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 追想行進華 —庭園の足跡—  作者: 玉袋 河利守
2章”貴方が選んだ形、拾い上げた物は
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47”この世で最も難しい意思疎通。



 

 

 「長閑だねぇ。だが花がないのが残念だ。」


 草履の音を掻き鳴らす。欠伸を欠いて、寝癖のついた髪の毛を触り、一人この大地を踏み締める者。歩く者の目は少しだけ腫れており、それは欠伸のせいだと、寝起きのせいだと、語る筈。


 「カミラも連れてこればよかったか?。まぁ、いいか。」


 惑わしの森を通り過ぎ、彼はある場所に一人で向かっている。早朝はやけに静か、日は明るいのに薄っすらと沈みかけた半透明な月が見える幻想的な光景。


 少し肌寒い風、しかしながら余り味わう事のない早朝の神秘さは匂いすら変わってくる。一人で黄昏ながらもこの舗装された道を歩いていると、目的地についてしまった。


 「おぉ、誰もいねぇ。‥うげ、それでも門番いるのかよ。真面目だねぇ。」


 高く聳え立つ壁は、城すら見えない。外からの何もかもを遮断する様に建てられた壁。だが、この前の様に焦げた臭いは全くしない。


 そんな国を、そんなスイレ王国を遠目から眺めては、ため息を溢す凛道 翔。そんな彼はこの国に用事があった。半年前以降、村から外に出る事を嫌っていた彼ではあるが、外へ足を踏み出すのも悪くないそう思える様になった。


 それも全て出会いのお陰。外に出たからシキミと再開できた。加えて新たに友のような存在が出来た。目的など求めずただ長閑に生きる。それが彼の生涯、そう決めていたのだが、昨日の夜姉と約束を交わし行動に至る。


 姉、シフォンに自分が生きた世界を魅せてあげる事。


 此方に飛ばされたのなら、逆も然り元の世界に戻れる方法があるかもしれない。


 スイレ王国はこの世界で初めて訪れた土地、ならば何か手掛かりがあるのではないかと、シフォンに黙って皆がまだ寝静まるこの早朝に足を運んだ。


 そしてスイレ王国には、彼の大好きな憩いの場所が存在する。花が満遍なく咲き乱れる花畑がある。


 あの事件以来、彼はその場所に行けずにいた。何もかもが燃やされたスイレ王国にあの花畑が残っているのかも心配ではある。やりたい事が今日は山ほどある。


 しかしそれもこの国に入れてからのお話。


 道を抜けて原っぱに足を踏み入れる。城門には門番がおり目を光らせる、翔では入る事は叶わない。なので、ある物を探して城壁の周りを一周する事に。


  「‥‥、にしても高え、‥‥‥おぉ!!おぉ、これはこれは」


 丁度、この国の外を半周した所だろうか。この高い壁に小さな小さな穴が空いているでないか。そしてこの穴が彼の探していた物。先日、惑わしの森でシキミから教えてもらった抜け穴。


 「‥‥、俺はデブじゃない。どちらかとゆう細身‥‥、」


 穴はある、スイレ王国に侵入できる穴が目の前にある。しかしながらシキミの言った通りその穴は小さく、小柄なシキミが力を入れて入り込めば侵入できる程度。大の大人である翔の体では到底不可能。


 自分の体を触り、至る所の骨を鳴らす。凛道 翔は人よりも身体が柔らかい、それはまるで蛇のように。と、自称している。そんな彼は自信があった。小さな穴でも自分の身体の柔らかさを使えば、可能性はあるのではないかと。


 考えても仕方がない。物は試しとゆう事なので四つん這いになり、自分の頭を抜け穴にスッと入れた瞬間。つま先でこの地を踏み弾いた。‥‥


 ‥‥‥‥。


 「‥‥‥。ふぅー。急に音がなったから驚いたけど‥そこで何してるのかな?。」

 「‥‥‥。」

 「‥、そんな事しなくても事前に言ってくれれば、裏口から入って来れたのに‥」

 「‥‥‥。」

 「ふぅー。もういいから。入ってきなよ。」

 「‥‥‥。いや、抜けなくなった。‥助けて‥‥」

 「はぁぁ。」


 ため息に色を付ける煙、煙草を加えると目が染みる。翔がこの穴から顔を出し、抜けなくなってしまうと大声を上げて力を入れる。自分の前には茂み、身体を動かすと同時に原っぱに鼻を触られて盛大なくしゃみが出てしまった。


