進軍
多くの武器と装備をそろえて、神聖国イルシアへ向けて進軍する部隊。
彼らは平地を超えて山道を突き進んでいた。
その部隊に混じって僕らは先陣を切ってモンスターの対処に当たっていた。
「そっちから来ましたわよ。私たちに協力してほしいならば神聖イルシアに着くまでの対処をしてくださいまし」
「っ! なんで私たちがこんなこと!」
「あら? 何か言いまして? その装備と武器を取り上げてもよろしいんですのよ」
「っ! こんな武器なくたってイルシアに勝てるわよ!」
「あなたの幼馴染をたぶらかした存在がいるかもしれないのに? そんな幼馴染に負けたのはどこのどなた?」
「っ!」
良いように王女の口車に丸め込むこまれてしまうユキさんをそっと横目で見ながら耳打ちする。
「ユキさんはつらいようでしたら僕の後ろに下がっていてください。ここの森にすむモンスターは多いですから対処は不死身の僕が頑張りますから」
「何を言ってるの! いくら不死身でも体力は限界が来るじゃない!」
「そうはいっても、あの王女は最初から僕を玩具にするのが目的なところもあるんですよ。だから、僕が素直に従っていればそれでいいんです」
「っ! いいかげんにしてください! カイムさんはも少し他人に甘えるべきです」
僕を突き飛ばして、襲い来るモンスターを狩りに向かう。
ここは魔物の巣窟とも呼ばれるような森林地帯。
この場所を抜けない限りは国には到着できないのは過酷の極みだった。
だからこそ、王女には少しでも体力浪費を下げるために人員が必要であり、何よりも使える手ごまが必要だった。
良いように僕らという手ごまが手に入っているわけで彼女にコキを使われてしまっている。
(武器や装備を代償とはいえ、プライドの高いユキさんには最悪なことなんでしょう。それにツキナさんも)
当のツキナさんは何も行わずにいて、襲い来るモンスターを誘導してユークラシオン大帝国の軍隊騎士の方に寄せていた。
おかげで部隊の隊列はめちゃくちゃだった。
「おい! 貴様! さっきから我が隊へとわざとモンスターをぶつけてきているな! 何様だ! 仕事をしろ!」
「わしは最初から下がつもりなどない。そもそも、無理やりな協力を組ませる魂胆にまだ利害関係を納得わけではない」
「貴様っ! 復讐を果たしたくはないのかっ! 我が隊の実力を貸し与えれば復讐など造作もないのだぞ」
「はっ、傲慢じゃな。相手の力量も知らずよくもそう堂々と宣言できるものじゃ」
「なんだと貴様っ!」
帝国騎士団長のアターシアもユキさんに負けず劣らずのプライドが強く有り、ツキナの態度に腹を立てて剣を抜く。
だが、そこに植物系モンスターの触手が襲いかかる。
それをツキナはかわすがアターシアは不覚にも捕まる。
「ふっ、その程度避けれず捕まるとは情けないの。それでよく倒せると豪語できるもんじゃな」
「っ! 今のは油断しただけだぁああ!」
彼女の身体から黄色の光が明滅して一瞬で触手が焼き切れた。
今のも魔法の一種だとわかる攻撃だった。
「アターシア何していますの? 隊列を正しなさい」
「ハッ、すみません。すぐに隊列を戻します」
王女の命令を受けて即座に隊列を戻すアターシア。
彼女の視線が自分に外れたことでツキナがほっと安堵の吐息を零していたのをちらっと盗み見てしまう。
目が合うとお互いに気まずさを痛感する。
「なんじゃ?」
「あ、いや、ツキナさんもやっぱり不服なんですか?」
「そりゃぁ、そうじゃろう。逆にどうしてお主はあんなことを言われてまで逆に従おうとするんじゃ」
「それは……僕は……弱い人間ですから」
「弱い? 何を言うかと思えば」
急にツキナが足を止めたかと思えば突然として王女に向かい攻撃を仕掛けに行く。
瞬時に周囲の騎士団体が防衛に走る様にツキナさんに攻撃を仕掛けた。
俺がその攻撃から守るようにツキナさんの前に飛び込んだ。
すべての攻撃が一斉に集中する。
「はぁはぁ」
防壁の魔法ですべてをどうにか防いでいた。
背後では王女が驚いたような目をしている。
同時に騎士団体も驚きながら僕を見ていた。
僕はといえばツキナさんの胸ぐらをつかんで怒鳴った。
「何を馬鹿なことをしているんですか! 今こうなることわかってましたよね!? 血迷ったんですか!?」
「あははっ、血迷ってなどおらぬよ。お主が自らを過小評価したから少々わからせてやろうかと思うてな」
「は?」
「なぁ、お主らよ、お主らは勇者を簡単に扱えると思うてようだがこやつはかなりつよいぞ。あとで足元をすくわれて公開をしても遅いからの」
ツキナは僕の激怒など無視をして周囲に僕の強さをアピールするようなスピーチをした。
僕はツキナさんを見るが彼女は背中を向けてユキさんの方へと向かう。
いつのまにかだいぶ先へと進んでいたユキさんが何があったのかと訝し気にこちらを見ていた。
ツキナさんが状況説明にツキナさんの元に向かっていく。
当の僕はアターシアさんの傍と王女の後ろにつく形になる。
敵国に囲われる気分はあまりよろしいものじゃなかった。
「ビビらせる。貴様のような使われるだけの勇者に何ができる。貴様は姫様に使われて潰されるのがお似合いだ。こうして今も付き従うしかできておらぬじゃないか」
「…………」
アターシアにそう言われて僕は何も答えなかった。
「どうせ、あの女たちだって戦争でどれだけ役に立つかもわからぬ。復讐という当人たちは目的があるからそれは力となろう。だけど、どれほどに役立つといえるか」
その言葉を聞いた途端に僕の中の何かが触れておもわず周りが気づけぬ速度で彼女の首筋に剣の刃を当てていた。
「な、何をする? 勇者カイム?」
「僕はいくら罵倒しても構いません。でも、彼女たちは悪く言わないでください。彼女たちはあなたたちなんかよりよほど強い」
「はっ、ならそれは国で証明してもらおうか」
そうこう山道歩いて超えていたらしく、山下に見えてきた街並み。
「さあ、着きましたわね神聖イルシア。早速ではありますが数名にはこれから潜入をしてもらいますわよ」
王女殿下がちらっと僕の方を見て宣言した。
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