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四国でみんな生きている  作者: 山田忍
四国でみんな生きている7
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愛媛でみんな生きている7

 イヨの国、某所にて塔が立った。

「朝か……」

 ユーリナは、部屋で何となくテレビをつけると、フェアリーがアナウンサーのローカルニュースが流れていた。

『今朝未明、イヨの国某所に新たなダンジョンが発生しました』

「ダンジョン?」

 ユーリナは興味を示し、ニュースに釘付けになった。ニュースには、ニンフの女子アナがダンジョンの前にいる。

『これが、某所に発生したダンジョンです。外見は塔の形をしております』

「塔か……」

 イヨの国にもダンジョンはあり、ユーリナも何度か潜った事あるが、サヌキよりは難しいぐらいで、イヨの国のダンジョンも大した事ないと思っていた。

『今後、調査団を作り、ダンジョンの調査をする予定です』

「調査団か……行きたいものだな」

 翌日、イヨ高等学校にて、ユーリナが何気なく教室に入ると、

「ユーリナ!」

 走って来たのはフィリーだ。

「どうした?」

「ユーリナ、あんた……」

「大変な事ですよ‼」

 アイリスも焦っている。

「アイリス、フィリー、落ち着け、何があった?」

「ユーリナ‼ あたしたち、調査団だよ!」

「調査団に選ばれたのです!」

「はっ?」

「調査団なんだって! 選ばれたんだよ‼」

「あの……ダンジョンの?」

「そうよ。授業が済んだら、すぐにダンジョンに行くのよ」

「調査団か……嬉しいな」

「ただ、モンスター倒すだけじゃなくて、調べるのもあるんだし‼」

「わかっている。当然、調べるさ」

 ユーリナは目は輝いている。

「…………嬉しそうね」

「行く気マンマンじゃん」

 放課後、三人は集まった。

「行くぞ!」

「「……」」

 気合の入ったユーリナを見て、アイリスとフィリーは呆れている。

 その後、某所に集まった三人が見たものは雲に届きそうな塔とエルフの市役所職員だ。

「雲まではいかないけど……」

「大きいな……」

 フィリーは周りを見渡したら、ある事に気付いた。

「調査団って、この三人だけ⁉」

 市役所職員とユーリナ、アイリス、フィリーの四人しかいなかった。

「そうです。必要なアイテムはこちらで用意しました」

「礼を言う!」

 必要なアイテムを渡され、礼を言ったユーリナだが、フィリーとアイリスは不安そうだ。

「もう数人ぐらいと思ったけど……」

「この三人だけで行くのね」

 ユーリナは張り切って、

「さあ、行くぞ‼ 二人とも!」

「……わかった」

「行こう」

「行ってらっしゃいませ」

 市役所職員に見送られ、三人は塔の中に入った。

「ここが、新しいダンジョンか……」

 塔の中は壁に掛けられたランプが明かりとなっており、ユーリナたちが知っているダンジョンよりは明るく、この階にはモンスターは無く、ただ広い場所に階段があるだけだ。

「迷宮ではないな」

 ユーリナは壁を叩いて罠を調べるが、何も反応は無い。

「二階からは迷宮かもね」

 アイリスは魔法を使って調べるが、隠し通路等は無い。

「撮影したら、行こう」

 フィリーはビデオカメラで塔の中を撮影している。

「調べ終わったな。行くぞ」

 三人は階段を上ったが、階段はらせん階段になっている。

「長いな」

「緊張するわね」

「まあ、階段ではモンスターは出ないわよ」

 三人は二階に着いた。

「ここからだな」

 ユーリナたちが構えると、モンスターが現れた。

「モンスター⁉」

「スライムだ! 焦るな‼」

「わかっているわ」

 スライムは現れたが、アイリスは炎の魔法で倒した。

「やったわ。先に行く前に調べてみるわ」

 アイリスは魔法を使い、通路を調べた。

「迷宮になっているわ。全部見て見る?」

「見てみたいよ。お宝、あるかもしれないし」

「宝より、モンスターはどこだ?」

「二人とも……それじゃないでしょ」

「行くわよ」

「ユーリナ! そっちは——」

「⁉」

 アイリスが止めようとすると、ユーリナは床から出たトゲに刺さった。

「トラップがあるのに……」

「……先に言え」

 血まみれのユーリナをアイリスが回復した。

「すまない」

「こっちに、お宝あるの?」

 フィリーは先に向かって行くと、広場に入った。

「お宝どこ?」

「フィリー、それ——」

「えっ?」

 フィリーが先に進むと、何か踏んだ。

「「「⁉」」」

 三人の周りには大量のモンスターが現れた。

「モンスター⁉」

「しかも大量‼」

「倒すしかない‼」

 三人は一体一体、モンスターを相手にした。

「くっ……やるわね」

「倒すわよ!」

 だが、ユーリナだけ構えて、

「はっ!」

 ユーリナは数体のモンスターをまとめて倒した。

「ユーリナ! 一撃で⁉」