 丁度、この付近でひと休憩していたこの国の騎士団長ルドルスは、爆発とも取れるくしゃみに煙草を加えて、杖を手に持ち音の上がった場所に足を運ぶと


 顔だけを出した、見覚えのある顔がいた。


 早朝になんとも珍しい生き物が顔を出していた。


 「‥、ごめんなぁ。穴、広がっちゃった。カッカッ」

 「‥いいよ。今度工事を頼むさ。それにしてもよくこんな抜け穴見つけたねぇ。」

 「そうだろう?目がいいんだ俺は—-いてぇ!?」

 「君だからって駄目でしょ?僕やアビケ君じゃなければ君は今頃、懲罰房行きだ。」

 「うぅ‥‥ごめんなさい。」


 嵐が起きた時に見た彼の強大さは何処へ、大の大人が大人であるルドルスの正真正銘のお怒りに為す術もなく、縮こまり誤っている。


 「‥‥‥。」

 「ふぅぅ‥‥。」

 

 風は余り立たない場所、吐いた煙は彼らの頭上で立ち往生し雲を作る。手入れもされていないこの空き地には、伸び切った雑草が引き詰められ、切り落とされたであろう切り株は甘い匂いを纏いて二人の男を引き攣れる。


 切り株の上に乗り空を見上げる翔と、その木の背中を借りて器用に凭れるルドルス。下にいるルドルスの吐いた煙は、上にいる翔の鼻を刺激する。


 煙草の火は肺へ取り込む為にゆっくりと吸い上げる。その時に火種となる部分はパチパチと音を立てて翔の耳を刺激する。


 【音や匂いは、予期せぬ時、不意に過去を照らす物。】


 あえて其れらを取り入れて、思い出に浸る者もいる。


 喫煙者であった翔は、姉に吸うなと言われたから禁煙者になった訳ではない。目を盗めば、いつだって煙草を吸える、なのに彼は煙草を辞めた。それも全て、あぁ哀しきかな。半年前の事を思い出してしまうから。


 何かが焦げる匂い、何かが燃える音、それが引き金となり膨らんでゆく。最後には無くしてしまった恩人の顔を思い出してしまう。


 「‥‥、墓建てねぇのか?」

 「‥‥‥ふぅぅ。ヒュドールのかい?」


 ヒュドール◦クレパス。このスイレ王国を守る騎士団、平和の一舎、前団長を務めていた者。腐りかけたこの国を復権すると共に、騎士団である形を整えた者。現国王であるレカン”スイレ=セドウスに媚びる事なく物怖じする事なく、追い求めた形を作りこの国の平和を守った者。


 そして、凛道 翔にたった一人救いの手を差し伸べた者。


 言い換えれば翔にとっての恩人。二度、自身の命を救ってくれた恩人である。


 「‥、まだ‥だよ。」

 「え。」

 「‥‥、作ってあげたいのは山々さ、しかしアニスが引き起こした後始末がね。大変で。あの事件で死んでしまった人の名簿を集めている所なのさ。」

 「そうか。‥‥、」


 書き換えなど不可能。半年前の豪雨の事件、改めて『一変の豪華』はこの国に多大なる被害をもたらしていた。壊れて、燃えて散りとなった残骸は山の様に。この国に住む市民たちでは数は足らず先に進まない。


