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まっ暗な世界
そこはまっ暗な世界でした。
どこを向いても何も見えません。街灯のような小さな光が、ぽつぽつと輝いているだけです。
もっと明かりが欲しいと思いました。
彼女は携帯電話を取り出しました。携帯を開いて周囲に向けてみると、少し周りが明るくなりました。
あたりを見渡すと、ぼんやりと目の前に大きな建物がありました。
彼女の学校によく似ていました。
教室から、いくつもの光がもれています。
彼女は携帯電話のかすかな光で足元を照らしながら、教室まで進んでいきました。
光のもれている教室の窓から、なかの様子をこっそりとのぞいてみました。
黒板の前で、大きな光が揺れています。
規則正しく並んでいる机の上では、小さな光がひとつひとつ、同じように揺れています。
大きな光が先生みたいな口調で言いました。
「今日は歴史のお勉強をしましょうね」
目の前の小さな光たちが、
「えぇーーーーー」
と不機嫌そうに声をあげました。
先生は優しくしゃべりました。
「みんなの、ずっとずーっと昔のおじいちゃんとおばあちゃんたちのお話なの。おじいちゃん、おばあちゃんたちがいたから、みんなはここにいるんでしょ?」
先生がそう言うと、教室のざわめきはすぐになくなりました。
先生はゆっくりと話をはじめました。
窓の外で彼女もそっとその話を聞きはじめました。




