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「あの、蝋沼くん」

 ショックで立ち尽くしていたので、声をかけた。

 ピーちゃんが逃げ出したのは恐らく間違いない。

 でも、どうして。

「何があったの蝋沼くん」

「ピーちゃんが、ケージを押し出して、落ちた衝撃で」

 震えた声で、そう言った。

 そのまま、扉が開いて、そこから逃げたんだろう。

「俺が、他の子にうつつをぬかしてたから、怒ったんだ」

 たしかに異様なテンションで、他の動物をみていたけど。

「でもそんな、まさ」

「恐らくそのとおりだろう。ピーちゃんだって、あの蝋沼くんをみたら、嫉妬してもおかしくはない」

 庵道さんは立ち尽くす蝋沼くんの背でそういった。

 ウサギってそんなに頭いいのかな。

 だとしたら僕はちょっとウサギをなめていた。

 うっかりウサギを見下した事を言いそうになったけど、庵道さんにさえぎられて助かった。

 さすがは庵道さんだ。

「でも、逃げたのなら、早く探さないと」

 こうなると、店の広さがやっかいだ。

 さらに、店の外に出られたら手に負えない。

「そのとおりだ。ほら、蝋沼くん。彼女が待っているよ」

「でも、なんて言えば……」

「謝ればいいんじゃないかな。ちょっと目移りしたくらいなら、たぶんそこまで怒ってないよ」

 ウサギのことはわからないけど、人間の一般論としてそう言った。

 今は励ますことが大事だ。

 ぽんぽんと庵道さんが蝋沼くんの肩を叩く。

 そうしてやっと、蝋沼くんは立ち直ったようで、動き出した。

 店員さんは、もう店を探し始めている。

「僕はこっちを見るよ」

 相手はウサギか。

 もしかしたら、棚の奥とかに隠れているのかも。

 サイズ的には余裕だろう。

 しっかりと棚のひとつひとつを確かめていく。

 へえ、ペット用の歯ブラシなんてあるんだ。

 ピーちゃんはしてるのかな。

 なかなか見つからない。

 さすがにペットのケースの中には入ってないよな。

 していると、庵道さんが声をあげた。

「あそこだ。蝋沼くん」

 その指の先、棚の上に、ピーちゃんはいた。

 気のせいか耳が垂れて哀しそうな。

 蝋沼くんはそれを見て、安堵するとともに、その場で土下座した。

 背に庵道さんがいることを忘れているかのような、それはそれは潔い土下座だった。

「わっ」

 庵道さんも引っ張られるように、床に落ちる。

「大丈夫ですか。庵道さん」

 かけより、庵道さんの手を取り、床を這いずるように少し下がる。

 こんなシリアスな場面で庵道さんの手を初めて触ったことなんて考えない。

 柔らかくてぬくもりがあって爪が綺麗なんて。

 考えない考えない。

「ごめん。ピーちゃん。俺が悪かった。他の動物達に気を許してしまった。俺にはピーちゃんしかいない。どうか許してくれ」

 額を床にこすりつける蝋沼くん。

 棚の上のウサギに土下座する男子高校生。

 なんだか不思議な光景だ。

 しばらく無音の緊張感が漂ったが、ピーちゃんは許したように、蝋沼くんのもとに駆け寄った。

 蝋沼くんはピーちゃんを優しく抱きしめる。

 二人は愛を再確認できたのだろうか。

 ぱちぱちと、店員が拍手した。当事者よりもむしろ、店員さんが少し泣いている。

 僕もつられて、手を叩いた。そして庵道さんも。

 拍手に包まれる中、蝋沼くんとピーちゃんは、なかなか離れなかった。

 