 「ずっと思ってだんだけどさ、時間かかり過ぎてねぇか?魔法やリゲイト、こんな事態でも役に立つ物がたくさんあって、復旧ってそんなに難しいのか?」

 「いや、できると思うよ。この大きな壁だって‥‥一夜で出来たんだから。」

 「じゃあ、なんで」

 「適材適所さ。この状況を助けてくれるリゲイトを持った人間は多数存在する。でも、居ないのさ。この国に。ずっと。」


 この国に居ないのなら、答えは簡単だ。


 「助けてって言えばいいじゃねえか。」

 「言いたいよ。声が届くなら、ね。」


 復旧、言わばこの国の存続を守る行動。ならば、王国騎士団は先陣を切って取り組んでいきたい。皆の光、司令塔は不在の状況でも学んだ事を忘れずに、一人一人騎士団である自覚を持ち、逸早くこの国の復建を望んだ。


 しかし、国王であるセドウスは、復旧作業に一切の関与を禁ずる、と告げたのだ。言い返すことは出来ない。皆、背には家族、そして大切な物がある以上、言う事を聞かなければ反逆者として見なされてしまう。


 一夜で建ったこの高き壁、それらを元にこの国から輩が入ってこないか、それだけを監視しろと命じた。


 「それが命令。スイレ王国騎士団である以上背くわけには行けない。反発する優しき人間も居たが、解雇されてしまったよ。‥‥嫌ならば辞めてもいい。団長になり始めて団員達に下した指示だったよ。」


 そんな時、一人だけ迷いもなく手を挙げる者がいた。名をアキレイア”アビケである。騎士団になりたくて、この国にやってきた。その為に学を積み帝国からやって来た。それなのにも関わらず、すんなりと辞めていってしまった。


 長い付き合いであるヒュドールは亡き者に。

 慕ってくれた部下諸共、解雇され

 可愛げのある1番の部下アビケは、去り。

 翔は、消えて。


 ルドルスの楽しかった少しの時間、共にした人間達は悉く消えていってしまった。そして時間が経つにつれて人は変わってゆく者。ヒュドールに教わった何もかもが忘れ去られて、だらける毎日を送る騎士団。


 あの頃の様に剣術も、魔法も、稽古はなくなってしまった。ただ、巡回と検問それがこのスイレ王国騎士団、平和の一舎の業務内容。気づいた頃には、憧れである騎士団の形とはかけ離れた物になっていた。


 「‥また繰り返しだ。またあの時と同じ様に。‥ただ、彼だけは動いていたんだ。辞めていった仲間達と共に‥‥動いていたんだ。地位も肩書きも捨てて、この国を元に戻そうと奮闘していた。」


 ルドルス自身も諦めていた。早かれ遅かれこの国は衰退してゆく。ヒュドールに合わす顔がなかった。そんな中、小耳に挟む。至る所に飛び散った残骸が山となり纏められている。それも至る所で。


 非力な国の民達がやってのけたのか?と、城を出て焦げ臭いこの国を歩きまわると汚れた服で汚れた顔で、この国の民達と一緒になり、柄集めをする青年が一人。そして周りを見渡せば、過ぎ去っていった元騎士団員。


 アビケは騎士団を去った後ずっと、復旧作業を取り組んでいた。


 「‥胸がズキっとしたんだ。あぁ、僕は何をしているんだって。年下で僕よりも弱いアビケ君がこんなに頑張っているのに‥って。」


 半年前以来から、ずっと、この国を元の姿に戻そうと、この国が衰退していかぬ様に陰ながら守り続けた。


 「あいつ、かっこいい所あるじゃねえか。」


 「‥‥、彼を見ているとね。思い出すんだ。お師匠様の事を‥‥それでね、道端で汚れまみれの彼に声をかけて聞いたんだ。何故、そんなに頑張れるだい?って。なんて答えたと思う?」



  ———彼の方がこの国に顔を出したい。そう思ってもらえる様に、遥か昔、自然に溢れたスイレ王国を元にもどします。花が五万とあれば‥翔様は帰ってくるかもしれませんから。



 「‥‥‥、」

 「陰でずっと行動していた。セドウスの目の届かぬ所でこの国に平和をもたらしていた。正にお師匠様そのものだったよ。みんなが変わり始めたんだ。その活気は伝染してゆき自ずと根本は陰に潜む。」


