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ユークラシオン大帝国 

ちょっと早めの更新を今回は致します。


モア国の姫を名乗ったツキナという少女、いや性格には少女ではなく僕よりも数年は歳をとっていたお姫様。

 そんな姫様の先導の元に僕たちはある国へと来ていた。

 そこは忌まわしい僕の過去を思い起こさせてしまう場所。

 大魔法世界イステアにおいて最も魔道具生産が豊富で、土地も世界最大を誇る大国家、ユークラシオン大帝国。

 国中には多くの町がある。

 特に首都の『ムストア』は王城がある場所。そこへ僕たちは来訪している。

 来訪した理由は主にツキナの考えにあった。


「まだ、釈然としない……か?」

「そりゃ、そうですよ。僕は戦争は大嫌いです。過去に僕が経験したことを知っていますか?」

「有名な話だからもちろん知ってる」

「それなら、僕がこれから復讐の戦争に手を貸すことに不服なのもわかるでしょう」

「なら、どうしてついてくる?」

「それはユキさんがあなたと同じ気持ちを持って行動するといったからです」


 目の前ではとあるムストアの武器屋の中でユキさんはあらゆる武器を見繕うように見ていた。

 なぜそこにいるのかは単純だ。


「僕はユキさんを戦いになんて参戦させたくないんです。だから、僕は彼女を守るためについてきたまでです。それに、彼女が選ぶものを見てしっかりと彼女に合うものか僕が経験で見定めて安心安全を――」


 そこに来た理由はこれからの復讐のために身を守るための術にはまず武器がいるということもあって世界有数のこの武器に魔法道具が豊富な帝国に来訪したのだ。


「やはり、カイムはユキを好いているのか?」

「っ! そんなじゃないです! 僕は恩人の娘だから彼女を精一杯僕の命を賭して守る義務があって」

「それはただの言い訳にしていないか?」

「いいわけだなんてそんなこと……」

「好いてもいなくて、ただの恩人の娘というだけで自らを見捨てた国へとまた戻ることに了承することなどできぬと思える」

「っ! やっぱりそのこと知っていたんですね」

「カイムが勇者であることを知っていれば自ずとな」


 この帝国は魔法文明の発達も最先端をいく国であり、勇者召喚を始めて実行して僕を召喚した国だ。

 魔王討伐を僕たちに依頼したあのクソ王女を思い起こさせる。


「それなら、一刻も早く出たいだろうな」

「そりゃ、そうですけどユキさんを僕は優先します」

「どこまでも甘い男であるな」

「というか、ツキナさんはやっぱり奴隷少女の時は演じていたんですか? 弱い自分を?」

「なぜ、そう思う?」

「口調が全然違いますし、雰囲気もガラッと変わってしまわれてますので」

「ふむっ、良く見ているんだな」

「やっぱり、だましていたんですね」


 このツキナはやはり食わせ物だという自覚を持つ。

 その傍らでようやくユキさんがある武器を気に入った様子で店主に粘弾を聞いて悲鳴を上げていた。


「ふざけるんじゃないわよ! この武器が100万リタですって!?」


 彼女はあまりの講学にぼったくりだという訴えでわめいている様子だ。

 大魔法世界イステアでは大体普通の武器が相場1千リタから5千リタ。

 高額な装飾品やレアイテムで製造している武器であっても1万リタから50万リタくらいが相場なのが普通である。

 よっぽどな神聖武器でない限りはそのくらい行くような代物にはならない。

 彼女が怒鳴る理屈もわかる様にその店主が言うような金額は明らかに疑問を感じるレベルの品質の武器。


「その武器、マナコマギネイトとレッドラグーンの尻尾に羽衣兎の鱗を使ってる槍ですよね。たしかにレア武器ですけどあきらかに相場が10万くらいが妥当だと思いますけどいくらなんでも100万はおかしいですよ」

「おいおい、ツレのお客さんあんたが武器について詳しくってもねぇウチも商売でやっていてウチではこれが相場でやってるんだ。イチャモンつけるなら他当たりな」


 その時だった、店内のベルが鳴り響いて店主の顔色が激変すると僕らを無視して新たに入ってきた客へと対応を始めた。

 僕は背筋に悪寒が走る。


「これはこれは帝国筆頭騎士団長殿、本日はどのような武器をお求めで?」

「今日は槍を探しに来た。ちょうど、槍を壊してしまってな。スペアが欲しいんだ」

「それなら、ちょうどいい素材を使用して安くで提供できる槍がありましてね。こちらなんですが」


 それはちょうど、僕らが見ていた槍で100万リタとぼったくりで買わせようとしていた槍。

 ぼくはそんな店員の行動など気にはしていられなかった。

 彼が相手にしている女に見つかるまいと武器だなの陰に隠れるので必死だった。


「こちらを今なら5万リタで提供できます」

「ちょっと、あなたさっきといってること違うじゃない!」


 そこへとユキさんがタイミング悪く食って掛かる。

 同時に棚が倒れてしまう。

 僕もまた騎士団長と目が合うと彼女が驚いた眼をしながら瞬いてにやりと嫌な笑みを浮かべる。


「ほう、これは元勇者がどうしてこんな場所にいるんだ?」

「あはは、どうもです。団長さん」


 彼女は黙り、店長の持つ槍に目を向けた。


「店長、その槍を5万リタといったな?」

「へい!」

「買わせていただこう」

「ありがとうございます!」

「ちょっと、それ私が目をつけていたやつ!」


 彼女はユキさんの言葉を無視で槍を受け取る。

 店長にお金を渡してそのまま、僕の方へと目を向けた。

 ゆっくりとこちらへと近づいてきて手に持った槍をまるで差し出すかのように突き出してきた。



「ほら」

「なんですか?」

「欲しかったのだろう?」

「そうですけど、何を企んでるんですか?」

「ふふっ、やはりわかるか」

「あきらかに怪しいですから」

「なに、すこし私に付き合って王城にまで来てくれればそれでいい。それにどうせそちらも用があったんじゃないのか? なあ、モア国の姫様」


 僕は思わず驚いて後ろを振り返る。

 彼女も知っていたのか顔見知りの態度で彼女に返事をした。


「数年ぶりになるの。アターシア」

「奴隷に落ちたと聞いていたがよもや奴隷勇者と一緒になって旅をしていたのは驚いたけどな」

「奴隷勇者などではない。こやつは私の恩人。馬鹿にするでないぞ帝国の騎士団風情」

「おいおい、亡国の姫様がお高くとまってよぉ」


 一触即発空気が漂い始めた時、またしても店のベルが鳴る。


「たいちょー、なぁにしてんすかぁ? おそいで……えええええええ!? 勇者様っ!?」


 またしてもうるさそうな輩がまた一名武器屋に入ってきて一触即発の空気が沈静化した。

 僕もまたこの状況に逃げきれそうにないのを痛感するのと同時に――


(どうせ、行く予定でしたからあきらめましょう)


 一つの決断をした。


「さっき、王城に来いって話まだ有効ですか? 素直についていきますよ」


 僕はそう帝国騎士団長のアターシアに応えた。

 

次回更新はまだ未定です。早くても5月5日以降を予定しておりますが待たせる可能性があります。


申し訳ございませんが気長にお待ちいただけると幸いです。



本作品を読んでくださった方々様、少しでもこのような拙い文章の作品ではございますが面白いと感じてくださったならブックマークよろしくお願いします。

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