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ルカル村の魔物たち3

お待たせしました。再開です。今回は再びカイム視点に戻ります。

 目の前の状況を即座に観察して敵の人数を即座に把握した。

 数多の戦闘を経験したことでまずは状況の把握が大事だとわかってきていた。

 だからこそ、瞬時に僕はこの場において最も戦闘力の低い相手を除外して注意すべき相手には不用意な攻撃を仕掛けはしなかった。

 最も注意すべきは黒衣のローブ着込んだ男。



「てめぇ何しやがるんだ! この俺の顔を蹴り飛ばしやがったなぁ!」

「それはお前が僕の大切な人に危害を及ぼそうとしたからです」


 反抗的な態度を見せる青年へ僕は飽きれた眼差しを送る。

 この男が一体誰なのかはわからないけれども、大切なユキさんへの下種な行いをしようとしていたのは彼女の姿を見れば明らかだった。

 僕は背負っていた少女をおろして、上着を一枚脱ぎ彼女に投げ渡した。


「それを着ていてください。ここは僕に任せてください」

「カイムさん……私……ごめんなさい」

「何を謝るんですか?」

「私自分勝手なことばっかりで迷惑ばかりかけているから……。それにあの彼も私の幼馴染で私の態度が原因でこんなことを起こしたとしか……」

「すべてがすべてをあなたの原因と思う必要は僕はないと思います。それに彼は元々そう言う性格だったというだけです。決してあなたが元ではないと客観的な意見としては思いますよ」

「まさか、聞いていたんですか?」

「途中からですが、遠くから微かに彼の言い分が少しだけ」


 モンスターの群れをなぎ倒して僕は焦るようにこの場に向かったのも嫌な予感がしたからだった。

 道中で墓地へと近づいてくる最中に予感が的中するように遠くから争いあう声と目の前の金髪碧眼の青年の独り言がかすかに聞こえてきていた。

 それでも、彼がどこの何者かはわからなかったけれどもユキさんに対して異常な恨みを持っていてさらにはこの村を焼き亡ぼした原因の人物とだと状況は察せた。

 だけど、この村をモンスターに使役させて亡ぼすなんて芸当は彼一人には到底できないのはわかった。

 その裏には誰かがいると考えてその人物こそが柱を建築した人だと予測もした。


(実際に墓地に来てみれば一人の異様な雰囲気を纏う黒衣の男がいるからびっくりしたんですけどね)


 明らかなわかるほどの異常な魔力圧。

 こんな金髪の青年に付き従っているのがおかしなくらいの男と思っていたがユキさんの幼馴染という言葉でなんとなく察することはできた。


「そこのお前はそこの弱そうなやつに雇われてる傭兵ですか? このモンスターもあなたの使役しているんですよね?」

「……」

「無言ですか」


 僕の言葉に全く反応をしない。

 逆に反応を示したのは金髪の男、ユキさんの幼馴染。



「おい! てめぇ、僕を無視して勝手に雇い主に話しているんじゃねぇよ!」

「雇い主?」

「それに僕が弱そうだって? ふざけんなよ! その身体に俺の実力を見せつけてやる!」


 僕が思い違いに考えふけって、もう一度ローブの男を観察しようと目を動かしたがその視界を阻むように金髪の男がかかと落とし攻撃を仕掛けた。

 盛大に吹き飛ばされる。


「ハハァッ! ざまぁみろってんだ!」

「アーティー! もうやめて! カイムさんが死んじゃうわ! 恨みがあるのは私なんでしょう!」

「ああ、そうだけど今は俺を馬鹿にしたそこのクソ勇者を殺すのが最優先事項さ!」


 ユキさんが動こうとした気配を敏感に感じ取った僕は叫ぶ。


「ユキさんっ!」

「っ!」

「大丈夫ですからユキさんは彼女と一緒に離れていてください。彼女と一緒なら魔物も来ませんから」


 僕は奴隷の少女に目を向けて遠くにユキさんを連れてくようにアイコンタクトをする。

 意思が伝わったのか奴隷少女がユキさんの手を引いて近くの墓石の裏に身を隠す。

 僕はローブの男の動向を見つめた。

 手を出す気はない様子であるのにほっと安心する。


「てめぇ、俺をさっきから無視ばっかりしてんじゃねぇ!」


 再び、ユキさんの幼馴染のアーティーと呼ばれていた青年の疾走の勢いを乗せた一撃の蹴りを与えてきた。

 だが、その行動は三切っている。

 右腕でガードをした。


「っ!」

「あの悪いですけど、僕にはあなたの攻撃はすべて見えてるんです。だから、弱いといってるんです」

「舐めるなぁああ!」


 2撃3撃の連続の拳と蹴りの攻撃を次から次へと打ち込んでくるがそのすべてがまるで僕には虫を捕まえるよりも簡単に見えて弾きまくった。

 アーティーが息を切らし始めたところに懐へと拳を叩き込む。

 彼が勢いよく飛び柱に激突した。

 瓦解していく柱。

 僕は再度尋ねるようにローブの男へと詰問する。


「柱を壊してもお前は何も行動を起こそうとしないということは目的は達成しているということですか?」

「ふっ、さすがは勇者か」

「ようやく口きいてくれましたね」

「何、少しばかり上と連絡を行っていたのでね」


 突然に周囲に大勢の黒いローブを着飾った人たちが集まりだしていた。

 ローブの集団の一部が倒れたアーティーを担ぎ上げた。


「ちょっと、彼をどこに連れていくのよ!」


 ユキさんの質問に答えない。

 彼女が近づこうとした瞬間に何かを撃ち込んできた。

 僕は咄嗟に彼女を守る様にそれを弾く。


「おい、何してくれてるんですか?」


 さすがの僕も怒りを滲ませた。

 突風を巻き起こすと風にあおられてアーティーを雇ったというローブの男のケープがめくれて素顔を現す。

 白髪の40代くらいの無精ひげの男。その男の特徴は何とも見にくく悍ましいその片方の真っ黒に開いた穴。そこには本来目があるはずなのに目がない。眼帯もしない隻眼の男という表現が正しい。

 息をのんでその姿を見つめた僕の意識を引き戻すような悲痛な咆哮が聞こえた。

 それは背後から疾走と同時に迫る。


「ぐがぁあああ!」


 それは奴隷少女である女の子。

 彼女は隻眼の男に向かい鉤爪を向けて攻撃を仕掛けにかかったが男の前に一人の白いローブの存在が剣で彼女を斬って防いだ。


「っ!」


 慌てて斬られた奴隷少女の傍による。

 彼女は峰内を食らっただけの様子で致命傷にいたらなかったようだ。

 僕は顔を上げて攻撃をし返そうとするがローブ集団の姿はどこにもいなかった。

 あっという間に消えた謎の集団。


「くそっ、逃げられました」


 悔しさに息を詰まらせるように噛み締めて周囲を観察する。

 崩壊したルカル村と村民の死体だけが悲しくも残される現場。

 あまりにもひどい結末をおもわせるのを物語っていた。


次回の更新は来週を予定していますが日曜日か月曜日を予定しています。ですが、早ければ金曜日に更新できるかと思います。




待たせる可能性もあります。






申し訳ございませんが気長にお待ちいただけると幸いです。






本作品を読んでくださった方々様、少しでもこのような拙い文章の作品ではございますが面白いと感じてくださったならブックマークよろしくお願いします。

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