 奮起の旗を上げたわけでは無い。一人でずっと復旧作業をしている姿。諦めて文句ばかりゆう市民達の中に混じり、孤独にもこの国を整地してゆく姿に、心動かされた者たちは再び立ち上がり、形となってゆく。


 「だから、私は、空席の副師団長としてアビケ君を任命したんだ。実質、騎士団ですら無いのだけど、彼を慕う者が増え過ぎてね。セドウスには内緒で市民である彼が副師団長となったんだ。」


 武力に知力、光が当たる表で、この国の平和を守る為治安を維持するルドルス。そして反対、光りが通らず陰となる場所でこの国を陰ながら元に戻そうと奮闘するアビケ。その姿は正に‥


 「‥アルフォンとメティスみてぇだな。カッカっカ」

 「‥‥え。何故アルフォン様の名前を‥翔君が‥」

 「なんでって、知り合いさ。なんたってシキミの爺ちゃんだからな顔馴染みある。」

 「‥‥‥、聞いたのかい?‥アルフォン様に‥」


 いや、と告げる。半年前、ある一件でシキミと出会った。巡り合わせとはこの事かと、シキミの我が家に行くと眠る一人の老人。その老人こそがアルフォン。スイレ王国、剣鬼と言われた男であり副師団長を務めていた男。


 『英雄』とまで称される偉人。


 翔は全てを聞いたわけでは無い。過去に何があったかなどどうでもいい。ただ、病弱となるアルフォンに一つ頼み事をされた翔。



 「‥シキミを頼むってお願いされたんだ。それだけさ。」

 「‥そう。‥剣、魔法共に並大抵外れた才能。帝国に支える権利すら獲得し、席まで用意されていた人物。遥か昔からある戦鋼番糸と肩を並べる程の実力者。声まで掛けられた噂まである。」

 「へん、良いな全部できて。俺はその該当する全て出来ませんよ。」

 「‥‥、格が違うよ。‥‥戦場に駆け回るアルフォンの姿は正に鬼と称された。大振りの大剣を光の速度で扱う彼に、一切の防御はあらず。そんな技術を教わったのは、ヒュドールでね。」

 「‥‥‥‥。」


 全てを喰らう戦場の鬼。その傍ら、長らくコンビを組んでいたのがフレスト”メティス。彼女は一点を沈め鎮圧化。戦場の姫君として数多の功績を残す。


 何方もスイレ王国が母国。正義感が強く生真面目なアルフォンと自由奔放で天然なメティス。スイレに眠る歴史の財産を盗もうとする輩は、その二人のせいで乖離打ちに合う。


 その強大さ、計り知れない物だった。何故そんなにも撃ち落とせぬ壁となっていたのか。それは戦場で暴れる鬼ではなく、陰に潜みし弓使い。指示を出すリーダー格を打ち抜き、陣形がバラバラになってゆく。


 ならば、あの弓使いを見つけ出し、鬼よりも先に封じる策に転ずるが、見つからない。矢は飛んでくるのに何処にも見当たらない。この戦場の隅から隅まで探した所で見つける事が出来ない。見つかる筈がない。何せ戦場にすらいない。母国にある城の上階で、ただ狙いを済ましているから。


 「元々、騎士団はなかったんだ。自然溢れたスイレ王国にそんな物は必要ないと、メティス様は語っていたのだ。だが、彼女の陰ながらの実力は、知り渡り慕う者が増えていったのだ。」


 二人で立ち向かっていた戦場には、気付けば沢山の仲間たちが剣を振るった。それだけの人を集めたのは彼女が根本、しかしその影響は薄くなり、この国を守りたいその理由だけでついてくる者すら増えてった。


 「群れる事をあまり好まなかったメティス様とアルフォン様。唯一二人が似ている所だった。だが収集のつかない数に、国王は頭を悩ませて、渋々騎士団を成立させたんだ。」


 そんな騎士団に憧れて子供ながらに、入隊したのがルドルス。騎士団としても形だけ、当時から軍事国家ルガルド帝国で修了試験を終えなければ騎士にはなれなかった。ただスイレ王国は建前だけの騎士団、誰でも入る事が出来た。


