表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/65

モア国の機能

長らくお待たせして申し訳ございません。連載再開です

  元モア国の上空に複数の飛行艇が表れる。

 飛空艇から次々と飛空魔法で降り立ってくる人々を確認する。

 飛空艇の砲門が続けてモア国に向けられる。


「まずいの。このままでは殺されるのは時間の問題じゃ」


「どうしてモア国に戻ったんですかっ」


「ここにはあの魔宝玉があったからじゃ。あれがあれば少なからずこのモア国の備わる武装でどうにかできうると思ったんじゃよ」


「武装?」


 空から降り立つイルシアの人々がモア国の見えざる覆う透明な壁に触れた。

 次の瞬間に彼らの絶叫が聞こえた。


「え」


「焦ったわい。機能は作動しているのではないか」


「機能?」


「モア国とは一つの国であり要塞なんじゃよ」


 イルシアの飛空艇から放たれたいくつもの砲撃は見えざる壁に見事に阻まれる。


「本来は魔宝玉など簡単に再起動できるはずはないと私は思っておった」



「え、だって、遺跡で簡単に俺が触れて起動したじゃないか」


「あれはわしにもわからぬのじゃよ」


 目の前で簡単に敵が苦難を強いられている状況を観察しながらツキナは難しい表情をする。


「それに以前よりも精度が高くなっておる。もはやわけがわからぬ。本来はあの遺跡で私ら3人の魔力を注いでこの機能を復活させる作戦じゃったが幸運がなしたというべきなのかのう」


「もしかして、このモア国の地下に行ったのはこの機能を再起動させるため? それに俺やユキさんを利用しようと?」


「そうじゃ。じゃが、想定外がさっきのお主が触れた際の現象じゃ」


 ツキナは事の事態に混乱を隠せず、あまりにも自分の行動の愚かさに笑うように鼻息を飛ばした。

 そのツキナの吐露を聞いた俺は大仰にため息をついて文句も言いたくなった。

 だけど、文句を口にするよりもある人物の手が早く出て、ツキナはあらぬ方向に飛ばされた。


「あなた、私たちをはめようとしたのね! しかも、自らの私欲もあったんじゃないの! この国はあなたの国だものね!」


「ちょっと、ユキさん」


 俺は怒りで雪が続けて殴りに行きそうなその手をつかんで引き留めた。


「ちょっと、離しなさいよ! カイムさんは何とも思わないの!? 利用されようとしていたのよ! いくらこうして助かってるとはいえ、結果論でしかそれはない。この女は私たちを信用せず利用したのよ」


「でも、それは彼女なりにこの窮地の打開策を考えて……」


「わかってるわよ! 私が本当は許せないことはどうしてもっと私たちを信用しなかったかってことよ」


「ユキさん……」


 彼女は利用しようとしたことに腹を立てたんじゃなく、裏で画策して信頼せずこっそりと自分たちを利用しようとしたことに腹を立てていた。

 彼女は大粒の涙を浮かべながら、怒った態度で背中を向ける。


「今はこれで勘弁してあげる。次に黙ってそんなことしようなんてしたら容赦しないわ」


 飛ばされた方向からゆっくりとした足取りでこちらへと戻ってくるツキナさんは申し訳なさそうな表情を浮かべながら「すまぬ」と言葉を返した。


「しかし、この要塞がいくら頑丈でもずっとは持たないですよね? 何かほかに方法はないのですか?」


「ほかの方法ならある」


「だったら、それを実行しましょう」


「じゃが、命の保証は今度こそできぬ」


「え」


 あまりにもその言葉は緊迫するひとことである。


「ちょっと、なによ! ここは安全みたいな口ぶりであったじゃない。今度は命の保証ができない? ちゃんとあんたは説明をしなさいよ」


「このモア国は常に他国から監視を免れていた秘密なのじゃが」


「ツキナさん今はもったいぶってる状況ではないです。説明をしてください。あるならそれを使う他に道はないんです」


 状況は切迫していた。

 なぜならば、壁にわずかな亀裂が入り始めていた。


「このモア国には跳躍魔法が備わっておる。本来はその跳躍魔法は座標を固定してしっかりと跳躍できるものじゃった」


 彼女はモア国は移動要塞であったがゆえに常に他国から見つかることはない隠れた国であったのだろう。


「さっきの危険とはこの跳躍魔法の座標が今は絞れぬのじゃ。一度魔宝玉が効力を失った弊害みたいじゃ」


 彼女はまるで念じているように目を閉じて模索している様子だ。

 もしかしやら、先ほどからのしかめっ面はそこに要因していたのだろうか。


「でも、今この場を切り抜けるにはそれしか方法はないのなら試してみましょう」


「下手をしたらここより危地に陥るやもしれぬのじゃぞ」


「それでも、ここから離れることができうるなら」


 ツキナさんは息を吸いだして大きく吐いて、一息ついて深呼吸でもするような動作だった。

 懐から何か四角い形をしたアクセサリーのようなものを取り出した。


「なによそれ?」


 ユキさんも興味を示すそれに対してツキナさんは答えた。


「これがモア国の座標を指定する装置じゃ。唯一私の魔力とのリンクで作動するものじゃがの」


 彼女がそれに魔力を流し込むとモア国全体が振動を始める。

 次の瞬間、視界は真っ暗闇に包まれた

本作を読んでくださりありがとうございます。次回掲載は3週間後以降を予定しています

そのあたりで掲載を予定しています

作者の都合でしばらく遅筆連載になります。大変恐縮ではございますが何卒宜しくお願い致します。

本作品を読んでくださった方々様、少しでもこのような拙い文章の作品ではございますが面白いと感じてくださったならブックマークよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