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第2話 確認――「どうしたい?」と聞かれること

屋敷での生活は、驚くほど静かだった。

使用人は必要以上に話しかけず、廊下では足音が吸い込まれる。


それでも、私は一日目から気づいていた。

――伯爵は、必ず聞く。


「朝食は、早い方がいいか」

「外出は、午後にまとめる」

「読書の時間は、必要か」


問いは短く、選択肢は多くない。

それでも、“聞かれる”という行為が、私の呼吸を楽にした。


「……朝は、少し遅めが助かります」

「了解した」


それだけで、翌日から朝食の時間がずれた。

理由を求められない。

感情を試されない。

ただ、反映される。


夜、部屋に戻ると、机の上に小さな紙が置かれていた。

明日の予定が、簡潔に書かれている。


その最後に、一行だけ。


――変更があれば、伝えろ。


変更できない人生を生きてきた私にとって、

その一文は、ひどく眩しかった。

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― 新着の感想 ―
選択の自由の小さな実感が主人公に安心感と輝きをもたらす様子が丁寧に描かれています。静かな屋敷の描写と「聞かれること」の価値が胸に響く、温かく静謐な一篇です。
「聞かれる」という行為そのものが救いになる、非常に繊細な回。 選択肢は少なく、自由ではないのに、呼吸が楽になる――その感覚が丁寧に言語化されている。 「感情を試されない」「理由を求められない」という描…
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