首領との出会い
そして1週間後、風邪で休んだことにしていた私は再び学園で学生しながら、この学園も王立の所なので潜入操作を開始する。
私は一応、貧乏ではあるが男爵家の一人娘だ。
名前はミナマリア・ルイス。
悪の組織シークレットメイズの首領Dr.Fは、父の知り合い且つ友人で科学者である父の後輩だ。もちろん父はこの後輩が悪の組織の首領の事は知らない。
Dr.Fの本当の名はステア・フーラー。
豊かな土地の領主の子で、とてもお金持ちだ。
この学園に通う資金をDr.Fに援助してもらっている。
ステアは幼い頃から頭が良く神童と言われて、飛び級で工業科学の大学へ行き、父たちと様々な物を作成したり研究したりしていた。
そして、その才能を妬んだ者たちに疎まれるようになり、更にその研究内容から気違い扱いされ、ステアは大学から去って行った。
家に閉じこもり、1人で何やらを研究しているステアを心配して、父マーキスは私を伴って、よくフーラー家を訪ねていた。
私より一回り上のステアは、いつも穏やかな笑顔の、眼鏡をかけたイケメンだった。
そして、行けばいつも研究室にこもって、何か書き物をしていたり、何かの機械を作っていたりしていた。
父と少し会話した後、研究を見られたくないようで、私たち客人を中庭のテーブルへと案内するのが常だった。
中庭はいつも手入れされていて、季節の花が咲いている。
けど、私はこの素敵な中庭よりステアに興味深々だった。
黙々と研究に打ち込むイケメンというのが、私の中でとても輝いて見えた。
父がステアの父の子爵に挨拶しているとき、ステアの方に1人で行き、研究している物をじっと見つめていた。
何か乗り物の設計図に見えたが、ただの乗り物ではなさそうだ。
魔術式が設計図の至るところに書き込まれてある。