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クーデター作戦外伝  ミストラーテとの任務1

今回から過去回想編の始まりなります。すみませんがしばらくはこの話が少しばかり続きます。


 乱雑に打ち出される拳の攻撃を回避して背後に回ると僕は魔法を撃ち込んだ。

 炎の低級魔法による火球の連弾射出。

 背中に当たった彼女はまるで蚊にでも刺されたかのような感じで背中をかきむしりながら剛腕になった腕を振るって反撃をしてきた。

 防壁を展開して身を防ぐ。

 展開した魔法障壁にヒビが入っていく。

 ガラスが砕け散るような音が鳴ると同時に障壁は砕かれて迫る衝撃。

 地面に倒れながら自ら吹き飛ばされたことを自覚した。

  目の前の少女を前にして僕は苦い気持ちを抱く。


「アマリさんを先に行かせたのはまずかったかな」


 後悔の念が口から零れ落ちる。

 同時に少女を前にすると記憶がおぼろげながら思い出してくる。


「ミストラーテさん、あなたはユークラシオン大帝国で唯一僕にとっての理解者だった人でしたよね」


 おもわず記憶を振り返ってしまうと感情に訴えるような気持の入った言葉が口から出てしまっていた。

 そんな気持ちのこもった言葉に今の彼女は何も感じるはずもない。

 迫りくる次なる攻撃。

 今度の攻撃は彼女が得意とした銃撃魔法による攻撃だった。

 まるで知恵のあるような行動。

 銃口を構えて射出する幾千にも乱れた魔法の輝きの直線。

 乱れた弾丸の波状攻撃が襲った。


「ぐぁああああああああああああ!」


 僕の身体に激痛が走った。

 その隙を見るように迫りくる次の攻撃に対応ができない。


「防げないっ!」


 自覚を口にした次の時、意識を奪うすさまじい攻撃が身を襲った。

 吹き飛ぶ中で僕は彼女との遠い記憶を呼び覚ましていた。



 ********


 魔王戦争期、僕は着実に奴隷勇者としての異名で武勲を上げ始めていたころ。

 ある大きな任務をユークラシオン大帝国の王女から直接に命令が自分らのチームへ出された。


「帝国領内の村の護衛ですか?」

「そうでありますわ」


 この僕の所属するチームと呼べるのかわからないリーダーでもある金髪の美男子の安藤宗次が代表して王女に対して受け答えをしている。

 僕は傍らでその会話を見ながら黙しているだけなのがいつものことだった。


「えっと、その村の護衛は何か魔王による侵略を受けているからということですか?」

「それはわからないんですわ」

「は?」

「その村には我が騎士の出身者がおりまして、村が心配であるとその騎士からの嘆願もありますの。ですから、手の空いたものに護衛をお願いしたいのですわ」


 その任務の内容を聞かされた瞬間に僕は開いた口が塞がらないという気持ちを実感した。

 遠回しにお前らは役に立たない暇人なのだからそれくらいはできるだろと遠回しに言われているも同然だった。


「あの、お言葉を返すようですが私たちはこれでも魔王との戦が控えた身の上でそれなりに武勲も上げております。今は何者かの襲撃もわからない王女様のわがままで村を守るような護衛任務に就いているほど暇ではございません」

「確かにあなた方の武勲は素晴らしいですけれど他の勇者様方のほうがあなた方以上の働きを見せていますわよね?」

「それは…………」

「しかも、あなた方の武勲はすべてが他チームにあやかったものではありませんの?」

「っ! あのですね、これでも我々も努力をしたうえで」

「そうはもうしましても現実的に私の耳にはそういう情報が入っておりますわ。ですので、別にあなた方に魔王の襲撃場所の任務は対応してもらわずとも他の勇者様にそこは担当してもらえれば十分なのですわ」


