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四国でみんな生きている  作者: 山田忍
四国でみんな生きている7
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高知でみんな生きている7

 高知県。

「ユキ‼ 逃げるぞ‼」

 真言はユキを抱えてモンスターから逃げている。

「次の善楽寺(ぜんらくじ)まで走るぞ‼」

「!」

 真言がひたすら走ったお陰で善楽寺に着いた。

「ユキ、人間やれば出来るもんだな……ん? 人間か?」

 真言から飛び降りたユキは先に水屋に向かった。

「待てよ。ユキ」

 御朱印を貰った真言は、幽霊と話をした。

「少し休憩がしたいのですが……」

「いいですよ。宿坊で少し休んでください」

 許可を貰った真言は宿坊で金剛杖を洗った。

「じゃあ、休むぞ。ユキ」

「!」

 真言が中に入ると、冒険者が数人いた。それを目撃した真言は、

「ユキ、静かにしていろよ」

「!」

 真言が顔を隠して入って行くと、冒険者の一人が声をかけた。

「あの!」

「⁉」「?」

「あっ、待ってください‼」

 真言は走って逃げた。

「逃げるぞ。面倒な事になるぞ」

 真言は急いで部屋に隠れた。

「はあ……。しばらく、隠れているぞ」

「!」

 ユキを抱いた真言が隠れていると、襖を叩く音がした。

「あの……お遍路さん‼ もしかして、高知県を一人で歩きで旅をしているのですか?」

「いいえ。車です」

「⁉」

 ユキは不思議がっているが、真言は冷静に、

「私は車で旅をしているのですが、上手く逃げているだけで、何の役に立ちません」

「⁉ ⁉ ⁉」

「そんな、お願いしますよ~」

 ユキは混乱して倒れたが、真言は無視している。

「協力してください‼」

 冒険者は襖の向こうで頭を下げているが、真言は、それでも無視している。

「お願いします‼」

「…………」

 真言は意地でも無視している。

「……」

 冒険者は静かになり、真言はユキを布団に入れ、真言も横になった。

「やっと、眠れる」

 真言はしばらく眠った。

 それから、少しして起きると、

「三時か。走れば竹林寺(ちくりんじ)まで、間に合うな」

「……」

 ユキは何か考え込んでいる。

「? ユキ、あの、冒険者の事が気になるのか?」

「!」

「ユキ。俺は、じーちゃんを探さないといけないんだ。じーちゃんの事を考えたら、他の冒険者の事はどうでもいいのさ」

「……」

 ユキは真言を冷たい目で見ている。

「冷たい目で見るなよ。ユキ。じーちゃんが目的なんだぜ」

「……」

 ユキはまだ冷たい目だが、真言は立ち上がり、

「さあ、もう行くぞ。竹林寺に行くぞ」

 真言は白衣を着て、外に出た。

「出るぞ」

 外に出て、幽霊に礼を言った。

「それでは……」

「お遍路さん‼」

「えっ⁉ まだ居たのですか⁉」

 真言が驚いていると、冒険者は真言の肩を抱き、話を続けた。

「僕たち、高知県のダンジョンに出かけているのですが、そのダンジョンに行く資格を持った冒険者がいないので、そのダンジョンに行けないのです‼」

「では、資格を持った者は?」

「その……ダンジョンの中の地下一階に……」

「ダンジョンの中にですか⁉」

「はい、そうです。全員で逃げようと思ったのですが……彼だけ捕まったのです」

「あなたたちは脱出出来て、その冒険者は捕まったのですね」

「はい」

「しかも、ダンジョンに潜る事が出来る資格を持った冒険者がいないため、あなたたちがダンジョンに潜る事は不可能との、事ですね」

「はい。潜りたくても潜れないのです。……警察を呼んでいる間に、死んでしまっては嫌なので……それで、四国でお遍路さんをしている、あなたに協力してもらおうと思って……」

