プロローグ
あの時行動していなかったら、今の僕は無かった。
目の前には個人的に幸せな光景が広がっている。
独特の匂い漂う室内プールで、右手側には女の子をナンパしている紅百合さん。相手というか獲物だかはうちの学校の生徒ではないので、まだ逃げら
れてはいないようだが、それも時間の問題だろう。
背が高く髪をポニーのシッポのようにまとめていて、すらりとした体型にビキニを纏っている。多数の人が綺麗だと思っていても、性癖には関係がな
い。
「ど、どうかしら。一緒に泳がない? あ、やば」
ここで鼻血を流されても、ティッシュはないぞ。
左側には男友達の蝋沼くん。彼女のピーちゃんを入れたカゴをこんなところまで持ち込んでいる。係員に怒られないか心配だ。
「大丈夫だ。たとえ何が邪魔しようと、俺達の愛は変わらない」
そして前方には墓井さんと手結さん。
墓井さんはスク水を選んだようだ。見た目をあまり気にしないタイプだからかもしれない。手に怪しげな機械を持っているけれど、あれは何をしでか
すものなのか。
「こんな時のために設計しておいてよかったですっ」
手結さんはなんというか直視できないような水着だ。普段の格好も相当だったけれど、それ以上を極めてきた。普段の格好程度で満足していてほしか
った。
「うへへ。もっと見て……」
その上に寄りかかるようにして、床に足をつけないようにして、庵道さんもいる。オレンジを主体としたドーナツ柄のビキニが庵道さんの魅惑的な身
体を包みあげる。その長い髪は蒼く、プールとマッチしていた。
こちらを見て、にやにやと頬を緩ませる。
「鈴木君、今日はどんな活動をしようか」




