クーデター作戦1
大変遅くなりまして申し訳ございませんでした。
2週間明けになりすみません、連載再開です。
第2土曜の予定でしたが少し早い掲載をいたします。
クーデターを決行する当日。
夜闇の月に照らされる一つの宮殿。
そこは神聖皇国イルシアの神聖な場所であり、王族の関係者のみが出入りを許された施設であり、王城でもある場所。
その王城に忍び寄る多くの陰が存在した。
それらは北門と南門に部隊を作って殺気を放つ。
北の鉄の門扉を強大な火炎の小槌を魔法で作りだして打ち出す。
「火事だぁああああ!」
その叫びに宮殿の中が一気に騒々しく慌てふためきだした。
宮殿内の王族たちの慌てようは尋常ではない。
なぜならば、王族にとっての火事は忌まわしい戦火を思い起こさせることである。
宮殿を乗っ取た現王族も過去にその戦火で負傷した経緯もあるという。
だからこそ、宮殿内はその一言は錯乱を起こさせるには十分すぎた。
さらに言えば、宮殿は火の耐性力が弱くそれは昔からである。
火が回れば一瞬で火の手は回るのは当たり前のこと。
でも、なぜそうなるのか。
それはギルドの連中を取りまとめる司祭の弁によると。
『昔からこの神聖皇国イルシアの土地は火に弱い。国を見て思わなかったか? 建造物も日光を遮る様に日陰の元に存在していると』
よくよく考えて見れば僕たちがこの国に来て、日の光を浴びたことはなかった。
この国は日の光を極度に裂けているのだ。
それほどに、何ゆえか土地には火に耐性の弱さが如実に出ていたのだ。
「門扉を破壊したっ! 突撃ぃいい!」
北門からの司祭の突撃の号の声が聞こえてくる。
僕の前には一人の亜人の女。
司祭の側近でありくノ一のアマリ。
僕の任務は今回はこのアマリと北門から侵入した司祭が敵の注意を引き付けて北門で争っている間に南門では部隊を二つに分けて逃げ出してきた雑兵を蹴散らす部隊と侵入して宮殿内にいると思われる王様の元にまっすぐ向かう直進部隊に分けられた。
僕は後者の役割を与えらえている。
さっそく、敵の雑兵が何人か逃げ出してきたのを目撃する。
容赦なくギルドの人々は興奮状態に陥っているのか目を血走らせ剣を振るって、時に魔法を放って敵を蹴散らしていく。
雑兵たちは相手が隷属の魔法に影響を受けていないことにも驚い散る様子であっけにとられた感じで死んでいく。
その表情はあまりにも哀れなものである。
「おい、何をしているのですか。行きますよ」
「あ、はい」
アマリの叱咤に慌てて彼女に続くように走り出した。
アマリは忠告する。
「あなたは私たちの言うことを聞かないとあなたの大切な彼女がどうなるか忘れずに」
「わかってますよ。だから、こうして後に続いてきたでしょう」
「それならば、ちゃんと役目をしてください。ほら目の前に敵です」
直進して王様の元に行くにしてもやはり、敵影が立ちはだかる。
彼女はまるで自らは戦力を温存しときたいといわんばかりに僕へと命令をする。
「ちっ」
苛立ちに毒づきながら僕は現れた敵を火球魔法で吹き飛ばした。
「少し卑怯じゃないですか? あなたが先頭を切っているのですから敵ぐらいあなたが殲滅したらいいでしょう」
「私は王の討伐のために温存をしないといけないのです。それにあなたは温存をしなくても勇者なのですから魔力が膨大にあるでしょう。適材適所です」
「物は言いようですね」
文句を零す。
僕の気持ちを無視に敵は次から次へと来る。
今度の敵はあまりにも数が多い。
数人が僕らに向けて雷撃魔法を放った。
範囲型の雷撃魔法。
この攻撃に彼女も自衛のために敵を一人殺すために反撃を開始する。
雷撃魔法に反発する氷の魔法を展開する。
「氷結飛沫!」
氷のようなクナイが雷撃魔法とぶつかり爆散する。
さらに敵陣を串刺しにする。
「余計な浪費をしました」
「あのくらいでは大した魔力消費でもないでしょう」
僕がそう一言愚痴ると、ぎろりとなぜかにらんできた。
「あなたと私では大きく魔力に差があるのですよ! あれだけでも私には相当な浪費になるのもわからないのですか!」
「な、なんでそんな怒られなきゃならないんですか!」
「あなたがあまりにも一般的常識の欠落にかけた発言をするからです」
