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玉座の間に集いし者たち

ながらくお待たせしてしまい申し訳ございません。読者様方連載再開です

  ツキナの向かう先がどこへと向かっているのかはわからないままに俺はついていく。

 彼女が一つの大きな扉の前で足を止めた。

 そのあとに続いていた俺も足を止めて門扉を前に背筋に悪寒が走る。


(なんだ、この異常な感覚)


 門扉の向こうからおぞましいほどに感じるとんでもない魔力。

 それは畏怖すべきほどの魔力。

 畏怖すべきほどの魔力の質をどこかで感じた覚えもあった。


「いや、そんなこと絶対あり得ない」


 困惑している俺の様子を気づかないままにツキナはゆっくりと扉を開いた。

 軋む音がゆっくりと響かせながら扉は開く。

 中は大きな広間のような部屋。

 レッドカーペットが敷かれ周囲を支柱に囲まれた大部屋。

 奥まった中央に一席の椅子に座る一人の男。

 その近くにいるメイド服を着込んだ妖艶さを醸し出す女。

 はっきりと認識できる。この場で一番やばいのは椅子に座る男ではなくあの女だと。


「おやおや、これはこれは来ると思っていましたけどずいぶんと早い到着ですね」

「ジルレッド、ひさしいのぉ。殺しに来たぞ」


 ツキナはいうや否や駆け出していた。

 手には短刀がすでに握られている。

 椅子に座る男めがけてその刃先を突き立てようとしたとき、横合いから何かが飛来してくる。

 闇に傾倒する魔法の攻撃だ。


「ちょいちょい、困るねぇ―そういうことやられちゃうと。これでも、同盟国の王子様だからさ」


 横やりを入れた存在が支柱の陰から姿を現す。

 ひょうひょうとした態度が癪に障る金髪碧眼の男。

 忘れもしない、あのルカル村での一件。


「アーティーっ!」

「おや、そこにいんのって勇者じゃん。え? なんでいんの?」

「お前こそ、何でここにいるんだよ!?」

「おれっち? だって俺はこの同盟国にやとわれてる兵士だからねぇ」

「兵士?」


 アーティーは相も変わらない態度を崩さず玉座に座る王のそばにいるメイドの隣に移動した。

 支柱の陰からぞくぞくと人影が姿を現す。

 どの人物もどす黒い闇のオーラをまき散らしあまりにもおぞましい光景だ。


「国を裏切った売国奴もめ。よもやわしの前に姿を現すとはのぉ」

「あははは、それはこっちのセリフじゃわ。のう、ツキナよ」


 一人の着物を着飾った花魁のような女がまるでツキナに食って掛かるように挑発的な発言をする。

 昔からの因縁でもあるのかツキナもにらみ返している。


「わしを売り飛ばした件、忘れたわけじゃないぞ」

「うふふっ、あれはわっちではなく王の命令じゃ。恨まれても困るのぉ」


 と笑いながら答える。



「おいおい、ムラサキ僕はそんな命令を出したつもりはないんだけどね」


 王も言われもえぬ責任を擦り付けられたことに即座に軽く否定する。

 その会話に真実が果たしてあるのか怪しい。


「おや、そうじゃったかのぉ? うふふ」

「御託はいい! 主ら覚悟せい。今すぐこの場で殺してくれる」

「わっちら全員を相手にしてかえ?」


 一瞬で場が凍り付くようなほどに緊迫感が漂い始める。

 冷静に俺も周囲を観察するだけで異常な奴らばかりしかいないとわかる。

 その中に二人俺の見覚えがある人物もいた。


「クヒヒッ」


 トラバルト国で死んだと思っていたはずの狂人女。

 研究者のような存在でさんざんに人の体をもてあそんでくれたマッドサイエンティスト女。


「なんであいつが生きているんだよ。絶対殺したはずなのに」

「どうしたのじゃ? 勇者」

「いや、なんでもない。それよりも今は一度撤退するべきだと思いますよ。この状況は分が悪い」

「何を言うておるのじゃ! 目の前におるのじゃぞ宿敵が!」


 ツキナが指摘するのは玉座に座って悠然と笑いながらこの状況を楽しんでいる銀髪に狐耳の美青年。装飾品にまみれた服を着飾っているその姿はまさに王様そのものだがあまりにも愚王という言葉がしっくりきそうな風格に見えるのはなにゆえだろうか。

 でも、そんな雰囲気がありつつも周囲が彼を支持しているのは彼が有している何かの力とカリスマ性ゆえか。

 悪人なのも確かである。

 神聖国イルシアの歴史を変え、民草を苦しむように仕組んで序列制度を作った王子。

 ツキナを国から追放した現況。


「憎む気持ちもわかりますが今は強敵が周囲にいる中で二人だけで相手にするのは無謀です。状況を見てもう一度」


 撤退を促した俺の言葉は即座に無に帰した。

 それは扉が爆発すると同時に。


「貴様の首を取りに来たぞジルレット・フォウ・イルシア!」


 堂々とした宣言をする一人の男。

 その男の後ろには大隊が率いていた。

 そう、彼は例のクーデター軍の司祭。

 ここにきてクーデター軍が王座の間に集結したのであった。


本作を読んでくださりありがとうございます。


次回掲載は約3週間後以降を予定しています。




そのあたりで掲載を予定しています。




作者の都合でしばらく遅筆連載になります。大変恐縮ではございますが何卒宜しくお願い致します。












本作品を読んでくださった方々様、少しでもこのような拙い文章の作品ではございますが面白いと感じてくださったならブックマークよろしくお願いします。

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