またいつか一緒に【第四話】
この話は聖魔光闇先生の企画したリレー小説の第4話です。
下記設定事項に従って記述しています。
★全40話
★一話2000文字以上
★登場人物数制限なし
★ファンタジー要素無し
★SF要素無し
★地の文は主人公視点
★重複執筆可
★ジャンルはその他
★執筆予約制廃止(予約を入れてくださる著者様を拒みはしませんが、
ある程度の執筆予約が入ってからの執筆開始はしません。
執筆予約を入れられた著者様に関しては、活動報告に掲示させていただきます)
★執筆著者様は、執筆前にご連絡ください
★執筆投稿後、必ず御一報ください
★あらすじは、前話までの要約を明記
★全ての物語を聖魔光闇がお気に入り登録します
★後書きに執筆著者様募集広告を添付
一話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1590t/
二話:日下部良介先生 http://ncode.syosetu.com/n2296t/
三話:ふぇにもーる先生 http://ncode.syosetu.com/n3991t/
四話:koyak
どうぞ宜しくお願い致します。
→次回(第5話)創離先生(http://ncode.syosetu.com/n8318t/)
磨り潰せ。
僕の 世界の 敵を。
『復讐の代行、請け負います。詳細はメールにて』
怪し過ぎる。
只の悪戯、もしかしたら詐欺かも。
相手にされなかったら。
法外な請求をされたら。
連絡をとったことが誰かにバレたら。
頭の中で自分の行為を疑問視する言葉が渦巻き、
僕は車椅子から前のめりに倒れ込むようにして布団に潜り込んだ。
今更後悔したってもう遅い。
送ってしまった。復讐のメールを。
引いてしまった。悪意の引き金を。
翌日、業者から返信が届いていた。
『ご連絡いただき、ありがとうございます。私ども、誠意を込めて
復讐のお手伝いをさせていただく所存です。
代行するにあたりまして下記の二点についてご説明、
ご確認させていただきます。
1.ご選択いただいたプラン四番の詳細について
2.報酬について
1.ご選択いただいたプラン四番の詳細について
当プランは「相手を身体的、精神的に追い詰め、苦痛を与える」ものです。
対象の氏名、プロフィール(わかる範囲でかまいません)をお知らせ下さい。
また、サブプランとして下記の中から一つをお選び下さい。
a.おまかせプラン:追い詰める度合い、方法を全て私どもに一任していただきます。
b.ファジープラン:大まかな復讐イメージをご指定いただき、
それに合わせて最適な方法を実施致します。
c.フリープラン :手順等全てご依頼主様のご指示に従って実施致します。
2.報酬について
下記お支払い方法の中からお選び下さい。
a.現金:1.の選択内容によりますが必要経費を含めて最低20万円からの
お見積りとなります。
b.代替品:物品、不動産、情報、ご依頼主様のお身体の一部等a.現金に見合ったもの
c.ご感想メール:復讐の経緯、結果についての詳細な「ご感想」を
私どもが指定した期間中、週1回メールにてお知らせいただきます。
いただいた内容は厳密な個人情報管理の下、参考資料、統計調査等の目的に
使用させていただきます。
※ご注意:途中でのキャンセル、ご感想の延期、嘘のご連絡はできません。
もしそのような行為が確認された場合、然るべき処置を
とらせていただきます。
ご依頼主様の財産等が限られている場合、「c.ご感想メール」をお奨め致します。
当方はお客様からいただく報酬の他、
「復讐に社会的身分、金銭の多寡による差別があってはならない」という理念の下、
善意ある団体からの出資によって運営されております。
そのため、上記のような無料のプランもお選びいただくことが可能です。』
感想メール?そんなものでいいのか。
ますます怪しいとは思ったものの、
僕はキーボードをたたき、返信した。
対象は『北口優』『山中勝俊』『只野三日月』『口梨来栖』。
『若宮遥』の名前は入れなかった。
あいつまで恨む気にはまだ、なれない。
サブプランは『b.ファジープラン』。
自分は今、右腕を失い両足を一生動かせない身体になっている。
彼らに同等かそれ以上の苦痛を与えて欲しい。
報酬支払方法は『c.感想メール』。
もう迷わない。
翌週、メールが届いた。
『復讐代行を開始致しました。』
更に二か月後。業者からは何の連絡もない。
結局悪戯だったのだろうか。
そう思い始めた矢先、またメールが届いた。
『ご連絡が遅くなり、申し訳ありません。
"結果"がそろそろ現れると思われます。ご感想を明日23時までにお送り下さい。
以後、毎週同時間までにご感想メールをお送りいただきますよう、
お願い申し上げます。』
メールを読み終わった直後、携帯電話の方からメール着信音が鳴り響いた。
差出人は『北口優』。
件名は『久々にバスケをやらないか?』。
車椅子バスケの話だろうか。優から連絡がくるのは何カ月ぶりだろう。
こちらが何をやっているのかも知らずに呑気なものだ。
あの「復讐代行」が只の悪戯だったのだとしたら、
やはり自分の手で何とかする方法を探らなくてはならない。
そう思い、奴の提案にのることにした。
翌朝、母親の助けを断り、近所にある大学の体育館へと向かった。
ここの大学はバリアフリーに力を入れており、障害者の入学も歓迎している。
体育館は車椅子バスケの練習場としてもしばしば一般に開放されているらしい。
奴は待ち合わせ場所としてここを指定した。
「よう、久しぶり。元気だったか?」
懐かしくも胸クソの悪くなる声が聞こえた。
元気なわけねーだろ!振り向いた俺は絶句した。
「お前…。」
「ま、ちょっと色々あってな。そのうち話すよ。」
苦笑いする優は、僕と同じように車椅子に乗っていた。
僕と違い両腕は正常なようだが、首から何かの機器をぶら下げている。
「これか?これは携帯の呼吸機器。普段はなくても何とかなるんだが
運動するときはこれがないとヤバくてな。
ハハ…お陰で愛する煙草ともお別れだぜ。」
ナニガ オキタンダ?
優と一緒に体育館を利用していた車椅子バスケチームの練習に
軽くまぜてもらったが、心は今の状況についての困惑でいっぱいになっていた。
別れ際、優は更にとんでもない話を僕に告げた。
「なあ、知ってるか?来栖の奴、刺されたらしいぜ。彼女に。
まあ命に別条はないみたいだけどな。今度見舞いに行ってやろうぜ。」
間違いない。「復讐」が始まっている。
僕が、僕が依頼したから。
帰宅後、真っ青になった顔を母親に心配されながら
どうにか自分の部屋までたどりつきパソコンの電源を入れる。
また業者からメールがきていた。
『いかがでしたでしょうか。復讐はまだ続きます。
昨日ご連絡差し上げました通り、ご感想を本日23時までにお願い致します。』
まるで今日僕が体験したことを知っているかのような内容。
「感想…。」
もう迷わない。そのはずだった。
キーボードの上の指が震えた。
(続く)
これはリレー小説です。
リレー小説とは、複数の著者様による合同執筆(合作)の事をいいます。
執筆にご参加いただける著者様は
事前に聖魔光闇先生(http://mypage.syosetu.com/107085/)までご一報、
そして投稿後にご一報ください。
よろしくお願いいたします。