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【第十四頁】ダンジョンとは

「ほげっ!?」

「何故顔面から飛び込んで来た?」


 ダンジョン内部、それは通路とフロアと階層から成立した場であり、内装に関してはそのダンジョンボスに依存した装いをしている場合が最もメジャーであった。


 探索はフロアからフロアへと通路を介して移動する事で為され、下層へと繋がる階段が存在するフロアを見つけるまでこれが繰り返される。4度に渡って階段を見つけ、五階層目に辿り着いた時点でボスフロアへと導かれる構造となっており、それを討伐した時点で出口への扉が開かれる。


 ダンジョン内部の魔物は撃破の時点を以って魔素となって霧散し、稀にドロップと呼ばれるアイテムを落としていく事もある為、これが冒険者達の報酬となっていた。


 特にダンジョンボスは必ずドロップする事が確認されており、そのダンジョン内での最高レアリティの物が取得出来る最大の好機であり、これを求めて冒険者達はダンジョンへと立ち入るのだ。


 常に階層がランダムに形成される為、探索に掛かる時間はまちまちであり、場合によっては階層全てを探索しなければ階段を見つけられない事もあり、探索速度は主に冒険者達の運に依存していた。


「イテテテ……あれ? ここは?」

「フロアだ。中にいた魔物は既に処理されている」

「えっ! 魔物がいたの!?」


 フロアは狭い場所でも60平米はあり、広いければ壁が見えない程となる場合も稀に見られ、入るまでは分からないという多種多様な構えとなっていた。またフロアで発生した魔物は通路を通って移動しており、稀に通路での遭遇戦も起こる為、基本的に先頭を歩くのは前衛の役割であったのだが。


「私が先頭かしら」

「いや、脳筋チビに行かせる」

「スパルタだなおい!? でもお姉様を危険に曝す訳にはいかないからね、俺で良かったらやらせてよ!」

「お前の損失が一番軽微だからな」

「それ言わなくて良かったくない!?」

「案ずるな、お前の後は俺が歩く。俺が居て俺の後ろにいるメンバーが死ぬ事は無いから安心しろ」

「おぉ頼もしい! ……ってそれ俺は範囲外じゃね?」


 リック、ディープス、ラズリ、ティティの順番で通路の移動を始めた一行だったが数分の後、リックが何かを見つけ声を上げた。


「あれ多分次のフロアだ」

「よし、俺が退がる。ティティは前を頼む」


 さも当然の様にティティに労働を要求したディープスに、ギョッとした表情を見せるリック。彼は未だにティティへの取っ掛かりを見つけられずにいたのだが、事も無げにティティへ話し掛けたディープスを、羨ましい様な恐ろしい様な目でジロジロと見ていた。


 そして頼まれたティティはコクッと小さく頷くと、全員の隣を通り抜けて先頭へと移動する。


「罠は無い。恐らく最初の戦闘まで10秒」

「それだけ時間があるなら私かしらね」

「ん」


 地面に手を着き、フロアの様子を確認するティティ。

 彼女は自身から離れた場所の魔力を探知したり操作する事に長けた優秀なレンジャーであった。しかしながら彼女をして、ダンジョン内でのフィールドメイクは行使出来ず、飽くまでも探知による予測で状況を支援していた。


 だがこの【10秒】が予め知れるという事は、パーティに取ってこの上なく大きいメリットだと言えるだろう。


「多分右側」

「ふふ、そこまで貰えたなら後は簡単ね」


 四人は大杖を構えたラズリを先頭に、フロアに足を踏み入れた。そしてー


魔力真空波(プロトラクター)

「ヒギャッ!?!?」


 フロアに入ったのと同時に杖から高速の斬撃を飛ばしたラズリ。その攻撃が右奥にいた魔物に直撃し、見事に縦二つに切断する。そしてその隣にいたもう一体の魔物がこちらに向けて動こうとした瞬間にー


「おらぁぁぁぁせいっ!!」

「グォッ!!?」


 ラズリの隣を素早く駆け抜けたリックが彼女へと爪を伸ばすレッサーグリズリーへと打撃攻撃を試み、それによって敵は壁面へと叩きつけられる。そしてー


「どりゃっ!!」

「グバッ!?!?」


 壁面へと追撃したリックの拳によってレッサーグリズリーは顔面を強打し、これを以ってフロアに居た二体はどちらも魔素朴となって霧散した。


「ナイスだよラズリお姉様!」


 敵を撃破したその場からサムズアップで功績を讃えるリックに対して、つい幼子が功を為したような喜びを覚えるラズリは、少し微笑みながら、以前から抱いていたある事を指摘する。


「様なんて止して頂戴。ラズリで良いわよ?」

「しょしょしょんなの無理でしゅぅぅぅぅ!!!」


 ラズリお姉様、などと仰々しく呼ばれる事に内心抵抗感のあった彼女は、良い機会だとその話題を取り上げる事に。


 この時リックは気付いていなかったが、これはパーティが短期に解散するならば必要のない処置であったのだが、ラズリが【リックの実力を認めた】事によって矯正の必要があると判断し、挙がった話題でもあったのだ。


「なら何でも良いから様なんてやめてなさい?」

「えええっと、そ、それなら……」


 モジモジとその場で頬を染めるリックはラズリと地面を交互に見ながら、返答を紡いだ。それはー


「ら、ラズ姐で……おねしゃす……」

「幾分かマシになったわね。それで良いわよ」

「はひぃぃぃ!」


 彼なりの精一杯の歩み寄りであり、この時のリックの心臓は爆発寸前レベルの心拍数を誇っていたと補足しておこう。

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