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第5話 選ばない自由―拒まなかった理由 第6話 期限の通知、一年の終わりが見える
町への外出許可が出た日、伯爵は聞いた。
「同行は必要か」
「……いえ。一人で歩いてみたいです」
少しだけ、勇気を出した。
伯爵は頷く。
「日没までに戻れ」
「はい」
自由ではない。
でも、選ばせてもらえた。
市場で買ったのは、安いパンと小さな布。
何かを“自分で選んだ”実感が、胸に残る。
屋敷に戻ると、伯爵が玄関にいた。
「……おかえり」
その一言が、今日の選択を肯定してくれた。
第6話 期限の通知――一年の終わりが見える
書類は、いつも突然やってくる。
「配置先が、内定した」
伯爵の声は変わらない。
けれど、空気が重くなる。
「適正です。問題ありません」
「……そうですか」
私は、泣かなかった。
泣くほど、取り乱していなかった。
「君は、どうしたい」
初めて、進路について聞かれた。
私は答えに詰まる。
――選ぶ、とは。
こんなにも、重いのか。