 もう今日の太陽の仕事も終わりに差し掛かっていたので、家に戻っていた僕は、ジョニーの散歩にでかけた。

 ジョニーはあいかわらずいい笑顔だ。

 白い毛に赤い陽が薄くかかる。

 蝋沼くんのことを考えながら、ジョニーに引っ張られるように歩く。

 蝋沼くんは確かに変人だ。

 今日のことで、不本意ながら再確認してしまった。

 けれど、彼は変更部の中では、どの変人よりも……。

「いけいけジョニー。大地をふみしめすすめー」

 美しい歌声が聞こえたと思ったら、庵道さんが現れていた。

「どうしたのその歌」

「おっと、つい口ずさんでしまった。今日のカラオケの影響かな。どうだった? 今日の僕の歌は」

「とっても素敵だったよ。録音していなかったのが残念なくらい。していたら、今でもループ再生しながら散歩できたのになって」

「そ、そうか。それは恥ずかしいからやめておきたまえ」

 あっ、なんだか期待をこめた目に見えたから、つい変なことを言ってしまった。

 引かれただろうか。そっぽを向いてしまったし。

「あー、うん、ところで、蝋沼くんについて、君はどう思う」

 仕切りなおすように、庵道さんはそう聞いてきた。

 なんだか耳が赤い。

 今思ったけど、庵道さん二人きりの時様子がおかしい。

 僕が舞い上がってるだけかな。

「どうっていうのは?」

「ふむ。今日の彼をみて、思ったんだよ。本当に彼の性癖を治せるのかとね」

「ああ、でも、時間はあるんだし、気長にいけば」

「そうだね。だが、さらに思ったんだ。彼は別に、すぐに治らなくても十分やっていけるんじゃないかってね」

 それは、さっき僕も思っていた。

 庵道さんと同じ発想なんて照れる。

「墓井くんや紅百合くんは人に迷惑をかけ、友達も少ない。手結くんは時間が限られている。ならば、優先すべきは彼女達のほうなのかもしれない」

「確かに、困っているのはそっちのほうかも」

「まあ、そうはいっても、今は仲良くなる以外の変更方法が思いつかないんだけどね。だからこれはただの確認だ」

「うん」

「次は皆と何処で何を楽しもうかね。ふふふ」

 そう言って不敵に笑う。

「いつも部室じゃなんだから、帰りに喫茶店によるとか」

「おお、それはいい。ああいう店は、仲の良さそうな学生をよく見るよ」

「あとはボウリングとか」

「ボウリングは知っているが、僕にできるかね」

「うーん。こう、前で抱えて貰えば」

「それは恥ずかしいな……」

 別れるまで、僕たちは雑談をかわした。

 それはそれは楽しくて、別れ際が少し寂しかった。


 とある日の部活、墓井さんが興奮したように言ってきた。

「できましたよみなさん。これで世界は平和です」

 なんだろう。世界共通語でも生まれたのかな。

「薬です薬。皆さんの変人を治す薬ですっ。予定よりかかっちゃいましたけど」

 あ、初対面の時に言っていたあれか。

 まさか本当に作っていたとは。これも彼女の変人性ゆえだろう。

 法律的に通報したほうがいいんだろうか。

 それとも、料理の一種として認められるかな。

 それは小粒のカプセルで、赤色だった。

「おお、さすがだ墓井くん。それは確かにこの世を平和にする所業だろう」

 庵道さんが、大げさにいった墓井さんにのっかった。

 もちろん庵道さんだからといって、物理的な意味ではない。

 ノリがいいなあ。

 他の皆はややぽかんとしているのに。

 墓井さんが広げた手のひらには、4錠ある。

 庵道さん、蝋沼くん、紅百合さん、手結さん。

「あれ? ひとつ足りなくない? 墓井さん、自分の分忘れてた?」

「忘れてないです。私と皆さんに何かあったら、誰がなんとかするんですか」

 何かあるような薬なのか。

 全力で窓から投げ捨てたいなあ。

 でも、墓井さんが何日も頑張って作ったわけだし。

 眼も、凄い輝いているし。

 僕は変人ではないから、飲むわけじゃないんだけど、飲む側の皆はどうなんだろう。

「それを飲めば、普通の洋服が着られるの?」

「ええ、もちろんです」

「だったら、飲んでみようかなー」

 ああ、手結さん、乗り気だ。大丈夫かなあ。

 身体が変色したり、病気になったり、幻覚をみたり、しないよね。

「あたしも、試してみようかしら」

「ぜひぜひ」

「もし治れば、女の子の友達が沢山できるはず」

 紅百合さんも薬に手を伸ばす。

 ん、治った場合レズじゃなくなるわけで、その状態でも女の子の友達を沢山欲しがるのだろうか。

「僕は当然飲むよ。すぐにでも治したいからね」

 そう力強くいって、薬を手にとった。

 前回と違って、止められる空気じゃない。

 庵道さんが、そこまで治したいと思っていたなんて、僕は少し思い違いをしていたのかも。

 もしかしたら、すごく楽しみに待っていたのかも。

「蝋沼くんはどうするの?」

 最後にまだ手にとっていないので、聞いてみた。

