クーデター作戦外伝 ミストラーテとの任務5
明朝、奴らは言っていた通りに現れた。
多くの大軍を引き連れてぞろぞろと進行してきた。
即座に僕は村人の安全を確保するために村人には離れるように要請をした。
「ここはわしの村じゃ! わしの村はわしらが守るんじゃ」
変わらずなプライドで村長は意地を張っていた。
村長の意地は今では邪魔でしかない。
「おじいちゃん! いい加減にして! 死んだら全部終わりなんだよ! おじいちゃんは村長なんでしょ! 村の住民の安全を第一に考えるのが役目だって忘れちゃだめだよ!」
「村を捨てた孫娘に何がわかる! ここにはここでのルールがあるのじゃ! 何よりも他人にあれを見られるわけには」
「おじいちゃん何を言ってるの? 何を隠しているの?」
「……」
村長の意固地なまでの意地の理由がプライドとかそういう話ではなかった。
彼には何かを必死で隠さなければならないことがある様子。
「仕方ないです。村長さん、あなたはそこまでして自分でこの村を守るためにここに残りたいならこの村で安全に隠れる場所に避難してください。ただ、条件としてミストラーテさんは連れて行ってください」
「裏切り者の孫娘を護衛にしてワシらに隠れてろと言うのか!」
「そうです。はっきり言いましょう。昨日の状況でなたはこの村を村人だけで守れると考えてるんですか? あんなに犠牲者を出して! もういい加減に意固地になるのはよしてください。何かを見せたくないものがあるのは理解していますがそんなの気にしている暇じゃないことはあなたもわかってるんじゃないですか?」
僕はらしくもない説教をしてしまう。
自分らしくもない感情に任せた説教だ。
敵の進行する気配は徐々にそこまで迫ってる。
早いところ彼が折れてくれるのを願う。
「村長! 勇者様を信じましょう!」
「彼はこの村を1度救ってくれたじゃないですか!」
「彼なら信用していいはずだ!」
村長へほかの村人たちが僕を信用するように後押しをする。
彼は苦虫を嚙み潰したように表情をゆがませた。
そして――
「わかった。勇者様を信じよう。これからわしらは教会の地下へ避難する。じゃが、孫娘に同伴させるのは教会の出入り口までじゃ。それでよかろう」
「わかりました。その地下に十分に避難できるスペースがあるんであれば問題ないです」
「ある。あそこはこの村の敷地で一番広い」
彼の言葉を聞いて安心を抱き、僕は敵影が見えてきたところで剣を抜く。
「じゃあ、早く隠れてください」
敵からの遠隔攻撃が始まる。
空に見える黒い炎と黒い氷の礫。
それらが村の全体を包み込むように豪雨のごとく降り注いだ。
家屋が次々と損壊していく。
僕は身を守るために剣で降り注がれた黒い炎と黒い氷の礫の存在であった魔球を斬り捨てていく。
空中から人影が見えた。
魔法障壁を展開する。
障壁にぶつかる激しい攻撃。
その攻撃の正体は一人の男による空中からの振り下ろした魔力を乗せた拳の一撃。
「よぉう、昨日申した通り来てやったぜぇ勇者様ぁ」
「アイザック!」
障壁にひびが入り割れる。
僕は彼の振り下ろされる拳に剣撃をぶつける。
アイザックとの熾烈な戦いが幕を開けたのであった。
今回は外伝編5話目です。
以前のあとがきでも話をしましたとおりに着想段階で少しばかり長めになるかもしれません。
もうしばし、カイムユウシとミストラーテの話をおつきあいください。
次回の掲載の話になりますが、また2週間明けで大変恐縮ではございますが掲載にさせていただかせてください。
申し訳ございません。
本作品を読んでくださった方々様、少しでもこのような拙い文章の作品ではございますが面白いと感じてくださったならブックマークよろしくお願いします




