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 追想行進華 —庭園の足跡—  作者: 玉袋 河利守
2章”貴方が選んだ形、拾い上げた物は
52/55

51”彼女の結末ノお華し。


 

 「これが、この国の平和を守ってきた守神の最後だとは、聞いて呆れるな。メティス。」


 「‥‥」


 「私が出払った事で自由に暴れて、国は滅茶苦茶だ。何故だ?何故暴れた?。母国を何故壊した?。こんな事件を起こせば戦鋼番糸に目をつけられるではないか。」


 「‥‥‥‥。」


 「何も話さぬか。まぁいい。此処から先は開拓が進み、我が国がこの世を統一させる。こんな事件があっては足枷になってしまう。歴史として受け継いではならない。」


 よって、此処で先日起きた暴挙並びに、貴様の存在を歴史に乗らぬ為に葬ろう。


 ‥‥‥‥‥。


 鎖で縛り付けられたお母様。


 人間の小さな物差しで測った、善悪の大概。


 最後は人前にすら現れる事なく、私とお母様が内緒で会っていた場所まで連れてこられた。止めに入ろうとした。‥目の前にいるのだ。この小さな穴からでも矢を放てば、助ける事が出来る。だから、私は魔胞子を形にし弓を作った。


 私の存在がバレない間に矢も生成させる。


 「ただ、女としての役目は最後に真っ当したからな。それだけは‥褒めてやる。」


 傲慢な振る舞い、その口振りには似合わぬ正装を纏い、ガタイの良い腕の中には赤ん坊。


 「‥魔の存在と連まなければ、色んな人生があったと言うのに‥‥はぁぁ。もう少し、味わっておきたいが‥‥ボロボロな身体で私の相手など、バチが当たる。これは私の優しさだ。‥」


 子供ながらに理解してしまう。人間として汚い物を全て持つこの男に、怒りを通り越し殺意を芽生えてしまった。


 「男ならまだしも女だ。子を産んだら役目は終わり。しかし、私は優しいだろぉ?陰を好んだ貴様に、陰での死に場を設けてやった。地獄に堕ちても感謝は忘れるなよ?」


 歯軋りを立て、引く矢は震える。此処にいる者はザッと数人。数秒の猶予があれば皆殺しに出来る。


 先ずはお母様の頭上で汚い剣を上げるあの男に、そして何も言わず傍観者となっている者、最後には足に矢を放ちあの糞の様な人間を痛めつける。慈悲のかけらもなく叩き潰してる。


 これ以上、勝手に動いたら皆殺しだ。‥‥、え?


 誰にもバレていないこの小さな穴に視線を感じ取る。


 それは、いつま向けられていたお母様の眼差し。


 すると、声が聞こえてきた。


 「‥‥、駄目よ。そんな鈍った構えで。矢はいつだって一本。‥‥個人を助かるのではなく、先を見据えなさい。その果てには確かな平和がある。だから、今はダメ。」


 「何を喋っているだ?気でも可笑しくなったか?、まぁ良い。やれアルフォン。」

 「‥‥‥‥‥。」


 「だからお願い。ママとの約束。‥‥落とさないで。‥うっかり落としても拾ってくれる‥追て来てくれる人を探して。‥‥」

 

 不思議にも手元にある弓も矢は無くなってしまった。止めれたかもしれない。もう一度、弓も矢も出現させる事もできた。なのに、耳を澄ませてしまった。


 「貴方は優しい子。だから、必ず見える筈。その日がいつかくるから。‥」


 やめてくれ‥‥やめてくれ‥‥


 「目が悪い人ばっかりのこの世界。‥いつかまた歪んでしまう。‥‥必ず、歪む。だから‥‥貴方がもう一度‥」


 やめてくれ‥‥やめてくれ‥‥


 「‥‥貴方が変える。その一つの矢で。歪んだ未来を、撃ち抜くの。友達が多い‥貴方だから‥‥私との約束」


 やめてくれ、やめてくれ、やめてくれ—————-


 ————————————



 「やめろぉぉぉ!!は!?‥‥はぁ、はぁ、はぁ。」


 ‥嫌な夢を見てしまった。‥夢を見るから眠りに付かなかった。‥眠ればあの日の事が蘇り反吐が出る。眠る事が出来ずに、目の下には隈が拡がり、目は座っていた。


 そんな私が気を抜いて眠ってしまった。この女はやけに暖かい。無意識に眠ってしまうのはこれで二度目だ。‥この世界で安心して眠れるのは、ラーガの腕の中だけだと思う思っていたが‥何故こんな小娘に私は身を委ね眠ってしまったのか。


 不思議な人間だ。何故私はこの小娘に嫌悪感を抱かないのか。彼女また私の事を普通に接しているのか。


 全てを話せと言われた。‥何故会って間もない貴方に話さなければいけないのか。そう彼女に吐いたつもりだったが、綺麗に全てを吐き出してしまった。少しだけスッキリし、眠たくなってしまった。


