びっくり箱送付事件(後編)
前回のあらすじ
びっくり箱が送られて、それの調査をした。
犬山「とりあえずそのマスコットキャラクターを見せてくれませんか?」
工場長「いや、それは出来ん」
犬山「どうしてですか?」
工場長「お前説明しろ」
秘書「はい、今日は地方に営業が入っていて、朝早いので昨日の夜から外出してるんですよ」
犬山「営業ですか?ならそのキャラクターの通りなら、営業中は送られないはずですが......」
秘書「魔法です、魔法の力で送られるんです、手数料が発生しますが」
犬山(それは魔法じゃなくて郵送だろ......)
工場長「とりあえずマスコットキャラクターの写真ならここにありますよ」
犬山「ならそれを見せてください」
工場長「これです」
そこにはゆるキャラのような着ぐるみがいた
犬山「このキャラクターですか」
工場長「はい、そうです」
秘書「......すいません、電話が入ったようなので少し席を外します」
工場長「あぁ、大切な仕事先の連絡の可能性があるから、他の人の声とか物音が少ない場所でよろしくな、雑音が入ると聞き取りにくくなるし」
秘書は部屋から出ていった。
犬山「それでこのびっくり箱っていつから生産を始めたんですか?」
工場長「生産か......そのびっくり箱、さっきうちの製品だとは言ったが......実は三ヶ月前に生産を中止したんだ。」
犬山「生産終了?なら何であんなに送られているんですか?」
工場長「多分よく似た商品だったか、もしかしたら在庫処分に困った店が無差別に送っている可能性もあるな」
犬山「でも在庫処分だったら普通にセールに出せばいいのでは?」
工場長「かつてあのコンビニでも売っていたんだよ、コンビニは中々値下げしないだろ、フランチャイズチェーンのコンビニだし」
犬山「確かにそうですね」
工場長「だから値下げ出来なかったし、食品のように期限があるわけでもないから処分も出来ないため......自作自演に走った可能性もあるな」
犬山「なら私の所に送る必要性は?」
工場長「多分......何処でもよかったんだろ、適当にどこでも送って無差別に送れば、ある意味一種のテロ......びっくり箱テロとして」
犬山「確かにその可能性はないとは言えませんね」
犬山(いや違う......そもそもこの工場長は何でこんなにペラペラ可能性を探っているんだ......?もしや......犯人はこの人......?自分を疑われないように沢山の可能性を出して、疑われる人が増えるようにしているのでは......?ただ確証は出来ない......もう少し探らなければ)
そのとき工場長の携帯に秘書から電話が入った
工場長「もしもし、どうした?得意先から新しい注文でも入ったのか?」
秘書「た、大変です!あのびっくり箱が大量に送られました!」
工場長「何だって!?」
犬山と工場長は秘書のもとにすぐ向かうと、営業に行ってたはずのキャラクターが倒れており、その中には沢山のびっくり箱で詰まっていた。
犬山「このキャラクター......確か営業に行ってるはずでは?」
工場長「すいません、こいつのキャラクターを守るために嘘を言いました、予め予備もあったんですよ、何体か」
秘書「そうです、今営業には本体と予備の計二体がいます、こちらでは元々予備が二体いて、その一体がこれです。」
犬山「それを知ってるのは?」
工場長「内の工場に勤務してるものの中で10人程の人間が知っています」
犬山「なるほど......つまり犯人はこの工場内に勤務してるその10人......今は工場長と秘書の二人がいますが他の人は?」
秘書「他の八人は、四人が営業に、二人は今日は休みで、残り二人は夜勤で今頃仮眠室で寝ています。」
犬山「つまり工場長と秘書と夜勤の二人が怪しいと?でも夜勤でも何時から働いてるんですか?」
秘書「夜勤二人のタイムスケジュールは夕方の五時から出勤で、つい一時間ほど前に仕事が終わって、そのあと仮眠室で仮眠を取ってます。」
犬山「となると仮眠室で寝てる二人は......アリバイが証明出来ませんね、見てる人が......いや監視カメラはどうですか?確認してください」
工場長「監視カメラでも私が先程寝る前から今までのを4倍速で確認しましたが、特に変化はなかったです」
犬山「となると容疑者はあなた方二人に絞られますね」
工場長「どうやらそのようですね」
秘書「でもどちらが犯人かは分かりませんよ、私も工場長も仕事で近くにいましたし、お互いのアリバイはお互いで証明出来ます」
工場長「確かにそうだけど、それだと不可能犯罪......じゃないですか」
犬山「いや......完全犯罪の可能性もありますね......誰にもバレないようにする犯罪......」
工場長「完全犯罪ですか......」
犬山「そしてその犯人の正体も分かりました......」
工場長「何だって!?」
犬山「ではゆっくりと説明します、まず私の家もしくはコンビニに送られた事件ですが、あれの犯人はあなたですよね工場長!そしてキャラクターにびっくり箱をつめたのは秘書さんあなただ!」
工場長「まてまて、つまり二人が事件を起こしたってことか?」
犬山「そうなりますね、トリック......といっても工場長の場合ただ送っただけでトリックもありません、秘書さんは、離れているすきに沢山のびっくり箱をキャラクターに詰めました、あの電話も仕事先ではなく遠隔操作で特定の時間になったら電話が鳴るようにしていたんでしょう」
秘書「やはりバレますか......」
工場長「おいお前!?」
秘書「工場長は私の計画に気付いていたんですよ、だからあんなことをしたんです......私はあのキャラクターとびっくり箱をコラボさせて時間になったら飛び出す一種の鳩時計を作ろうとしましたが没を喰らってちょっとした仕返しにこの計画をしましたが、工場長にバレました、ですが工場長は私を攻めたりせずにしてくれました、ですがあのびっくり箱はそのときすでに生産終了が決定してたみたいで工場長でもその変更は不可能な状況でした、なので生産終了後せめてでもこのびっくり箱の存在を忘れられないように送ったんですよ......」
工場長「お前......」
秘書の罪は犯罪行為にはならなかった、だが工場長の行為は郵便法だかよく分からないやつで嫌がらせ目的の郵送物を送ったとして捕まってしまった。
工場長は秘書の事を思って今回の事を起こした、つまり悪意を持っておこした犯罪ではなく、善意から起こしてしまった犯罪のため、今回工場長の性転換を行う事はとても不本意であった、更正目的として使われる物だが更正のしようがない......元々善人だったのだ、更正は無意味な事になる、それを元に犬山はある行動に出ようと考えた、それは裁判の証人になる事だ。
工場長の裁判に証人として出て、工場長の無罪を主張できれば、もし捕まっても悪意のない行為であった......その場合は一定の期間のみの性転換......更にその後の牢獄生活で済む......
性転換生活の後に牢獄に捕まる......これはあくまで妥協案だ、これを目指してる訳ではない......