「はぁ?」
僕にはまったくもって理解をできない回答だった。
困惑した僕の真横の壁に何かピシリと音が響いた。
「危ない!」
次の瞬間に僕はアマリに突き飛ばされていた。
衝撃に床に背中を打ちつけた。
自分を吹き飛ばしたことへ文句を言ってやろうとアマリの方を向いたとき衝撃の場面を目撃した。
「は?」
そこには白い眼をしたなぜか腕だけが肥大化した一人の女の姿。
女の剛腕に今にも握りつぶされそうなアマリ。
「アマリッ!」
「うぐっ……何をしている……早く助けなさい……さもないと魔法であなたの大切な……」
今にも自分が殺されそうだっていうのに僕への協力を願って脅してさえしてくるメンタルには恐れ入る。
僕は言われるまでもなく助けに入る。
腰鞘に納めている一本の剣を抜いた。
それはユークラシオン大帝国に寄った理由の一つでもある。
武器屋で仕入れた最上級の武器。
僕はそれを構えて炎を纏わせる。
「ブレードファイヤッ!」
剣に纏った炎を熱波の奔流を女へと放つ。
女の身体は灼熱の炎に焙られる。
同時に、計算してなかったことで起こる事故も起きてしまう。
アマリにまで炎の影響が及んだ。
「ぁあああ!」
「やばいっ」
慌てて水の魔法を放つ。
炎のおかげで解放されたアマリは鬼のような形相でこちへと見てそして飛び膝蹴りを食らわしてきた。
顔面に食らった僕は悶絶。
「一回は一回です」
「事故ですよ」
「どうでしょう、私はあなたの大切な人を人質にしているわけですからそれに乗じて殺そうと考えたともいえませんよね?」
「本当に事故です! 第一、本当に殺そうとするなら僕はここに入る前にあなたと別行動をとるでしょう」
「それもそうですね」
「うぐぅううああああああ!」
そんな会話をしている間に敵もまた目を覚ましてしまったようだった。
咆えた彼女が手に銃を召喚した時僕は硬直した。
「え、その銃ッ!」
「銃がどうしたのですか?」
「あの銃はユークラシオン大帝国のミストラーテさんの所有していた魔法銃です」
目の前の化け物の女が所有している魔法で召喚した銃はユークラシオン大帝国の騎士のミストラーテが所有しているものと酷似していた。
よく見れば彼女の服装はどことなくワイシャツだけではあるが下のスカートはユークラシオン大帝国の騎士隊の制服に見えなくもない。
「そういえば、ユークラシオン大帝国の騎士隊は捕まったんですよね?」
僕は改めて確認をとる様にアマリに聞いた。
彼女は数舜沈黙した後答えた。
「ええ。そうです。ですから彼女はもしかしたら」
その続きは聞かずともわかる。
僕はふつふつと怒りが込み上げてきた。
「確かに僕はユークラシオン大帝国の人が嫌いでしたけど、それでも知り合いがあのような怪物にかえられる姿は見ていて気分がいいものじゃない。アマリさん、あなたは先に行ってください」
「どういう気分の変わりようですか? 先ほどまで敵を引き付ける役を嫌っていましたよね?」
「僕を召喚した国の騎士の人で仮にも知り合いがあのような改造された化け物にされたのは心が咎めるんですよ。これは僕が勇者としてなら彼女を助けないといけないという責務に感じたまでです。勝手な自己陶酔論です」
「自己陶酔ですか」
「だから早くいってください。王様殺したいんですよね?」
「ええ」
僕はあまりと数度目を交わす。
彼女は廊下を突き進んで怪物の横わきを通り抜けようとする。
そう簡単に怪物が通すわけはないのはわかる。
だからこそ、僕が攻撃をした。
火炎の連弾が彼女の行動を阻止し、アマリの進む道を作る。
「僕も柄にないことしちゃうなんて思いもしなかった気分ですけど、やはり知り合いは見捨てられないのは僕の性分なんですよっ!」
怪物に向かい剣を振るうのであった。
次回掲載ですが、また少しお待たせしてしまうかもしれません。
次回掲載は10月の第2土曜日以降を予定しています。
そのあたりで掲載を予定しています。
作者の都合でしばらく遅筆連載になります。大変恐縮ではございますが何卒宜しくお願い致します。
本作品を読んでくださった方々様、少しでもこのような拙い文章の作品ではございますが面白いと感じてくださったならブックマークよろしくお願いします。




