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SFの章‐ティアナとの腐れ

 

 

 ティアナが男を殺していた。

 

 薄暗闇の路地裏で、黒のダッフルコートかレインコートを着たティアナ。

 右手に銀光閃くナイフを持ち、それで男の左胸を抉り突き刺していた。 

 大学帰りの通りの角、そこを曲がったとき、俺の視界に飛び込んできた、それが光景だった。 

 

 ティアナは捻るように捻じ込んで、手首を閃かせるのに夢中で、幾度も幾度もクルクル回転させる。

 きっかりしっかり、息の根を断絶止めるかのように。

 もう男の心臓など、そんな手揉みハンバーグのように捏ね回し繰り回さなくても、いいだろうに。

 執着的に粘着的に、息絶えた肉体の心臓部を恨みの篭った瞳で見つつ行っている。

 

 俺は、一息っふうぅっと吐き、己の白い息を確かめつつ、生垣にもたれて、シガレットを吹かす。

 ああ、っと、いつの間にかズレ落ちていたマフラーを上げ巻きなおした。


 視線を戻すと、大の男が、主に胸から真っ黒な爛れた血を流して、大の字に倒れこんでいる。

 それを冷徹な荒んだ目で見下すティアナ。

 液が溢れ出し溢れ出し、水溜りか池のように見えるのが、なんかシュールだ。

 

 ティアナがナイフを、ゆっくりと、こちらに向けた。

 俺は懐から拳銃を抜くと、男もろとも吹き飛ばす気で、放った。

 衝撃波によって、地面は罅割れ、周囲のビル壁はずるずるとくずれ落ちた。

 

「なに、するの?」


「こっちの台詞だ、いつまでこんな事をしているつもりだ」


 広域投射モードで放った魔法によって、ティアナ以外のなにも無くなった空間。

 ツカツカと歩み寄る、障壁が視覚的に遮断し、透明度の高い虹の衣を纏っている彼女にだ。 


 ティアナは俺の足にすがりついて、うつ伏せに倒れている。

 まったく、世話が焼ける。

 ティアナは足をバタつかせて抵抗するが、しっかりと踏みつけ拘束している。

 俺は脚を振り上げ、ティアナを仰向けに転換させる。

 それから体が反り返るほど大きく振りかぶり、鳩尾を、蹴る、なんども何度も。


「クソ女がぁ!! なぜ! 他人の痛みを! 理解しない!! 屑が! ゴミがぁ!!!」


「がぁっ!!!!あぁ!!があ!!!」

 

 逆手に持った拳銃で、鈍器の如く強打する。

 落ちているナイフ、ティアナが男の胸に深く突き立てたソレでも、何度も殴打する。

 男の胸から溢れ出た鮮血の池に濡れて、己からも血が噴き出し、ティアナは全身飛散する。


 俺は仮にも女が、そんな風になっても気にせず、ひたすら惨めなまでに暴力を行使した。

 ティアナ途中から抵抗をやめて、ただ荒んだ瞳で俺を睨めつけてきた。

 己に降りかかる暴力、それを気にする素振りを見せずに、たんたんと冷静に殺人ギリギリな俺の乱行に耐える。


「ティアナ、お前はもう、救いようがない、死ね」


 俺は無為な暴力を繰り返していたが。

 件のナイフを持って、床に平行に倒れるティアナの上。

 垂直に立ち上がり、そのまま真下にソレを振りかぶり、しゃがみこみ、突き刺した。

 瞳孔が開かれる、殺した男と同じ、急所、心臓を一突きで木っ端微塵に粉砕破壊した、それだけの圧倒的な威力だ。

 

「くっぅっ!!がぁぱぁあああ!!!」


 間抜けな声音と共に、大量の血を、当て付けか、俺の顔面目掛けてぶちまける。

 生暖かい、なんてものじゃなく、新鮮に熱い、ティアナの紅に染まった血だ。

 口の周りを舐めてみると、不思議な味がした、”コイツの”と意識すると補正が掛かるようだ。 

 奴を見る。

 全身をビクンビクン歪に痙攣させながら、見開かれた瞳に焦点が失われ始めている。

 まあ、細胞の幾つか、特に脳細胞の細切れでも大丈夫なのだが、不憫だし、もういいか。

 俺は速成で即席のエリクシール風呂を召喚し、ティアナを蹴り上げ入れた。 



「はあ、馬鹿が、無為だ。

 さっきも言ったが、こんなこと、いつまで続けるんだ。

 ゼロサムゲーム、いつか破滅するって、分かりきっている」


「あんた、こそ、、、こんな事して、どうするの、よ、、?」


「さあな。

 とりあえず、おまえが、真に痛みを知るまで、だ。

 あるいは、、、、俺が飽きるか、だ」

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