 なんたる屈辱か。

 王女から直接の厄介払いを通達されたのだ。

 僕らのチームは常に他の勇者チームと比べると足手まといのようなレッテルがこの時は張られていた。

 チームリーダーの安藤宗次も悔しそうな表情で反論も肯定もせずただ黙りこくってしまっていた。


「さあ、わかりましたら任務の内容書を受け取ってくださいまし」


 秘書官の男性が任務の概要をまとめた書類を安藤宗次に手渡す。

 彼は憎しみの混じった表情でその書類を強引にひったくる。


「いくぞ、君たち」

「おい! 宗次あんなこと言わせていいのかよ!」

「そうっしょ、そ-じぃ! あのババア一度痛い目に合わせて」

「君たちまだ王女の御前だ。少しは自重するんだよ」


 背後から確かに王座の周囲に控えた士官や部下たちの冷たい視線が突き刺さるのを感じた。

 僕もいたたまれない気持ちを抱きながら彼らと共に王座の間を出た。


 —―勇者一人1チームに与えられている部屋につくと僕らは任務内容をチェックしていた。


「この任務は今回、ゆうしくんだけにお願いしようと僕は思う」

「え」


 安藤宗次からとんでもない言葉が出てきた。


「ぼ、ぼくひとりだけ? な、なんで?」

「この任務を見ると村を襲撃しているのは謎の者とあるが大した存在ではないだろう。それに村の出身者という騎士も同伴するらしい」

「うん、だからどうしてぼく一人で?」


 僕の困惑した問いに大きなため息をつくような男の呼吸が聞こえる。

 それは最も僕が苦手とする男。

 真藤哲也、僕を終始いじめる嫌な奴。


「おめぇってマジで馬鹿だよな。そんなのわかんだろ。村の襲撃者なんて大した存在じゃないから俺ら大人数で言っても意味ないって事じゃん。そうだろ、ソウジ」

「その通りだ。今回の任務は私たちが全員で行く意味は全くない。もしも何かあったときも戦力が足らないってなったら大変だ。よって、今回の任務はこの中で一番戦力不足な君が行くのが適任だ」


 直接的に隠そうともせず伝えられる戦力外通告。

 それでも、僕はこのチームにいられるのは良いようにいつも走りに利用される存在だ体。

 彼らにとって必要な玩具。


「それに君の場合は死なないだろう。ならばうってつけの任務だ」

「し、死なないって言っても連続で死んだらどうなるかわからないよ」

「大丈夫さ。二度死ぬことはないだろう。いくらユウシくんが勇者中で弱くても勇者は勇者で恩恵を受けている強さはある。この世界ではそれなりに強いはずだ。一度だけ死ぬことはあるだろうが二度はない」

「そうはいうけど」

「というわけで、この任務は君に任せたよ。私たちは王女にこの件を君に一任したことを報告する。あとのことは任せたよ」

「え、ちょっと」


 そう言って宗次たちが出はらった後に、行き違いのように部屋の扉をノックする音が響いた。


「はい」


 僕は宗次たちが何か忘れ物をして戻ってきたのかと思って慌てて扉を開いた。

 扉の先にいたのは宗次たちではない、一人の美少女だった。

 茶髪のツインテールにアイドルのような小顔で小動物のように見える愛くるしい少女。


「あ、あのここは私の村を救ってくれるという勇者チームの皆様のお部屋でしょうか!?」


 これが僕とミストラーテさんの初めての出会いだった。

現代から過去編へになりまして突然でわからない感じだったらすみません。

皆無勇士の勇者としての当時の話で、今まで過去の勇者の話を書いていなかったこともあったのでここから勇者の話を一部展開していく予定です。


そのためタイトルに外伝とつけさせてもらいました。


予定としましてはこの外伝を3話構成の予定ではおりますが5話構成になることもあるかもしれません。

その時はまた現代に戻ったらわからないとなったらもう一度外伝前から読み直していただくのをお勧めいたします。


次回の掲載の話になりますが、また2週間明けで大変恐縮ではございますが掲載にさせていただかせてください。

申し訳ございません。


本作品を読んでくださった方々様、少しでもこのような拙い文章の作品ではございますが面白いと感じてくださったならブックマークよろしくお願いします

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