今しがたパーティを募集に来た問題児どもじゃよ」
「へぇ、見ない顔ね。面白そう」
「ほ、北方の魔女な……お姉様」
僅かに目を凝らしてリックとディープスを見つめる魔法使いらしき女。彼女はリックの身体とディープスの魔力を注視した後に、ツカツカと緩やかに歩みを進める。
そしてリックの目の前までくると腰を軽く曲げ、リックと同じ目線となる様高さを合わせる。当然、胸の谷間が信じられない程に強調される。そんな彼女の動作だけで動悸が激しくなり下半身に血液を集める童貞少年のリック。
「君、ポジションは?」
「ぜぜ前衛、木の棒一本あれば戦えるッス」
顔を真っ赤にし、耳の先まで茹で上がった少年リック。そして彼の言葉を受けた彼女はそのまま顔を上げ、今度はディープスと向き合った。
「ふぅん、素敵ね。で、お兄さんは?」
「ヒーラー兼バッファー、援護系魔法師だ」
「お誂え向きな面々って訳ね」
その長い髪に指を通し、フワリと整え直した魅惑の女。その瞬間周囲にとてつもない性の匂いが撒き散らされ、リック少年の海綿体はその硬度をマックスにまで押し上げる。
「私の名はフェラティゴール・ズリペェヒュージブリーツ。長いからラズリって呼んで」
「ら、ラズリ、お姉さん……」
目を血走らせ、ゴクリと生唾を飲み込んだリック。だがそれもまた致し方無し。童貞少年にとって、彼女の出立は性的に刺激が強過ぎるのだ。
燃える様な赤い髪は腰元まで流れており、リック少年がこれまでに経験したどの匂いよりも刺激的な大人のフェロモンを分泌する女魔法師。そして彼女の美しい頭頂部には魔法師らしい黒い帽子が添えられていた。また白シャツの様な衣服の胸元は大きく露わとなっており、局部こそ隠されているものの、その殆どかおっぴろげ状態となっている。その上から魔法師らしい黒いコートを羽織るという、魔物師と言うには余りに大胆な上半身のコーディネートをしていた。また彼女のバストサイズは爆乳と言わざるを得ない程に大きい為、その迫力は凄まじいを超えてリック少年が「あれが神乳と呼ばれる存在か」と内心で呟かざるを得ないレベルを誇っていた。
また強く引き締まったウエストからハジケる様に大きな尻が携えられており、それを覆う様に短めのスカートが軽くヒラヒラと巻かれているのだが、それがフワリと揺れる度に内部へと期待度が昂まり、その溢れんばかりのエロスを更に強調している。また脚はスラリと長く、太腿の中程まで伸びた黒の靴下に覆われており、僅かに見える太腿の肌色が下着への期待度を高め、これまた男連中の視線を釘付けにしていた。
ざっと見積もっても身長は170センチ程だろうか。
150センチそこそこのリックからすれば、視線の先には爆乳が惜しげもなく存在しており、彼は顔を真っ赤にしながら視線と下半身のポジションのやり場に困っていた。
「おいラズリ、何の話だ?」
「貴方は少し黙ってなさい?」
「チッ」
彼女の連れと思しきスキンヘッドの男は舌打ちをしながらテーブルへ着くと、店主から酒を受け取りそれを煽り始める。同様にパーティメンバーらしき髭面の男も同じテーブルに着くと、店主へと酒を要求していた。
「ねぇ、私たち今行きたいクエストがあって、臨時でパーティメンバーを募集しているの」
「へぇ。お前、ポジションは?」
「私は攻撃系魔法師、そしてこっちの子がレンジャーのティティよ」
「……」
「腕は立つのか?」
「分からない?」
「いや、かなり出来そうではあるな」
「ありがと」
ジト目でディープスを見つめる少女、彼女こそがラズリのパーティメンバーであるティニー・ティーン。ラズリからはティティという愛称で呼ばれている見た目幼い少女である。
その様相は10代前半のそれであるが実年齢は不明、少なくともラズリより年上であるらしい。胸は小さく、サイズで言うならAAと称すべき見た目をしており、身長も140センチ程とリックを下回る小柄な背丈をしていた。
黒のニット帽子を深く被っている為髪型や髪の長さ、更には色までもが確認出来ず、服装は動きやすそうなレンジャー仕様の物を着用しており、腕と脚は密着度の高い黒の生地で覆われている。その上更に手袋まで着用しているという徹底して肌の露出を避けたコーディネートとなっており、見える肌色は顔の付近の僅かのみと、エロスとは程遠い見た目をしていた。
だがその小ぶりな尻は短パンに覆われており、見えない肌の存在と身体全体の小ささも相まって、どこか【背徳感】をを思わせる様相をしているが、傍目には性別の判断もつかない程に情報の少ない形をしていた。
「そんなかなり出来そうな私達からの提案なんだけど。貴方たち、あの二人と戦ってみない?」
「は?」
「え、えぇぇぇぇぇぇ!!?!!?」
リックとディープス。
未だ一切の親交を深めていない二人の前に、突如として現れたラズリとティティ。その二人から、思いもよらぬ提案を持ち掛けられたのだった。