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点と点の懸け橋 1.5話

魔導研究部、研究員たちの会話。

 これはコージャイサンが出勤する前の話。

 マゼランが壁を壊した部屋の階下。室内を改造した撮影室の隣室には壁一面を骨の写真が飾っていた。シュールである。

 そこにひょっこりとファブリスが顔を出した。


「首席ー! オレの骨見ますー⁉︎ こっちが巨大化してる時のやつで、こっちが今撮ってきたやつ!」


「おお! やはり同じ部位で比較できるのはいいですな!」


「ねー! 何回も同じとこ切って医療棟行くより効率いいし、撮られるのも一瞬だから楽チンでしたよー」


 もう一人はまだ巨大化したままだが、一足早く元に戻ったマゼランがニコニコしながら答えている。

 ちなみに巨大化した骨をとった紙の方がやはり2.5倍大きい。


「他の透過撮影は順調ですかな?」


「はい。比較対象として研究員全員を撮りましたが……これいいですね。骨の状態も関節の特徴も分かりやすいです」


 こちらはまだ女体化したままのクロウ。写真を見ながら嬉しそうに報告すれば、ファブリスはしみじみと言った。


「いやー、イザンバ嬢は素晴らしいヒントを与えてくださった。またぜひお話ししたい」


「コージャイサンが嫌がるんじゃないですか? ここはトラブルが多いですし」


「では小生から会いに行けば……」


「コージャイサンは婚約者ちゃん大好きだから自分が居ない時に首席が近づくの嫌がると思いまーす」


「ひどい!」


 クロウとマゼランに続け様に無理と言われてファブリスはしょんぼりと肩を落とした。


「総大将から言われていた原因究明は終わったんですか?」


「終わりましたぞ。つい興が乗って変身薬も生成してしまいましたが」


「楽しくて徹夜したんですね。分かります」


 しかし徹夜した割にファブリスはツヤツヤしてる。それは抑え切れない好奇心のせいか、原因が分かった満足感のせいか。どちらにしても仕事は早いのだから誰も文句は言わない。疲れ? 高揚感の前では無力である。

 クロウが話を戻す。


「それで骨なんですけど、研究員は見た目が不健康な奴でも骨まではそうじゃなかったみたいです。みんな同じような感じで」


「それなら防衛局内で比較対象を捕まえてきたらいいのでは?」


「折れやすい骨がなさそうです」


 今彼らが求めているのは健康的な骨とは反対のもの。


「騎士とか頑丈の権化だもんな」

「筋肉と骨は違うだろ」

「魔術士団のおじいちゃんは? よくね?」

「よし。とりあえず全部捕まえてこよう」


 各自網や縄を用意し始めるが、虫取り網でどうやって騎士を捕まえるというのか。

 アイツらバカだな、なんて冷めた目をしたクロウは黙り込んだファブリスに気がついた。


「首席?」


「魔導研究部の予算から協力報酬を用意して骨は年齢性別問わず街中で捕まえるとして……これ、他にも使えそうですな」


「他?」


「波長を変えれば体内のあらゆるものを対象に出来るのでは。たとえば筋肉量や魔力量を対象にすれば。魔力の流れは感覚的なものでしか伝え方がなかった。それが可視化出来るとなると……」


 ぶつぶつと呟きながら可能性の気づきにファブリスは目を輝かせる。それはもうキラキラと。


「小生は部屋に篭る故、骨は任せましたぞ!」


「了解でーす」


 マゼランの返事を聞く前にファブリスは勢いよく走り出した。ああなったら止まらない事を研究員たちはよく知っている。

 クロウが呆れたように息を吐いた。


「あれはまた寝食忘れるな……仕方ない。食堂に配達頼んどくか」


 睡眠に関しては集中力が切れたら動力切れの魔導具のようにその辺でぱったり寝るだろう。

 早速食堂に行こうとクロウが足を動かした矢先。


「あ、オレの分もよろ〜」

「あたしも〜」

「私はヘルシーメニューね」

「こっちの三人分も追加で〜」


 口々に自分もというその数の多い事。クロウは思わず頭を掻く。


「あー、もう! 30分後に注文しに行くから欲しいやつはここに名前とメニュー書け!」


「はーい」


 魔導研究部は今日も今日とて各々がマイペースに仕事をしている。


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― 新着の感想 ―
[一言] クロウさん何時もお世話ご苦労様です 自由人のお世話大変でしょう でもその自由人の巣窟に居るのだからクロウさんもお仲間なんですよね
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