「……高知県のダンジョンは潜る事が出来る許可は貰っていますよ」

「本当ですか⁉ では、今からでも行きましょう!」

 真言が外に出ると、外には車が用意していた。

「車⁉」

「はい。車です。よろしければ、乗ってください」

「本当かよ! これで、お遍路さんが仲間になったら最高だぞ!」

「!」

「ユキ、車に乗ってみろ。車は楽しいぞ」

「!」

 ユキは、真言より先に車に乗った。

「! ! ! ! !」

 ユキは嬉しそうに車の中で、転がった。

「ユキ、初めての車は楽しそうだな。バイクとかも乗ってみるか?」

「!」

 転がっていたユキは真言の膝の上に座ったら、真言は小声でユキに言った。

「ユキ、片目を瞑れるのなら、瞑っておけ」

「?」

「では、行きますよ」

 二人で高知に行くと、かつて栄えていた町は廃れ、町には誰もいない。

 真言とユキが車で向かった先は、高知城の前だ。

「高知城の前ですか……。ここですね。そういえば」

「はい、ここであります」

「待っていてくれよ」

 高知城の前にあるダンジョンは人工的な洞窟になっており、見た目は徳島県のダンジョンよりは潜りやすい。

「では、行きましょう」

「これは許しより、仕事だな」

 真言は薄く笑った。

「準備はいいか。行くぞ!」

 全員、ダンジョンに潜った。

 高知県のダンジョンの中は暗く、目の前は見えないので、冒険者の一人はライトを点ける。

「やめろ」

 真言は冒険者のライトを消す。

「⁉ 何するんですか⁉」

「高知県のダンジョンは他のダンジョンと違い、暗い。だが、明かりを点けると……」

 真言が冒険者のライトを点けると、

「モンスター⁉」

 上から巨大なコウモリのモンスターが出て来たと、同時に真言はモンスターを撃ち殺した。

「モンスターは大声だけでなく、ダンジョンの中では、光にも反応して襲ってくるからな。だから、ライトを点けるなって、ナビにも書いている」

「では、どうするのです?」

「片目を瞑って暗闇に慣れておくか、暗視ゴーグルを用意しておくのが、基本だ」

「なるほど」

「どうりで、モンスターが襲ってくるワケだ」

「次からそうしよう」

「他の三県が明るいから、時々忘れるヤツがいるから、気を付けろよ」

「あっ、はい」

 冒険者と真言は暗闇の中、先に向かった。

「⁉ 離れろ」

 真言は前に出て、銃を構えた。目の前には、モンスターがいる。

「?」

 人の姿をしたモンスターは目はあるが、鼻や口は無く、粘液まみれの姿だ。

(何だ。これ?)

 真言は銃で撃ったが、モンスターには効いていない。

「効かないのか……」

 真言は銃を二丁持ち、構えた。

「右手には炎」

 右手に炎に包まれた。

「左手にも炎」

 左手も炎に包まれた。

「焦熱」

 真言が銃を撃つとモンスターは燃えて倒れた。

「す、すごい……」

「……」

 真言はスマホを取り出し、何かを調べた。

「…………」

「あの……どうしました?」

「…………いない」

「えっ? 何が?」

「あのモンスターだ。見た事がないから調べてみたのだが、冒険者ナビに載っていないモンスターだ」

「えっ⁉ そんなモンスターがいるのですか⁉」

「年に二、三匹、新しいモンスターが出るのだが、これはその内の一つだな。恐らく、これは新種のスライムかもな。——⁉」

「⁉」

 巨大なクモのモンスターが現れたが、ユキの攻撃によって倒れた。

「礼を言う。ユキ」

 真言に撫でられて、ユキは嬉しそうだ。

「! ! ! ! !」

「さあ、早くここから離れるぞ」

「えっ⁉ あっ、はい!」

 真言はユキを抱え先に行くと、遅れて冒険者たちも追いかけた。

「でも、何で早く逃げないといけないんだ?」

「モンスターが燃えていただろ。モンスターってのは、炎を見ても逃げるどころか近寄って来るからな。だから、炎も極力は使わないようにしているんだ」

「なるほど、本当に参考になりますね」

「……これも冒険者ナビに書いている事なのだが」

(最近、冒険者ナビとか見ない冒険者とか多いな。おい!)

「早く、仲間を探しに行くぞ。死なれたら困るだろう」

「はい! 急がないと‼」

 冒険者は早歩きで歩いた。

「……いけるな」

「お遍路さん。何がいけるのですか?」

「ここのダンジョンは変わっていない。時々、変わるからな。ダンジョンは」

「それは聞いた事ある。モンスターとかが作り変えるとか……」

「実際は何故、変化しているのかは不明だが、そういう説は広まっているな」

「ダンジョンって不思議ですね」

「さて、次は……隠れていろ」

「ここは!」

 真言たちは広い場所にたどり着くと、足音が聞こえてきた。

「出たな」

 翼が生えた巨大な双頭の蛇の影が見えた。

「アンフィスバエナか。隠れていな」

「あっ!」

 遠くに倒れている人影が見えた。

「秀樹!」

 冒険者たちは走って向かおうとすると、真言が制止した。

「待て。考えなしに行ったら、お前たち、死ぬぞ」

「ですが、見殺しには——」

「俺が囮になる。その隙にお前で救出しろ」

「でも、それではお遍路さん……」

「気にするな。これを使え」

 真言は冒険者たちに魔法陣が描いている紙を渡した。

「これ、脱出の陣! お遍路さんはどうするのですか⁉」

「俺は自分で帰れる。お前たちは帰れ」

「……わかりました。では、救出します‼」

「そうだ。行け!」

 真言が一番に出て、アンフィスバエナを撃った。

「⁉」

 アンフィスバエナは真言に向かって攻撃したが、真言は飛び上がって避けた。

「お遍路さん……」

 冒険者たちは倒れている仲間の元に行き、脱出の陣を使い、仲間を連れて脱出した。

「よし!」

 着地した真言にアンフィスバエナは口から毒を吐き出した。

「しま——」

 真言の体に毒がかかった。

「短期決着だ。右手には氷」

 右手に氷が纏わりついた。

「左手には氷」

 左手にも氷が纏わりついた。

「氷刃」

 弾丸はアンフィスバエナに命中し、中から氷の刃が出てきたアンフィスバエナは倒れた。

「やったな。ユキ」

「‼」

 真言の体に毒がかかっているのをユキが心配している。

「ユキ。俺は平気だ。それより……」

 真言は奥に見える階段に向かった。

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