 前に庵道さんと話したように、彼は別に困っていないのだろう。

 もしかしたら飲まないのかな。

「ああ、俺も頂こう。せっかくこの部に入ったことだし、何かの縁だ。それに、こんなものじゃ、俺のピーちゃんへの愛は変わらないさ」

 なんだか格好良くそう言って、受け取った。

「はい、みなさんどうぞ」

 墓井さんは、紙コップと水筒をとりだした。

 それぞれに水を注ぐ。

 準備がいいことだ。

「皆(とくに庵道さん)になにかあったら、すぐに救急車よぶからね」

「少しは墓井くんを信用してやりなよ。そんなんじゃ、仲良しこよしにはなれないぜ?」

 庵道さんはそう僕をたしなめて、紙コップを手にとった。

「ではゆくぞ。これでこの部も最後になるかもしれないが、そうなっても、離れ離れになるわけじゃない。僕達の関係は続いてゆくだろう」

 そんな、なんだか最終回のようなことをいって、薬を飲み込んだ。

 でも、本当に庵道さんがこれで治ったら、そしたら。

「薬はカプセルなので少し効果が現れるまでかかります。あと、今回は試作品なので、時間がたてばすぐに戻りますよ」

 待つ間、墓井さんはそう説明した。

 試作品、まあしょうがないか。

 実験施設で、試験者を募れるわけでもないし。

 すぐに効果がきれるなら、そこまで心配することはないのかな。

「なんだか、ただ待つのも退屈だね。またトランプでもするかい?」

「あ、それはいいかも」

 僕もそう思っていたので、同意する。

 退屈というより、不安なのかもしれないけど。

 いつものように庵道さんがシャッフルしていく。

 綺麗な手だなあ。相変わらずカードをきるのがうまいけど、結構触ったことがあるのかな。

 適当にゲームを進めていたら、なんだか皆震えているような。

 もちろん僕と墓井さんはなんともない。

 最初に動いたのは、手結さんだった。

 すっと立ち上がり、いつもの上半身ビキニから、良心のようにのこっていた、首元のリボンを取り外す。

 あれあれ、何をしているんだろう。

 そして、そのまま、スカートも、って

「ちょっと手結さんなにやってんのっ」

 止めるが間に合わず、スカートも床に落ちた。

 下は、ぱんつではなく、ビキニ、つまり水着だった。

 ああ、上下セットだったんだ、と妙に納得してしまう。

 奇妙な行動をみて、僕と墓井さんが立ち上がる。

 さらに、上のビキニにまで手をかけたので、止めようとした。

 しかし、紅百合さんが手結さんに抱きつくことによって、脱ぐ動きは封じられた。

 いつのまに移動したんだ。見えなかった。

 紅百合さんは手結さんのまるだしのおなかをすりすりしている。

 さすがに、これには手結さんも青い顔になって、逃げた。

 追うように、紅百合さんも部室を出ていった。

 残される四人。

「ちょっと、どういうこと?」

 墓井さんに問いかける。

 今の現象を説明して欲しい。ああ、墓井さんが薬をのんでいなくてよかった。

 説明してくれるだけでも、今は有難い。

「どうやら、プラスとマイナスを間違えたようです。といっても、そんな簡単なものではないんですが」

 指をくりくりしながら、申し訳なさそうに墓井さんは答えた。

 プラスとマイナス。

 つまり、変人度が下がるどころか、上がったんだろうか。

「だから、手結さんは脱いで、紅百合さんはそれに反応するように、過剰に手結さんに迫ったってこと?」

「そうですね」

「そんな状態の二人を外に出したら、大変なことになるんじゃあ」

 手結さんのあられもない姿が、学校にさらされる。

 学校の女子達が、紅百合さんによって、トラウマを背負ってしまう。

 そして、元に戻った時、さらに二人の評判が悪くなってしまう。

「すぐに追いかけるです」

 墓井さんがそう言って、外に出ようとした時、蝋沼くんが立ち上がった。

 よかった。彼なら、それほど大した事には、

「なあピーちゃん。どうして俺達はまだ結婚していないんだろう。法律? そんなもの、俺達の愛で捻じ曲げればいいだろう。世間がまだ俺たちの存在


に気づいていないだけかもしれない。

よし、すぐ行くぞピーちゃん」

 なっていた。

 ピーちゃんを抱え、脱兎のごとく、部室をでていった。

 別に前にあった時と違って、ウサギは逃げてはいないけれど。 

 蝋沼くんの奇行に、また僕達はぽかんとしていた。

 なんだかみんな何処かへいってしまう。

「はっ。ちょっとみなさーん」

 そう言って、墓井さんまででていってしまった。

 残される庵道さんと僕。

 庵道さんを置いていくのはまずいかな。

「す、鈴木くん」

 震え声で呼ばれた。

 見ると、庵道さんは辛そうに、腕をおさえるように、下をむいていた。

「はい。大丈夫? 庵道さん」

 すぐに側に駆け寄る。

 庵道さんはどうなるんだ?

