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The Chess 番外編 キングはクイーンの1/3

掲載日:2026/05/28

プロミーは一つスターチス王に尋ねた。それはずっと旅の間思っていたことだった。


「スターチス王様は私のようにロッド様がお好きなのですか?」


その質問は空気を読まず、周りにも気にせず、ただ正直なものだった。スターチス王は苦笑したようだった。エーデルが代わりに答えた。


「スターチス王は長い間ロッドを見守ってきました。その気持ちはかけがえのないものです。ロッドと接する時は、王の気持ちも大切にしてあげて下さい、プロミー」


エーデルの優しく諭すような言葉に、プロミーは納得することにした。


「はい。分かりました。エーデル女王様」



「ありがとう、エーデル。プロミーの前で良い言葉を返してくれて」


夜の王の私室でスターチス王はエーデルに礼を言った。その言葉は照れているようだった。


「付き合いが長いのですよ。隠さなくても大丈夫です」

「私の心はお見通しですね」


エーデルの穏やかな表情を見て、スターチス王は言った。不安と安心が入り混ざった複雑な心境だった。エーデルはスターチス王の碧い眼を見た。夢の少女と同じ瞳の色だった。


「あなたが誰に恋をしていても、あなたはあなたです。私はあなたの全てを知っても愛おしく思います」

「私のことを許してくれるのですね」


エーデルは明るく言った。


「私の王はあなただけですよ。ロッドもたぶん同じ事を言うのでしょうね。それでいいですよ」

「エーデル。隣に座ってもいいですか?」

「ええ、いいですよ」


スターチス王は遠慮気味にエーデルに尋ね、エーデルは肯った。スターチス王は語った。


「これからはプロミーの夢は見ません。アリストロメリア王がワースを残したのと同じです。プロミーは私から離れて自由です。アーサ様が旅の共になりますが……」

「青年王も二人の邪魔はしないでしょうね」


スターチス王はエーデルを見つめた。


「エーデルは強いですね。無理をさせてすみません」

「私は独占欲が弱い方のようですね。でもあなたがチェスの間眠っていた時は、少しは夢の中で会う時間を私にも分けて欲しいと思いましたよ」

「今埋め合わせをさせて下さい」


スターチス王はそう言うとエーデルの手を取り、口付けをした。エーデルはその手を取って、両の手で包んで唇に寄せた。


「これでお互い気にしないことにしましょう」


エーデルはさっぱりと言った。


「それでいいのですか……?」


スターチス王は確かめるように尋ねた。エーデルは昔のように意地悪を言った。


「あなたは強い方に惹かれるのですね」

「エーデル……、すみません」

「でも私以外の方と誓いを立てないことも知っていますよ」


エーデルはにこりと笑った。


「私はあなたの気持ちの邪魔はしません。一緒に眺められるだけの時間を共にしました。だからその気持ちを育てていても、そっとしまって大切にしていても、あなたの隣にいます」


「ではエーデルの気持ちに甘えさせて下さい」


スターチス王は真剣な眼差しでエーデルを見た。


「これは私一人の心のこととしてきました。大切な気持ちです。しかしエーデルへの気持ちを邪魔するものではありません。ただこの縁を大事にしたいのです」


エーデルはスターチス王の告白ににこにこと頷いた。


「そうでしょう。分かってますよ」


スターチス王は続けた。


「私の心はただ見守ることができればそれでいいのです」


王の温かい心はエーデルに伝わり、エーデルはその気持ちを愛らしく思った。エーデルは言った。


「では私もそのあなたの気持ちを見守っていましょう」


スターチス王は笑った。エーデルはやっとスターチス王の表情が和らいだ、と思った。


「スターチス王はお強いですね」


エーデルはぽっと言葉が出た。


「芯が強くて、温かくて、私や騎士や町の人たちを魅了してしまいます」


スターチス王が笑って返した。


「でもキングはクイーンの1/3ですからね」

「まぁ!お褒めの言葉ととっておきますね」

「ええ、もちろんです」

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