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え? みんな強くね? (表)

「敵は何人だ?」


「多分……10人以上いるわね」


「了解」


 目の前の銃を片手に持った春人くんと凛さんは、壁に身を隠して部屋の様子を覗き込んでいる。

 二人とも真剣な目つきをしており集中力を極限まで高めている。今なら蚊1匹とて見逃さないだろう


 いや絶対僕必要ないでしょ? 何でこんなことに……



$ $ $ $ $



 始まりは突然だった。

 急に学園長室に呼び出され、中に入ると凛さんと春人くんがいた。それれから、学園長に「おつかい」とやらに行ってこいと言われた。


 何かの買い出しかな? なんてお気楽なことを考えていると僕達を乗せた車はみるみる治安が悪そうな場所へ。

 何かおかしいな、と思ったが時すでに遅く。あたりから銃声がなり始め、急いで車から降りて逃げ去った。


 そこで「おつかい」とは何かの隠語だと初めて気がついた。

 内容はテロ組織の支部が企んでいる計画とやらを阻止すること。


 ぶっちゃけこの時点でめちゃくちゃ逃げ出したい…… けれどこの計画を阻止しなければ民間人に多大な被害が出てしまう。

 罪悪感と良心のせいで逃げたくても逃げられない。


 その後見るからにボロボロで怪しい廃ビルに入って、今の状況というわけだ。


$ $ $ $ $


「私の能力で一気に片付けます」


 そう言って凛さんが相手に向かって手を向ける。

 すると全員が何かに押しつぶされるように倒れ込む。抵抗する間も無く全員が気絶し、そのまま起き上がることはない。


 強すぎない? あんなのどうやって防ぐの? 

 あまりの強力さに僕がいらないと思ってしまいかけ……いやいらないだろ。


 すると部屋の奥の方から足音が鳴り響く。


 コツン コツン コツン


 足音はどんどん近づいてくる。二人は銃を構えながら警戒体制を取る。いや貴方達は銃いらないでしょ。

 一応僕も警戒して銃を構えておくが……この銃殺傷能力ゼロなんだよな


「侵入者か……なかなかやるようだが、ここで仕留めさせてもらう」


「お前がこのアジトのボスか?」


「ああ、そうだ。悪いが神のためにこの計画を止めるわけにはいかないのだよ」


「いや、止めさせてもらうわ!」


 凛さんが同じように能力を使おうとする、しかしーー


「ぐっ!?」


「大丈夫!? 凛さん!」


 何故か急に凛さんの方が能力を受けたように倒れ込んでしまう。装備のおかげで気絶は免れたが、ダメージを受けて立ち上がれずにいる。


「だ、大丈夫です。でも……」


「あいつの能力……まさか能力の反射か?」


 ええ……なにそれチートじゃん。無効化の上位互換みたいなもんじゃん。


「ご名答だよ。さて、どうする?」


「能力が使えないってんなら……殴り合いと行こうじゃないか!」


 そう言って春人くんは相手に突っ込んでいく。無鉄砲すぎません? 

 相手に蹴りを叩き込むが、相手は身をのけぞりスレスレで避ける。その勢いでさらに、相手の顔面に拳を向ける。

 しかし、相手は手首を掴んで防ぎ、カウンターとして横腹を蹴る。

 

 ギリギリで手首を振り解き、蹴りを避けた。

 そして一旦戦線を離脱しこちらに引いてくる。


 いやすごすぎない? あまりにも鮮やかな戦いに状況も忘れて僕は熱中してしまっていた。まだ興奮がおさまらない。


「あいつ、肉弾戦もかなり強えぞ。多分俺じゃ勝てねえ……悔しいが武、頼んだ」


「武さん、申し訳ないですが……私からもお願いします」


「ああ、うんうん。了解」


 …………あれ? 僕今なに言った?

 え、嘘でしょ。何で僕に任せるの? 勝てるわけないけど。


「次は貴様が相手か……噂の力見せてもらおうか」


 終わったぜ! また噂が足を引っ張ってきたよ! 

 無能力者だから能力を反射するとやらは関係ないからマシではあるだろう。……が肉弾戦でもボコボコにされる未来しか見えない。


「来ないのか? ならばこちらから行くぞ」


 行きたくもねえ! そして来るな!

 何もできないことに関わらず、体が生きようと、とにかく動く。だがそんなことをしても何かが変わるわけもなく。


 相手がこちらに向かってくる、その瞬間ーー


「がっ! バカな……。 ぐっ!?」


 急に相手が苦しみだし、体から血が流れ始める。そしてもう一回呻き声をあげて倒れる。

 そのまま起き上がることはない。


「助かった……のか?」


 僕はこういう時は妙に運がいい。悪運もその分強いけど。


「すげえな武! どうやって反射を破ったんだ?」


 え? 何のこと?

 


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