第23話 侯爵は庶民派?
今回は脅威的に短いです。ゴメンナサイ。
「へぇ、噂に聞いてた通り治安の良さそうな街だね」
「ああ、そうだな。道もゴミが殆ど無くて綺麗だし。」
あのまま馬車で連行されるものだと思ってたがそんな事はなく、パトリシアさん直々(じきじき)に侯爵家までの道中を案内してくれるそうだ。いや案内してくれるのは良いんだがこの街、広さが尋常じゃないんだが……。
しかし前を歩く彼女を見ていると本当に侯爵が良い人だというのが良く分かる。彼女が店の前を歩けば、果物を気前良く渡して貰っていたり、井戸端会議に勤しむおばさん達も彼女を見ればにこやかに笑い雑談に誘う。
この街は良い街なんだろう。活気もあるし、街の人達は皆元気そうだ。まだ少ししか見てないがそんな気がする。
「着きましたよ。ようこそ私の屋敷へ」
活気のある街並みを抜けると、その先には高そうな家が建ち並ぶ住宅街があり、その一番奥にコールマン侯爵家はあった。
貴族の家は全部見るからにお金使っていますといった物だと思っていたが、認識を改める必要がありそうだ。
「あまり大きくないので驚かれていますか?」
「い、いえそんな事は……」
思っていた事が顔に出ていたのか、それを指摘されて少しどもってしまった。
「うふふ、構いませんよ。他国の爵位持ちの方々も初めて見た時はそのような顔をしますから」
口に手を当て上品に笑うその仕草に少し見惚れてしまった。それは置いておいてなるほど、確かにただ大きく豪華な物よりも俺としては此方の方が親しみが持てる。
後は人件費など無駄が無くなるのではないだろうか。無駄に大きくして多人数の使用人を雇うよりは現実的だし、これも一つの機能美ってやつになるのかな。
まぁそう言っても貴族の家だから前の世界と比べても大きな家ではあるのだが。
おそらく来る途中に見た高級住宅外の様な所は他の貴族の家なんだろう。そうするとこの街では貴族同士の諍いも少ないのではないのだろうか?
全く無いって事は無いだろうがそれでも侯爵に倣って同じように家を建てている辺りそうなんじゃないかと思う。
「でも私は此方の方が好きですよ? 何というか気圧されませんね」
「ふふっ、ありがとうございます。立ち話もなんでしょうしそろそろ中に入りましょうか」
俺はそう言われ、自然とパトリシアさんに手を引かれて侯爵家に足を踏み入れた。
後ろを歩いて来ていたレンが凄い顔で睨んでいたらしいとはパトリシアさんの隣にいた人とは別の従者の方に後から聞いた話。
やっとイヴネスに到着。
これからはまたバンバンとは言わないまでも錬金使ってお金を稼いで色々やる予定です。
これからもよろしくお願いします。