表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/65

クーデター作戦外伝  ミストラーテとの任務6

 敵軍大将のアイザックの怒涛の攻撃に僕は剣で受け続けていたが剣にひびが入る。

 圧倒的な拳の力に僕は押され始めていた。

 このままではまずいと自覚する。

 瞬時に足場に魔方陣を構築して後ろへの跳躍を試みる。

 しかし、彼はその行動を読み切っていた。


「逃がすかよっ!」


 アイザックは足に力をこめて、地盤を陥没させるほどの地団駄を起こした。

 足場が崩れて体制が崩された。

 次の瞬間僕の顔に痛烈な衝撃が入った。

 体が宙に浮く感覚。

 背中へと響く衝撃に肺に送り込まれていた酸素の供給がストップする感覚に息苦しさを味わう。

 意識がもうろうとしてそのままうつぶせに力なく僕は倒れこんでしまう。

 敵の足音が迫るのが耳へかすかに聞こえる。


(まずい、早く動かないと死ぬ!)


 先ほどの攻撃は僕の身体に宿った不死身の能力をもってしても再生力が追い付かなかった。

 ダメージが大きいのだ。


「おいおい、昨日の見せてくれたあの力はどうしたぁ? なぁあ勇者様よぉ」


 あおるように挑発してくる彼の厳かな言葉。

 僕はゆっくりと体を起き上がらせたときに目の前の彼が空へと跳躍しているのを見た。


「しねぇええええ!」


 上空からの振り下ろされる攻撃。

 この一撃を食らえば再生力に時間がかかって一時的に僕は戦闘不能に落ちる先の未来が予測できた。


(だめだ! そんなことになったら村がひどい目に合う!)


 魔力をもう一度右手に収束をさせる。

 僕の欠点が魔力の収束を乱した。

 通常、勇者に備わった能力は魔力とは別の力で使われてる。

 カイムユウシの不死身の能力だけは魔力を適用した形で使う諸刃の剣のような能力。

 つまりは再生力に時間を割けば攻撃に回す魔力は枯渇していく。

 再生が終われば即時に魔力は回復するという便利な体質でもあるが、再生中は弱いという欠点もある。

 それゆえに、カイムユウシは奴隷勇者、最弱の勇者と呼ばれていた。


「僕はやっぱり弱いままか」


 あきらめの言葉がこぼれ、彼の拳を受ける覚悟をした。

 体が砕ける痛みが来ることはなかった。

 なぜならば、目の前に飛び込んできた一人の少女がアイザックの拳を受け止めていた。


「勇者様こんなことで諦めないで……」


 アイザックの拳は彼女の障壁でぎりぎり防いでいた。

 アイザックとの力量はこの村にいる中では止められるのは勇者である僕だけと考えていたがそれが誤りだった。

 そう、彼女はこの世界で最強の軍事力を誇るとまでさえ言われている帝国騎士団の団員だ。


「うぁあああああ!」


 障壁ごとアイザックを押し返した。

 アイザックは吹き飛ばされる。

 吹き飛ばされたアイザックにミストラーテさんは何もない虚空へ手を掲げると銃を生み出した。

 マスケット銃のような形をし、グリップに鷹のような絵の彫り物がされた銃。

 彼女はグリップを握って魔力を銃へと込めて雷光の弾丸を射出した。

 弾丸はアイザックを打ち抜いた。

 落下するアイザックの姿を目視で確認しながら僕は終わったのだと安堵の息をついた。

 彼を仕留めたミストラーテさんの後姿を見惚れて眺めてしまう。

 彼女の身体がとたんに傾いた。

 再生が終わった僕は慌てて体を起き上がらせて彼女を抱きとめた。


「み、ミストラーテさん!」

「勇者様が弱らせてくれていたからつかめた勝利だよ……」

「え」


 ミストラーテさんがこぼした一言に僕は唖然となった。


(何を言ってるんだよこの人。今のは僕なんか何もできなかった。ただの邪魔で……そもそも僕たちに救援が必要だったのか?)


 周囲を見渡すとミストラーテさんは僕の助けに入る前にアイザックの部下を一人で倒していた痕跡が明らかにその場に見えて存在している。

 死体という痕跡として。


『ぎゃぁああああああああああ』


 突然とどこからともなかう悲鳴が聞こえた。

 僕は顔を上げて焦るように周囲を確認した。


「うそだ! いない! あいつの死体がいない!?」


 今頃になって気づいた。

 アイザックの死体がないこと。

 彼はまだ死んでいなかったという事実。

 自らの愚かさ。

 見る目のなさに僕は激しく自分への怒りに支配されて悲鳴のするもとへと駆け出した。

 村長へとどやされても構うものかという思いで。


「ま、待って、勇者様」


 僕は後ろから聞こえたミストラーテさんの声を無視して走って協会の中へ。

 床を見ると血の跡が続いている。

 教卓が妙な位置でずれていた。


「隠し通路」


 教卓に隠されるようにして存在していたのだろう隠し通路があった。

 生唾を飲み込みゆっくりと階段を降り進んだ。

 明かりのさすほうへと入る。

 僕は哀れな自分を呪いたくなった。

 そこには凄惨なまでに残虐すぎる光景があった。

 多くの村人たちの死体とその中心に立つ、血にまみれたアイザックの姿。

 彼は村長の首をつかんで彼の首から流れる血液をすすっていた。


「よう、勇者様ぁ今頃何しに来たんだぁ? てめぇが守りたかった村人は全員死んだぜ? あはははは」


 僕は絶叫し吠えながら右手に魔力の剣を構築して彼に向かい突進する。

 しかし、その剣が届くことはなかった。

 あっけなく砕け散る魔力の剣。

 アイザックの拳が僕の心臓を貫いた。


「さようなら、勇者様よぉギャハハハ」


 最後に僕が見た景色は彼のもう片方の手に光り輝く石のようなものがあったことだった。



 

今回は外伝編6話目です。

まだまだ外伝版の話が続きます。

もうしばし、カイムユウシとミストラーテの話をおつきあいください。

次回の掲載の話になりますが、また2週間明けで大変恐縮ではございますが掲載にさせていただかせてください。


申し訳ございません。


本作品を読んでくださった方々様、少しでもこのような拙い文章の作品ではございますが面白いと感じてくださったならブックマークよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