 私は綺麗な赤毛を触りながら‥


 「なぜ。貴方は私に構うのですか?」


 似ているから?。笑わせるな。何も似ていない。そう思っていた。確かに過去に起きた事はお互い、似ても似つかない物だった。ただ、話している姿は何処か愚かな私に似ていた。


 自分の知らない間に、想い人が死んでいた。‥悲しい話ではあるが、たかが他人。私の様にお母様が目の前で殺されて、そして、冷え切った血だらけの弟を抱えた事もないだろう。‥‥言いたかった。‥大声で彼女に指を立てながら怒鳴りたかった。でも


 大事な人に、家族も友人も関係ない。私が嫌いな比較をしてしまった。価値とゆう言葉を嫌った私が、家族とゆう重みを乗せて、彼女と比較してしまった。


 全て違った。彼女と私は同じ。‥彼女のお陰で思い出せた。


 「‥‥、大事な人から貰った大事な物を忘れて、自分を責めるな‥‥。それは貴方もでしょう。‥結朱華。」


 「やっと呼んでくれましたね。私の名前。」

 「起きてたんですか!?。」

 「えぇ、雄叫びで起きましたよ?。」

 「はぁぁ、調子が狂う。」


 私は立ち上がり、素っ気ない態度を取るが覗き込んだ此方の顔を見つめてくる。私の傷を癒す者よ、邪魔な存在にはならないそう踏んでいたのに。


 「‥顔。綺麗になりましたね。」

 「え?。」

 「隈、無くなって。美人になってますよ。」

 「‥なぁ!?‥うるさい!」


 別次元の世界で出会ったあの男には、とんでもない物を預かってしまった。どうするのだこれは。どうしてくれるのだ。


 「何処に行くんですか?」

 「ある国ですよ。‥読書しにね。」

 「へぇ、あぁ!後、結朱って呼んで下さいね!そっちの方が可愛らしいし。」

 「はいはい。」


 どうするんだ。せっかくラーガのお陰で迷いは晴れたとゆうのに‥


 「‥ねぇねぇ。アーちゃんの好きな人ってどんな人だったの?」

 「‥‥」

 「ねぇ。ねぇねぇ。」

 「うるさい!!静かに出来ないのか!?」

 「良いじゃん。友達なんだから。」

 「説明になってないだろ!!」

 「‥‥友達は否定、しないんだね。」

 「うるさい!!」


 これじゃあ、また迷ってしまうじゃないか。


 ‥‥生まれて初めて、友を知った。


 ‥‥迷いとは、幸せだと。実感した。


 ‥‥痛みを知り、背負い、それで尚、傷を癒す術を知っていた。


 ‥‥結朱なら、‥うっかり落とし私の宝物‥‥拾ってくれるのではないかと。


 ‥‥宝物‥。結朱に言ってみようか、わたしの大事な‥大事な‥‥宝物‥‥‥、


 ‥タカラモノ?‥では何故私が今拾い上げているのだ?


 ‥何故、わたしは彼女の髪束を‥‥握っているのだ?


 ‥何故、だ。私は結んだ筈。何故だ。


 ‥‥‥、何故、勝手に動いた?


 ‥、何故、全員勝手に動く。直ぐに邪魔をする結朱はじっとしていろと、あれ程言った。


 ‥‥‥‥‥。



 「‥‥‥。」

 「ごめんね。僕が助けに入った頃には‥‥原型など無かった。‥‥、」

 「もう‥‥いい。‥」


 ‥‥どいつも勝手に動くからだ‥‥


 「何処行くんだい?」

 「止めるなら貴様も殺すぞ。」

 「‥止めないよ。僕の元相棒が味方についてるんでしょ?もう僕からは何もないさ、」

 「‥‥‥。」


 頭が壊れそうになった。何の為の時間だったのか。出会いは偶然であっても、必然として後に語る事が出来る。必然として語る為には時間が必要だった。


 何の為の出会いだったのか。偶然で終わらされては意味がない。結朱、何故何処かへ行ってしまった。何故、助ける隙も与えぬまま最期すら見れなかったのか。


 また、消えた。今度は、わたしの見えぬ所で‥


 何故?。彼女が苦しみ背負ってきた物で命を落とさなければいけない。


 同じ形で想い人を失ったのだ。なぜ、なぜ、


 もう、誰も勝手な真似をするな。勝手な行動をする者が毎回、毎回、人の為に動く人間の邪魔をする。そして、勝手に死んでいく。わたしの指示通りに動けば誰も死なずに済むとゆうのに。実に勝手の悪い世界だ。


 勝手に、動けぬ様に。


 勝手に、何処かへ行かぬ様に。


 私が、指示を下す。

 


  【支配】:その指は命を仄めかす(メメントモリ)


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