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第4話 制度の正しさ――正論は、いつも冷たい
王都から来た役人は、丁寧で冷静だった。
だからこそ、言葉が鋭い。
「伯爵家は、感情に流されすぎです」
「制度は、最適解を選ぶためにあります」
私は隣で黙って聞いていた。
言い返す資格はない。
伯爵は一拍置いて答えた。
「最適解は、常に更新される」
「個人の意思は、誤差に過ぎません」
「誤差を無視すると、壊れる」
役人は言葉を失い、私を見た。
値踏みするような視線。
そのとき、伯爵が言った。
「彼女は“配置物”ではない」
短く、強い断定だった。
私は胸の奥で、初めて“守られた”と理解した。