 今更確認するまでもないけど、庵道さんは人前で歩けない。

 そこがプラスされるっていうのは。

「す、鈴木くん。あまりこちらを見ないでくれ。なんだか見られていると、座っているだけでつらい」

 赤くなり、汗も多少かいている。

 人前で座るのも駄目ってことは、常に人の上にいたいってことなのかな。

 でも、皆でていってしまった。

「あの、だったら皆を呼ぼうか? 人の上にいれば、多少安らぐんじゃ」

「それは、いい案だが、ちょっと、間に合いそうにない」

 いつものように、部室の外の廊下に人はいないだろう。

 人の多いところから、離れている部室だから。

「だったら、僕に乗っても。僕は全然平気だから」

「う、うん。それは、そうなんだが」

 ものすごく葛藤しているような。

 そんなに嫌なのだろうか。ショックが大きい。

 でも、辛そうな庵道さんを見ているのは僕も辛い。

「も、もうだめだ」

 そう聞こえたのと、僕の身体に幸せな感触がきたのは同時だった。

 何も重さを感じない。

 紙が背中に乗ったような。

 けれど、柔らかい感触が二つある。服越しでも、これほどなのか。

 脳髄がしびれていくような感覚に陥る。

「ぬあ」

 思わず声が出て、エビぞりになってしまった。

 さらに、汗のせいか強調されたにおいが、鼻腔をせめてくる。

 これまで嗅いだなによりも、僕の顔を熱くする。

 腕をこちらの首のあたりをかかえるように組む。

 どんなマフラーよりもずっとつけていたい。

 それが初めて庵道さんに乗られた感想だった。

 この瞬間を一生忘れることはないだろう。

「ふう、ふう」

 庵道さんの息遣いが聞こえてくる。

 耳が、耳が、熱い。

 僕の身体って、こんなにあちこち熱をもつものだったんだ。

 通っちゃいけないところまで、血が通っていないだろうか。

 庵道さんの感触がない足を切り落とせば、もっと集中して楽しめるだろうか。

 皆はこんな感覚を味わっていたんだなあ。

 よく平気でいられるものだ。

 ちらりと横目で間近の庵道さんの顔を見ると、トマトかなにかとおもうほど、それは真っ赤だった。

 これだけの距離でみても、綺麗な肌だ。

「う、は、恥ずかし」

 ぎゅーっと庵道さんは眼をつぶっている。

 だから、眼は合わなかった。

 僕はかなり恥ずかしいのだけど、庵道さんもなのだろうか。

 もしかしてそれが、僕に乗らない理由なのだろうか。

 どうしてだろう。

 一秒が一時間に感じるほどだったけど、しばらく僕たちはそのポーズのまま立ち尽くした。

「う、く、くは」

 妙な声を残して、庵道さんはふたたび椅子に戻る。

 少しは楽になれたかな。だとしたら役に立てて嬉しい。

 庵道さんが離れて、寂しいけど、わがままは言えない。

 今はただ余韻を楽しむのみ。

 庵道さんは、たまにクラスで寝ている人のように、腕の中に顔を伏せている。

 まだ発作のように、ぴくぴくしているが、大丈夫だろうか。

 その頭を撫でたくなるが、さすがにできない。

 そのまましばらく経ったが、もう、僕の背に乗ってはこなかった。

 粗相がなかったか、先程のことをおもいだす。

 たぶん、何もしていないはず。 

 していたら、僕達の関係は終わりだ。

 そんな事は絶対に起きてはいけない。

 二人だけの静かな時間が流れる。

 遠くから、学校特有のざわめきや、野球のバットと球がぶつかる音がするくらい。

 身体がすーっとしてきて、先程の危ない熱も引いてきた。

 庵道さんの震えも、なんだか治まってきたようにみえる。

 薬の効果が切れつつあるのだろう。

 やがて、部室のドアが開き、二人の時間は終わってしまった。

 変更部の4人は皆戻ってきた。

 手結さんは落ちていたスカートとリボンをつけなおす。

「危なかったです。なんか、ずっと紅百合さんが手結さんを追いかけていたので、あまり大変なことにはならなかったようです」

「そうなんだ。それならよかった」

 それ以上脱ぐ暇もないくらいだったってことか。

 ずっと追いかけていたのは、たんに肌色が多かったからかな。

「ごめんね。手結ちゃん。なんだか、理性がたもてなかったわ」

「いえいえー。おかしくなってたのは、私もだから」

「皆、さっきの出来事、覚えてるの?」

「ぼんやりとだけどね」

 気になったので聞いてみたら、手結さんはそう答えた。

「なんだか凄い衝動に動かされたきがする」

 蝋沼くんも、頭を掻きながら、そう言う。

「皆さんごめんなさい。うちがもっとちゃんと作っていれば」

 墓井さんが皆に頭を下げた。

「なあに。人の異常を治す薬なんて、そう簡単に作れるものじゃないさ。いい経験だったよ。次はこの経験を活かして頑張ってくれ」

 逆に、庵道さんは頭を上げて、そう言った。

 すっかりいつもの顔に戻っている。

 確かに、僕にとっても、皆にとってもいい経験だったんだけど、庵道さんはほんの少しだけ、哀しそうだった。

 それに皆が気づいたかはわからないけれど。

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