「すごいよ!」

「このくらい倒さないと! あの仮面の奴は倒せないし、ユーサマを超える事は出来ない‼」

「ユーリナ……負けないわよ‼」

 フィリーも弓矢でモンスターを倒した。

「私も‼」

 アイリスもモンスターを弱体化した。

「「行くよ」」

 最後は二人で残りのモンスターを倒した。

「やったわ!」

「次に行こう」

 三人は先に進んだ。

「あっ、行き止まりね」

「だけど、足元」

 三人の足元には、宝箱があった。

「……ミミックじゃないよね!」

「調べたけど、違うわ——」

 アイリスが違うと言ったと同時にフィリーは宝箱を開けると、中には魔導書が見つかった。

「魔導書か」

「魔導書が見つかるとは」

 アイリスが魔導書を読んでみると、

「内容は、小学生レベルの魔導書ね。私でなくても、ユーリナやフィリーでも十分使える魔法よ」

「そっか……見た事無い魔法なら、売れば大金になるのに……」

「フィリー、私たちの目的はこのダンジョンの調査だろう。全部、報告の時に提出しないといけないのに」

「…………」

 フィリーは落ち込んだが、二人は気にせずに次に向かった。

「…………」

「……落ち込まないで、フィリー。もしかしたら、上に行けば、お宝あるかもしれないわよ」

「そうね。次があるわ」

「待ちなさい!」

 立ち直ったフィリーは、早足で歩いた。

「さて、お宝はどこかしら?」

「宝、ね」

「フィリー、宝か」

「当然よ。欲しいブランドの新作が出たから買いたいし、アクセサリーも欲しいし、期間限定のスイーツも食べたいし——」

「……内容は、私も新しい刀が欲しい。……だが、調査が優先だ!」

「そうよ。調査しないと怒られるわよ」

「そうだね」

「せめて、バイト代出るかしら?」

「出たらいいわね。これ、強制ボランティアだもの」

「ええっ‼」

 フィリーが絶叫すると、マンティコラが出て来た。

「マンティコラ⁉」

「久しぶりだな」

 二人が驚いていると、ユーリナは走って斬りつけた。

「やったか?」

 だがマンティコラは、対してダメージを受けていない。

「……前より、強くなっているな」

「強いの?」

「二人とも! これは私が倒す!」

「本当?」

「そんな無茶よ‼」

 二人はユーリナを説得しているが、ユーリナは無視して、

「倒させてくれ」

 ユーリナは真面目な表情で見つめている。

「……わかったわ」

「何かあったら、三人で倒すわよ」

「礼を言う!」

 刀を抜いたユーリナはマンティコラを再度斬りつけたが、マンティコラはユーリナに噛みつこうとした。

「‼」

 が、ユーリナは間一髪で避けた。

「危ないな! だが‼」

 ユーリナは飛び上がり、マンティコラを真っ二つに斬った。

「やったぞ!」

「「ユーリナ‼」」

 アイリスとフィリーは駆け寄った。

「ユーリナ……更に強くなったんじゃないの?」

「⁉ ユーリナ、手……」

 アイリスがユーリナの手を見ると、タコだらけになっている。

「気にするな。ただのタコだ」

「ユーリナ、治して——」

「構わない。死ぬ以外は治す必要はない」

 ユーリナは先に向かった。

「ユーリナ!」

「……ユーリナ」

 二人も続けて向かった。

「あっ、階段」

「三階に上がる階段ね」

「次は何かしら」

 三人は階段を上った。

 三人が三階に着くと、またしても迷宮が広がっていた。

「また迷宮か」

「調べてみるわね」

 アイリスが調べてみると、道順が分かった。

「この道を通って行くと、四階に行けるわ」

「でも、三階も調べてみるぞ」

「三階にはお宝あるかしら?」

「フィリー」

「……言ってみただけよ」

 三人はまず違う道のりに向かった。

「モンスター出て来るかしら?」

「今は出て来るかどうか、わからないが、警戒は怠るな」

「わかっているわ」

 三人で先に進んで行くと、宝箱が見つかった。

「ミミックか?」

「ユーリナ、まさか、ミミックを期待しているとか……」

「…………」

「しているみたいね。これはミミックじゃないわ」

「……そうか」

「何で嫌そうな顔しているのよ」

「じゃあ、開けるわよ!」

 フィリーが上機嫌で開けると、中には日本刀が入っていた。

「日本刀‼」

 ユーリナは日本刀を持って、しまおうとすると、アイリスが止めた。

「ユーリナ……盗む気?」

「刀だぞ刀! 新しい刀を見つけてしまうと、欲しい!」

「ユーリナ、新しい刀欲しいって言ってたもんね」

「駄目よ。調査した物は提出しないと」

「……くっ」

「それにこれ、普通に武器屋で売っている刀よ。武器屋で、もっとお金出したら、これよりいい刀買えるわよ」

「……そうか」

 ユーリナは涙目で刀をアイリスに渡した。

「さあ、次に行くわよ」

「……わかった」

「次はどうなっているのかな?」

 三人は次の階に向かった。

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