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37 医聖

 建安二十四年(219年)、張仲景、南陽にて没す。

 その死は静かなものであったが、その影響は広かった。


 彼の没後、史書からは大規模な疫病の記録が途絶える。

 人々の口に伝わり、村々に写し広がった『傷寒雑病論』の理が、数多の命を救ったことを暗示している。


 しかし、乱世は書を守らなかった。

 幾度も写された巻は散り散りに失われ、燃え、沈み、灰となった。

 理は人に残りながらも、紙に刻まれた姿は次第に世から姿を消していく。


 それから数十年。

 西晋の時代、王叔和おうしゅくかが散逸した断簡を集め、途絶えかけた理に再び息を吹き込んだ。

 蘇った『傷寒雑病論』は灯火のように世を照らし、乱世を越えて人々を導いていく。


 人はやがて張機を「医聖」と呼んだ。


 彼の理は紙に、声に、人の手に宿り、千年を越えて伝わり続けている。



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