 アルフォンとメティスに目をつけられたルドルスは、才能を開花していった。道具は人並み程度だが、魔法は別格。幼いながらに、周りの大人達からは天才と称されていた所、あの男がやってきた。


 「それがヒュドールの出会いでね。アルフォン様の喉仏に届きうる剣才、それに知恵。魔胞子への際限ない視野角。当時、戦場を経験していない僕達なのに目を見張るものがあった。」

 「‥‥天才ねぇ。俺が出会って知り合ったヒュドールとは別人だな。」


 当時のヒュドールは無口そのもの。ルガルド帝国の試験を一年で見たし修了。これは前例のない快挙。化け物が誕生したと騒ぎがあったが、彼が選んだのは顔馴染みなもなければ、母国でもない、スイレ王国。


 冷たい眼差し、人を人と見ない立ち振る舞い、容赦のない力で味方も敵も屈服させ、相手を絶望させる。大の大人達が嫉妬すら憶えてしまう程だった。


 「そんな彼が気になって、僕はつけ回したんだ。お陰で仲良くなったけどね。」

 「カッカッ。怖い物知らずかよ。」


 子供の頃から絶大な力を誇った若き天才。力において学ぶものなどこの国には無かった。だが、そんなスイレ王国で心を学んだのだ。それがルドルスとヒュドールの師、フレスト”メティス。力ではなく、生き方を彼女に教わった。


 「‥‥ヒュドールは彼女の愛弟子として全てを注いでもらった。自由奔放な所も天然な所も、加えてアルフォン様の指揮官たる考えも受け継ぎ、この時代になったんだ。」


 彼女が伝えた『強さ』その在り方を逸早く理解し、この国に大きな貢献を与えた。


 「ふぅ。少しはメティス様の様なアビケ君のお陰で取り戻しつつあったんだ。でも、嵐が起きたでしょう。集めた残骸は舞い、生き残っていた建物は吹っ飛び。挙げ句の果てにはこの国の王が何処かへ飛ばされてしまった。」

 「カッカッカ!!それゃあ良い!動き放題じゃないか。」

 「二度目は正真正銘君だよ?まぁ、大目に見ておいて上げるけど。ピーちゃんに感謝する事だ。」

 「え?」

 「とりあえず!死んでしまった人のリストを集めて、事が済めば墓を建てようと思う。ヒュドールに関しては‥‥思い出深いこの場所にでも立ててあげようかな。」

 

 翔が通ったであろう抜け穴。その先には、手入れが行き届いていない空き地。雑草が伸びて切り株が一つ。此処は、翔にとっても特別な場所。半年前、翔とヘレンが初めて本気で手合わせを交わした場所。


 翔の少ない思い出の場所ではあるが‥翔だけじゃない。


 「‥‥、此処でよくヒュドールと僕はメティス様が植えた桜の木陰の下で、黄昏ていたんだ。笑みを浮かべてメティス様の膝を枕にして眠っていたんだ。」


 大切な思い出を語る口元は自然と笑みを浮かべていた。翔の目には何も映らなくとも、ルドルスの目にはあの日の映像が鮮明に見えているのか、何もない雑草の空き地を眺めていた。


 「ずっとあの時間が続くと思っていたよ。」

 「‥‥?。」


 ある日、フレスト”メティスは当時から敵対する魔族と結ばれてしまった。彼女が選んだ事。僕らは背中を押してあげた。彼女が今まで守って来たこのスイレ王国を今度は僕達が守ると。


 「‥‥、」


 

   どうしたんだ?


   メティス様は‥‥、殺されてしまった。


   魔族と一緒になったからか?馬鹿げてるなこの世界は


   違うんだ。

 

   ??。


   魔族に騙されたメティス様。乗っ取られた身体は、哀しくもこのスイレ王国を壊し続ける兵器と化してしまったんだ。


   それを止めたのが、アルフォン様だ。


 

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