表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/39

happy birthday dear…… 1.5話

リアン、ジオーネ、ヴィーシャの会話。

 さて、イザンバから急遽コージャイサンのところに確認に行って欲しいと頼まれた三人。誰が行くかというところでリアンが手を上げた。


「ねぇ、僕が行ってもいい?」


「かまへんけどどないしたん?」


「うん、ちょっと……主に用があって」


 言い淀む彼にジオーネは不思議そうに首を傾げ、閃いた。


「何か任務に不都合があったか? はっ! もしや服がキツくなったか⁉︎」


「残念ながら変わらないよ」


「もしかして……兄君に告られたとか?」


「そんな事あるわけないでしょ!」


 ヴィーシャまでもがニンマリと揶揄うように笑う。どちらも違うとリアンが言えばまたジオーネが首を傾げた。


「じゃあ、なんだ?」


「あ、ペナルティの新しい衣装のことちゃう?」


「違うってば! 期限の事だよ!」


 リアンが濁した部分をハッキリとさせれば二人は「ああ」と納得の声を出す。

 ジオーネが尋ねた。


「リアンはどうするつもりなんだ?」


「まだ主が望む感情の制御には達していない気がするし……もう少し延ばしてもらえないか相談してみようと思って。…………許可、貰えると思う?」


 モノにしてみせる、と息巻いたがやはりそれは難しくて。成長を認められたが主人が望む期限までに達成できなかった事、それを延ばして欲しいと言うのは不敬ではないか。

 薄緑の瞳が不安に揺れる様はどこからどう見ても美少女だ。

 ヴィーシャは優しく微笑みかける。


「心配せんでもご主人様もお嬢様もお許しくださるわ。なぁ?」


「あたしもそう思う。人間やる気がある時が一番成長出来るものだしな」


「もしかしたらリアンがそういうのを待ってはるかもしれへんで」


「何だと⁉︎ ご主人様をお待たせするな! お嬢様からのお使いもある! リアン、走れ!」


 二人の言葉に、ジオーネの勢いに背を押されリアンはパッと顔を輝かせた。


「うん! じゃあ、行ってくるね!」


 言うや否やリアンは駆け出した。

 それを満足そうに見送っていたジオーネの隣でヴィーシャがボソリと一言。


「着替えさせんで良かったん?」


「あ……」


 まぁ彼の行き先は主人のところだ。懸念があるとしたらイルシーが揶揄い倒すことくらいだから美少女メイド姿でも大丈夫だろう。その時はファウストに任せよう。

 最年少の成長という名の著しい変化にヴィーシャは楽しげに顔を綻ばせる。


「ふふ、ご主人様はもちろんやけど、ほんまお嬢様にも敵わへんなぁ」


「そうだな。まだ自尊心の低いところも見られるが、お嬢様自身も変わってきている」


 ちゃんと努力をしている事が分かるから。彼女たちは見守り続ける。


「よぉあんな素直に育ってきはったもんやわ」


「兄君もな。ご主人様とは友人関係だそうだがなんというか、毒気が抜かれるというか」


「あれはお嬢様の男版やな。ご主人様が気を許さはるのも納得やわ」


 良く似た兄妹。その存在はどちらも主人にとって癒しとなっているのだろう。

 ヴィーシャの言葉に同意して、しかしジオーネが真剣な声音で言った。


「全くだ。ヴィーシャ、手を出すなよ」


「……なんなん、あんたらは同じ事言うて。ウチの事なんやと思てんの」


「何って男を誑かす悪女だろう?」


 その発言はジオーネの肩を強めに叩いた景気のいい音で相殺する。


「いたっ!」


「そない言われてウチ悲しいわ。あー、悲し。涙止まらへん」


 顔を伏せるヴィーシャに叩かれた肩をさすりながらジオーネは口を尖らせた。


「褒めたのに……そうやってすぐ泣ける所が悪女らしいじゃないか」


「褒め方勉強し直してきぃ」


 しくしくと流れた涙は瞬きの間に消え去って。アメジストがご機嫌斜めにそっぽを向いた。

 いくらヴィーシャと言えど主人の奥方の兄を誑かしたりはしない。


活動報告より少し手直ししてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] お兄様の登場は二人の結婚式ですか あの出会いの女の人は再登場あるのでしょうか ザナと話が合いそうです リアン君も成長著しいですよね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