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1 days  作者: 天下す
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1. 28年6月 その①

朝、起きる。時間を確認すると11時、朝マックの時間も終わっているが、私にとっては起きた今が、朝なのである。

私は大学に在籍中であり、必要単位数を既に取得してしまい、この一年を優雅に過ごし、良き会社から内定を頂き、不自由のない生活を送っていく、はずだった。しかし、私とはなんと愚かな生き物なのか。ものに余裕が出来ると、直ぐに無駄に消費してしまう、ダメダメな人間である。

何もせずにもう2ヶ月が経つ。そして、今日。私はいつものように怠惰で堕落した生活を、他人に隠しながら生きていく。


今日は特別な日である。なんと某ソーシャルゲームから、新しくカードゲームが発売したのだ。きっと、これからもこのカードゲームは私の物語に関わるだろうから、この物語の中での名前を決めておこう。「ぐらぶるカード」というものを、私は密かに興味を持ち、友達と戦う為に、今日買いにいくのだ。

私は家を出る準備を行っていく。起きてから家を出るまで、約二時間。昨日の夜に録画されていたアニメをしっかり視聴し、準備はできた。大学にいくのではない、ぐらぶるカードを買いに出掛けるのだ。


初回特典の「まりぃ」のプロモーションカードが欲しい。売り切れでない事を祈りながら駅に着き、携帯端末で音楽を聴きながら電車を待つ。せっかくカードを買いに新宿に行くのだから、ついでに友達と遊べたら嬉しいと思い、私が新宿に行くことを友達に伝える。新宿での用事が済むまでに、誰かから反応があれば、そのまま遊んでしまおう。


ぐらぶるカードは売り切れていたし、友達からは何も連絡がなかった。私の中が怒りと悲しみだけで満たされていく。怒りに任せ、悲しみを忘れる為に、私は「チョーリズム」という音楽ゲームをやりにゲームセンターへ向かう。


何度プレイしただろうか。ぐらぶるカードを買う為に銀行から引き出したお金は、もうない。気付けばもう3時間も経過している。やはり友達からの連絡はない。お金もないし友達も来ないので、1人悲しく帰る事にした。悲しみというのは怒りに身を任せても、その怒りが消えてしまえば、また感じてしまうのだと実感する。

いや、まて。確か下北沢にもカードショップはある。そこにも一応行ってみよう。お金なんて、途中で銀行に寄ってまた引き出せばいい。別の日に倹約して帳尻合わせれば問題ない。そして、あったのだ。ぐらぶるカードが売っていたのだ。大はしゃぎで購入し、友達へ自慢をする。カードの中身は弱いものばかり、そんなのは関係ない。買えたという事実が、私にとっては重要なのだ。そして、お金を沢山使ってしまったという事実も、未来の私には重要なのだ。だが、その問題に後悔するのは、まだ少しだけ先のお話である。


おしまい

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