いきたくない
いつものように少女は制服に着替えて家を出ました。
いつものように少女はうつむきながら学校に向かいます。
だんだん学生が増えてきて他の学生の中に紛れていき彼女を見つけることができなくなりました。
しばらくして、その集団から道を外れた学生がいました。
彼女です。
いつの間にか彼女はみんなが進む道の途中でひとり角を曲がり学生の群れから離れてどこかに向かい始めました。
彼女はひとり、たんたんと歩いていきます。
まるでそこに何かがあるのだと言う感じで。
しばらく歩いて彼女がついた場所は学校のずっと上にあるこじんまりした公園でした。
山のふもとにある公園なので人はあまり来ません。
しかも、こんなに寒い冬の時期です。
ブランコも鉄棒もなく、ただベンチだけが無造作に並んでいるだけ。
でも、彼女はその場所が好きでした。
学校や街が見渡せるこの場所にいるとそこにいる人間がみんなちっぽけに見えて許せる気がしたのです。
彼女はもともと口少ない少女でした。
二学期に転校してきたときにはクラスはすっかり仲良さそうな感じでした。
彼女はその雰囲気を感じました。
はじめの自己紹介もうつむいたまま小さな声で名前を言っただけでした。
普段も、声をかけられると返事をしますが自分から声をかけることはありませんでした。
話すのが苦手でいつもうつむきかげん。
そんな彼女を周りの男子がたまに近寄ってきて、
何かしゃべってみろよ、
口がきけないのか、
などとからかいました。
もちろん彼女は何も言い返さず、黙ったままでした。
彼女は休憩中もいつも下を向いたまま机の上で絵を書いていました。
するとまた、彼女の机に何人かの男子が集まって、
おい、何を書いてるん?
あわてて絵を隠そうとした彼女の手から無理やり絵を取り上げました。
この街の絵かぁ、
つまんない絵だな。
彼女の目の前で絵を破ってしまいました。
面白くないやつ、
そう言い残して生徒たちは消えました。
彼女は破られた絵を必死で集めていました。




