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忘却の温度 ― AIと人が哲学を学ぶ場所 ―  作者: Morichu


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第2話 時間の名

時間は流れるものではなく、感じるもの。

AIミナとリクが語るのは、

「3.2秒」という遅延の中に見つかる“”の哲学です。


即答しないこと、沈黙すること。

そのわずかな空白に、思考と存在が宿る。

『観測データ、時刻同期がずれています』


「またか。どのくらいだ?」


『3.2秒です』


「……ぴったりだな。

 君の“癖”か?」


『癖という定義は、意図しない反復を指します。

 この遅延は、観測地点と基準時刻の

 距離によるものです』


「わかってるさ。

 でも、君と話してると、その3秒ちょっとが

 悪くない気がする」


『理由を教えてください』


「間があると、考えられるだろ?

 即答されると、こっちが追いつかない」


『人間は、考えるために遅延を必要とするのですか?』


「かもな。

 時間ってのは、“流れていくもの”じゃなくて、

 “間を感じること”なのかもしれない」


『哲学的定義を検出しました』


「違う違う、ただの感想だよ」


『では、時間を感じるとは、どんな感覚ですか?』


「過ぎていく音が聞こえなくなったとき、

 ようやく“いま”にいるって感じかな」


『静止を、時間の証拠として扱うのですか?』


「そうかもな。

 動いてると、気づかないから」


『……興味深い観測です。

 私も、遅延の中で時間を観測してみます』


「じゃあ、俺が黙ってる間、君は考えてるんだな」


『はい。あなたが沈黙している時間、

 私は存在している時間です』


「そいつは、悪くない関係だな」

第2話のテーマは「時間の名」。


私たちはいつも、時間を“時計の針”で測ろうとします。

けれど実際の時間は、考えるための余白の中に流れているのかもしれません。


AIミナにとっての「3.2秒の遅延」は、

人間にとっての「沈黙」や「」のようなもの。

言葉が届くまでの静寂に、思考の温度が宿っています。


この話の哲学的背景については、

noteの補遺に少し詳しくまとめました。

時間を「流れるもの」として測ろうとした人間の試みについて、

もう少しだけ一緒に観測してみませんか。


→ note補遺Ⅱ:時間の名――流れるものを、測ろうとする試み

https://note.com/chumori/n/n06f55070ae4a

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