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四国でみんな生きている  作者: 山田忍
四国でみんな生きている4
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香川でみんな生きている4

 香川県高松市内、紫黒(しこく)中学校にて、

「たあー!」

「とお‼」

 体育館の中では、剣術の授業をしている。

「はっ!」

「きゃ!」

 練習用の剣で腕を叩かれ、剣を落とした憐は、腕をさすりながら、

「やっぱり強いよね。隼人」

「未来の冒険者だからな。魔法は使えなくても、武芸はお前より出来るからな」

「僕も武芸が得意ならいいのに……」

「そういや、お前のばあさんは強いよな」

「うん……」

「ばあさんの話より続けようぜ! 憐!」

「わかってる‼」

 憐は立ち上がって、剣術の授業を続けた。

 香川県内の学校では、選択科目に射撃・剣術・弓術があり、科目にサバイバルの方法と言った授業があり、優秀な生徒なら中学生で冒険者になり、学生兼冒険者になるのだ。

 もちろん、冒険者になるためだけでなく、モンスターへの護身の為でもある。

「本日はここまで!」

「「「ありがとうございます!」」」

 体格のいい体育教師に礼をして本日の授業は終わった。

 放課後、憐は着替えている隼人と二人で教室にいた。

「憐、帰るのか」

「うん。今日は修行をしないといけないから」

「修行か……。魔法が使えるっていいな」

「でも、ラブ様の修行は厳しいんだよ。じゃあ」

 憐は走って教室を出た。

「今日も修行だ!」

 憐の帰宅後、黄色いうさぎにて、憐が戸を開けるより速く、

「おかえりだべ! カレン!」

「さーあ‼ カレンちゃん‼ 修行よ! 修行!」

 大魔法使いラブとシャンティは嬉しそうに出て来た。

「……はい。わかりました」

 憐は、男の娘魔法使いカレンに変身してから、外に出た。

「じゃあ、移動するわよ」

「はい」

 移動魔法でカレンとシャンティとラブは香川県の河川敷に移動した。

「さあて、カレンちゃん! 今日も行くわよ!」

「はい!」

「がんばれだべ!」

 ラブが呪文を唱えると、風の玉が出て来た。

「全部、消してみなさい!」

「はい!」

 風の玉が一つ飛んでくると、カレンは火の玉を出し、火の玉をぶつけて風の玉を消した。

「次!」

 今度は五つ同時に飛んできたが、火の玉を五つだし、五つとも消した。

「次、お願いします!」

 一つだけ風の玉が飛んできた。カレンが火の玉を出そうとすると、

「スキあり!」

「⁉」

 カレンの後ろにはラブがいる。だが、ラブはカレンの目の前で魔法を使っている。

「分身⁉ きゃあ‼」

 カレンが分身だと気づいた時には、ラブはカレンのスカートをめくっている。

「おおっ‼」

 シャンティはスマホで写真を撮っている。

「きゃあ! カレンちゃんのパンツ‼ いちご柄だ‼」

「や、やや、やめてくださぁい‼ きゃあ!」

 カレンが焦っていると、風の玉がカレンにぶつかり気絶した。

 少しして、カレンが目を覚ますと、シャンティとラブが横に座っている。

「カレンちゃん。起きた?」

「大丈夫だべか?」

「お、起きましたよ……」

「いちごパンツかわいい!」

「うんうん!」

 顔を赤らめながらカレンは慌ててスカートを押さえ、

「は、恥ずかしいから、言わないでください!」

「いいじゃない。かわいくて! それより、まだまだね」

「……はい。申し訳ありません……」

「まあ、いいわ。かわいい子がピンチになるのは、みんな好きだから」

「ラブ様!」

「……でもね。カレンちゃん、時々無茶してピンチになるのは嬉しいけど……体力とか減らしていない?」

「そ、それは……」

「カレンちゃん。魔法の使い方は知っているわよね」

「呪文を理解して覚えることで、魔法を使えます」

「そう! で・も・それだけじゃないの! 魔力があって、初めて魔法が使えるの! 強力な魔法は呪文を覚えていても、魔力が無い人間が使うと、魔力が無い分は体力で補うのよ」

「そうですよね……」

「前、ワイバーンと戦った時、魔力以上の魔法を使ったから、体力が減って疲れちゃうの! わかる?」

「わかりますよ。何回も聞きました」

「魔力を増やすには、何度も魔法を使っていくしかないの! さっ、カレンちゃん。修行よ。しゅ・ぎょ・う!」

「はい!」

 修行は夕方まで続いた。

 翌日は休みだ。だが、憐は古文書や釜などが置かれた怪しげな部屋の中にいる。

「ラブ様……いつ見ても怪しい部屋ですね」

「いいじゃな~い! アヤしくて‼」

「……ラブ様」

 ラブは魔法を使って、見た事の無い文字で書かれた数冊の本を取り出した。

「カレンちゃん。お勉強よ。この魔導書を読んで!」

「はい。ラブ様」

 カレンは一冊の魔導書を読んでみると、

「これは……攻撃魔法ですね」

「そうよ。この本の一番最上級の魔法が使えると、地球ぐらい滅ぼせるわ」

「…………」

(ち、地球が⁉ ラブ様! そんなもの——)

