無自覚の誘惑 6.5話
ジオーネとヴィーシャのお着替え現場
主人とその婚約者が作った服一式を持って別室へ着替えに移ったジオーネとヴィーシャ。
早速ショートパンツを履き、コルセットから着用していくがなにせジオーネは初めて着るものだ。
背面の紐をヴィーシャに任せたところ、ゆったりと余裕のあった隙間が見る見るうちになくなっていく。
ギリギリと摩擦音をたてはじめたのは引っ張られ続ける紐か、それともその身と布地との摩擦か。
「ヴィーシャ……締め付けがキツいんだが」
締められるほどに強制的に伸ばされた背筋。ついに息苦しさを覚えたジオーネが文句を言った。
しかし、ヴィーシャはにっこりとそれはそれは綺麗な微笑みを返す。
「貴族の御令嬢はコルセットでガチガチに締め上げられてるんやって。ひ弱な御令嬢に耐えられて、アンタが耐えられへん訳ないやろ」
「当然だ」
令嬢と暗殺者では体の鍛え方が違うだろうに。
けれどもジオーネはその言葉にしっかり煽られ、苦行ともいうべき締め付けに耐えることを選んだ。
ジオーネの答えに満足そうに笑むと、ヴィーシャはその力を強める。
「そうそう。ジオーネも暗殺者の端くれ。この程度で」
笑顔とは裏腹にギュッ、と紐を引っ張り。
「死には」
さらにギュッ、と隙間をなくすように。
「せぇへん!」
最終的にヴィーシャは足裏でジオーネの背中を踏みながら、ギューッと紐を引っ張った。
これ以上ないほどに絞められた紐は肩甲骨の間でガチガチに結ばれた。
「クッ! 例え中身が出ようとも、骨が軋もうとも……この程度で屈するものか!」
きつい締め付けに呼吸はしづらく、動きも阻まれる。それでも、ジオーネはブラウスと巻きスカートを着用した。もはや意地。
だが、それが耐える必要のない苦しみであるとジオーネが知るのは主人の元に行ってからだ。
やっぱり手直ししちゃいましたww