元モア国の地下1
長らくお待たせして申し訳ございませんでした。
作者都合で忙しくて投稿できませんでした。
連載の再開です。
あれから数時間、目覚めたユキやツキナと一緒に俺たちは辺境の錆びれたようなとある土地に来ていた。
神聖国イルシア国領土内の東側に位置する小さな国土。
今は国土と呼ぶ領域ではなく、ただの錆びれた土地というだけ。
周囲には人っ子一人とすらおらず、ただ荒廃した家屋や半壊した塔や放置された死体があるのみだった。
その結果なのか、周囲に立ち込める臭気や空気は毒素を含んでおりまともに呼吸すらできなかった。
しかし、そんな場所に今の俺たちは身を隠すしかなかった。
イルシア国王子から発令された地獄のようなゲームのせいで俺たちは全世界に指名手配されてしまったのでこのような場所にしかあてはなかったのだ。
「よもや、こんな形で帰ることになろうとはのう」
鼻や口元を抑えながら錆びれた土地の広場で物憂げな顔をしてツキナはぼそっとつぶやいた。
つぶやいたゆえにすぐにその反応は体に出てくる。
「ごほっ、ごほっ」
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫じゃ。それより、こっちへ」
彼女は勝手知ったる道のように歩きだす。
彼女の動きに迷いがないのも、ここは元モア国。
そう、ツキナが王女をしていたツキナの国だった。
この元モア国へと隠れるように提案したのも実はツキナであった。
この場所が毒素に侵されていて、通常人が来るようなことはしないということを逆手にとって隠れ蓑にと提案したのだ。
もちろん、俺やユキはその彼女の提案に難色を示したがほかの国や村に隠れても殺されるのが関の山なのは明らかにわかっていたことなので、少しでもリスクを冒してでも身を隠せる場所はベストではあった。
そもそも、毒素事態に耐性がある俺とツキナやユキの三人。
死ぬことはないという結論に至る。
しぶしぶ元モア国に足を踏み入れた次第であった。
「よし、ここはまだ生きているようじゃの」
ツキナに案内されて到達したのは倒壊した城の周囲を囲うように存在する壁。
壁には大きな用水路の穴があり、そこを潜り抜けていく。
奥へ進むにつれて異臭がひどくなるが必死でこらえた。
用水路の奥でツキナは足を止めた。
見ると行き止まりだ。
「ちょっと、あなたこれ大丈夫なんでしょうね?」
「黙っておれ、小童」
「だれが小童よ」
「まぁまぁ、ユキさんここはツキナさんを信じましょう」
「あなた勇者らしくしなさいよ! なんでツキナに言われるままになってるわけ!」
「だから、話をしたじゃないですか。今は逃亡の身でこのイルシアの王子の考えに一番詳しい彼女に従うのが効率的だって」
ユキさんはそれでも納得のいかぬ様子で顔をむくれさせた。
そんなことお構いなしにツキナは目の前の壁に向けて手をかざし始める。
「起動をしてくれると助かるがのう」
急な振動が周囲に響いた。
目の前の行き止まりだった壁がゆっくりと開いた。
奥から緑色の光が見えた。
通路を示すように壁際に立てかけてあった灯籠にまで火がともり始める。
「ツキナさん、この先に何が?」
「我が国が長年イルシアにもひた隠しにしてきた遺跡じゃよ」
「え」
「さあ、ついてくるのじゃ」
ドキドキしながらも彼女の後について歩き出すのであった。
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作者の都合でしばらく遅筆連載になります。大変恐縮ではございますが何卒宜しくお願い致します。
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