「カレンちゃん。地球が、って思ったでしょ。魔法はその人の心次第、カレンちゃんが使わなければ、いいだけよ」

「そうですね。……心、読みましたね」

「そのぐらい出来るわよ」

「……もう」

 その後、憐は自室で一人で本を読んでいた。

 憐の部屋は少女趣味全開のかわいい部屋で、椅子に座っているとシャンティが紅茶を持って来た。

「カレン、お茶だべ」

「ありがとう」

 憐は少し休んでお茶を飲み終わると魔導書の続きを読んだ。

「…………」

(これは本当に恐ろしい呪文だよ。こんな魔法が簡単に使いこなせると恐ろしいな……)

 憐は魔導書を読んでいると、

「カレンちゃん!」

「きゃあ! ラブ様⁉」

 ラブが後ろから現れた。

「ラブ様、どうしました?」

 お菓子を食べながらラブはクッションに座っている。

「カレンちゃん! その魔法、難しいでしょ」

「あ、はい。最上級の魔法は使うことは出来そうですけど……」

「で・も・カレンちゃんの今の魔力じゃ使うと死んじゃうわよ!」

「……確かに今の僕の魔力じゃ足りずに体力を全て使い尽くして、死んでしまいますね」

「このラブちゃんぐらいの魔力があれば簡単に使えるけどね~」

(ラブ様の魔力があっても使わないと思うけど……)

「使わないの~。もったいないわね~」

「ラブ様……心を読まないでください……」

「魔法は楽しいわよ! 魔法に終わりは無いんだし!」

 ラブは能天気に言って憐の肩を抱いた。

「…………ラブ様、僕は魔法を使って一人でも多くの人助けたいのです。僕は他の人と違って魔法が使えるから、その力を使って人助けをしたいだけです」

「ふ~ん」

「地球を滅ぼす魔法より、探し物が見つかる魔法や食べ物を出せる魔法の方を覚えたいのです」

「カレンちゃんも言うようになったのね。でも」

「でも?」

「カレンちゃん。人を助けたいのなら、強くなることも大切よ。前みたいにチュパカブラにやられてもいいの? ラブちゃんはカレンちゃんのピンチを見るの楽しいからいいけど」

 ラブは真剣なのかふざけているのかわからない表情だ。

「ラブ様! やめてください! けど……」

「けど、どうしたの?」

「ラブ様の言うとおり、人助けをするには、自分が弱かったら、皆に迷惑をかけてしまいます」

「あら」

「地球を滅ぼすほどでなくても、強くなりたいです」

「ふふ、そう……。じゃあ、修行する?」

「はい。よろしくお願いします」

「行くわよ」

 憐は男の娘魔法使いカレンに変身すると、ラブは嬉しそうに、

「じゃあ、今回は違う場所に移動するわよ」

 移動したのは、何もない空間だ。カレンとラブは二人だけでいる。

「わあ……」

「何もないでしょ。ここなら好きなだけ暴れられるでしょ」

「では、僕から行きます」

 カレンが魔法を使って攻撃すると、ラブに命中した。

「あっ! ごめんなさい‼ ラブ様‼」

「なぁに、謝っているのよ?」

 カレンの魔法はラブに命中したが、ラブには傷どころか服に乱れや汚れはない。

「い、一番強力な魔法を使ったのに⁉」

 ラブは呪文を唱えると巨大な光の玉が出来た。

「さ、さすが……僕より強力な魔法を簡単に使えるなんて…………」

「感心しているヒマはあるの? カレンちゃん、逃げないと大変なことになるわよ!」

「あっ……」

 カレンが逃げるよりも速く光の玉はカレンに命中した。

「あ~あ。勝っちゃった」

 空間は無くなり、憐の部屋に戻っており、カレンも元の姿に戻って倒れている。

「カ、カレン⁉」

 シャンティは倒れた憐に駆け寄った。

「う、う~ん……」

「あらあら、起きないと恥ずかしい写真撮っちゃうわよ!」

「なんだべと⁉」

 憐は飛び起きて、

「や、やめてくださいよ! ラブ様‼」

「残念ね。まあ、本題はラブちゃんの実力を教えただけ、だけどね」

 憐は少し悔しそうに、

「……さすが、ラブ様。僕じゃ勝てないです」

「強くならなきゃね! カレンちゃん!」

 憐はもう一度、男の娘魔法使いカレンに変身して、ラブに対して礼儀正しく、

「はい。もう一回お願いします」

「それじゃ、行くわ——」

「その前に、セクハラはやめてくださいよ。ラブ様!」

「どうしてよ‼ セクハラしなきゃ修行の意味ないじゃないの⁉」

 ラブは絶叫したが、カレンは毅然とした態度で、

「ラブ様、僕は真面目にしたいのです。ラブ様がふざけるのなら、僕は一人で修行します!」

「そ、そんな~⁉ 今日は真面目にするから、セクハラは明日からにするから~」

 ラブはカレンに泣きついた。

「ラブ様‼」

 これが香川県の日常だ。

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