表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

2-2.イメージ

「って違―う! なんなんだよ君は!?」

「え? あ~……おはよう?」

「おはようって……。あ! 呑気に話してる場合じゃない。遅刻する!」


 俺は急いで布団から出て、寝巻きを脱ぎ捨てた。


「どこいくの?」

「会社に決まってるだろう。ああ、君の事は帰ってから聞くから大人しく待っててくれよ!」

「社会人って凄い。死んでも会社に行くんだね」


 最近の子供は死ぬとか物騒な言葉をよく使えるな。

俺が親なら優しく叱って頭を撫でてやりたい所だが、生憎そんな関係ではないし時間も無い。


「ねーもー。聞いてよー!」


 目の前で地団駄踏み出す幼女。包まった布団からはみ出た手足が、なんというか物凄く愛くるしい。

でも俺の子供ではない、ロリータ、ノータッチ。


「これ! ねー、これ見て!」


 幼女は部屋の片隅を指差した。小さな指の先を見ると、スーツ姿のおっさんが倒れている……。


「はぃ?」


 スーツ姿のおっさんはどう見ても俺だった。おっさんは白目のまま思い切り口を開けている。

その開いた口からはなんとも汚い涎の跡がついていた。そして額には綺麗な穴がぽっかりと空いている。


「え、ちょ。お、俺えええ!?」

「もー何も覚えてないの?」


仕方ないなぁ、とばかりに呆れた風な声が響く。そんな事言われても頭はパニック状態だ。


「昨日こうして」


 幼女が中空に手を広げると、そこには金色に装飾された厳つい銃が現れた。

あれは、デザートイーグル50AE。俺がやってるゲームで一番好きな銃だ。


「こうしたじゃない」


 1Kの狭い部屋に、ズドン、と重たい乾いた銃声が響き渡る。

俺は襖に空いた親指大の穴を、呆けたように見続けていた。

そして腰が抜けてしまったのか、いつのまにか畳みに座っていた。

やっと思い出した、そういえば昨日もこんな目にあった気がする。


「思い出した?」


 幼い声が俺の耳に届く。

俺が頭を上げると、映画のワンシーンの様に格好つけながら銃口に息を吹きかける姿が見えた。


「ななななな、何すんだよ!」


 俺は幼女のその姿に慄きながらも反論する。だが、俺の反論なんて全く聴いちゃいなかった。


「ていうかなんで銃なんか持ってるんだよ! 危ないから銃から手を放してくれ!」


 俺は取り乱してしまい、早口でまくし立てる。だが、


「ふーん。貴方の思ったイメージはこれなのね」


 幼女は意味不明な事を呟きながら、あろうことか俺に銃口を向けた。


「お話してもいーい?」

「……はい」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