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 追想行進華 —庭園の足跡—  作者: 玉袋 河利守
2章”貴方が選んだ形、拾い上げた物は
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44”約束の為、今一度歩き出す天邪鬼。


 もう行動に移すのは懲り懲りだ。

 俺が動けばどうなると思う?百発百中誰かが散って行ってしまう。

 花が羨ましいと思った。なぜかって?動かなくて良いからだ。

 のんびりと生きたい。一人は嫌いだけど、深く関わりを持つと、厄介事に巻き込んでしまう。


 他人には寄り添わないし、頼らない。

 陰で咲く花になりたい。そう思った。


 それで幸せか?と、言われる時がある。

 黙れと、他人が出しゃばるなと。



 夢や目的がない今の俺は‥幸せだと思う。‥‥

 

 ‥‥‥、、、

 

 夜も更け、更に気温が下がる。各国の見張り島の灯りすら消えて、どこもかしこも真っ暗。生き物の大半は眠りにつき、ある国では豪勢な部屋のフカフカのベットで眠る者。はたまた、冷たく硬い地面の上で誰かの足を借りて膝枕にし、眠りにつく者。


 動物たちも眠りにつく時間帯。しかしながら、元気に起きる者たちもいる。それがこの地上ではなく宙、星は踊り月は座る。音はしなくとも、煌々とした光は視覚的に煩いと感じてしまう程。それもこれも夜のお陰。


 「うらぉぁ!!飲みたりねぇぞ!!俺ゃあ酒を飲めば星になる!!」

 「‥、ギャハハ!!なんだそれ!」

 「儂にも酒もよこさんか!」

 「はいはい。お水飲みましょうね。」

 「俺が‥‥あの‥‥象‥」

 「なに寝てんだよ!(パシィン!)」


 夜だとゆうのに、このトロイアス大陸のある一部だけは、この空に勝ってしまう様な煩さ、空に浮かぶ星や月が引いてしまうほど、騒いでいる人々。此処は小さな村の更に一角、シオンの酒場である。


 「‥お酒って皆あんな事になるの?」

 「そうですねぇ。‥飲み過ぎですから‥普通なら絶命する様な度数を致死量身体に入れていますからね。」

 「‥。馬鹿ってこと?」

 「そうですねぇ。お馬鹿さんって所でしょうか。」


 机に足を乗せ口を大きく開け歌う男、椅子の上で逆立ちしてはそのまま鼻提灯を作る男、床と喋る男や壁と喧嘩する男。その全員の顔色は太陽のように赤く、酔っ払っている。お酒は程々にだ。そんな酔っ払いが占拠するこの酒場の端っこで、梨ジュースを乾杯するシラフの男二人。黒い礼装に包まれたカミラとシキミである。


 「まさかまさか、翔様があんなにもお酒が強いとは。」

 「ね。此処の村長さん一瞬で負けてたらもんね。」

 「そうですねぇ。相手になっていませんでしたから。」

 「もしかして‥あの村長さん弱い?。」


 この酒場には一人を除き、すべての人間が集まる数は実に14名、含め梨ジュースを飲む二人と騒がしい姉弟。誕生日を祝い、ケーキをその人数で分けた。案の定、大きな平皿には勿体無いほど小さい。食べ終わればすぐに酒を注ぎ乾杯をした。それまでは良かった。


 この村の次期村長、タビラが翔に飲み比べ勝負を挑んだのだが、成人男性の顔ほどの樽を一気飲みし、7杯でぶっ倒れてしまう。喧嘩を売られた翔は変わらず飲み続け、調子に乗った村人約3名が挑むも呆気なく回避撃ち。


 「‥‥よく椅子の上で、しかも頭だけで逆立ちしたまま寝れますよね。」

 「危ないよ。頭に血が登って死んじゃう。弱いなら呑まない方がいいよ。」

 「ふふ、そうですかねぇ。外にいるお二人が強過ぎるだけかも知れませんよぉ。」

 「そうなのかなぁ。うわ!?」

 「あらあら、お医者様の出番ですよ。って、それ何処から出したんですか。」


 酒の弱い現村長が無理やりノゲシの酒を奪い取り一気飲みしたせいで、両目が瞬時に上がりぶっ倒れてしまう。机の上で大声で歌っていた男は静かになり口元に手を当てて押さえてる。壁と喧嘩した男は何故か頭から血が流れて、床と話していた男は泡を拭いてそのまま倒れている。


 シキミはジュースを飲み干すと、腕をまくり直ぐに対応するべく、机の下から救急箱を出して、走り去ってしまう。


 「お医者様も、大変ですねぇ。‥‥飲むなら呑まれるな、ですね。全く。」


 窓辺の席で座っていたカミラは、その窓越しから外を確認して動く雲を目で追い、遠近法によりその雲と同じ高さなのかと思う様な丘に目が行くと、そこには二つの人影。


 「私もご一緒にと‥‥いや。姉弟(きょうだい)水要らずですねぇ。」


 —————————


 空は暗いわけではない、少しだけ濃いだけ。黒と青が混じった様な幻想的な空。星が敷き詰められて、人工的な灯りは必要ない。静かな風は、生い茂る草原の葉を切り空にあげる。その上がった葉を目で追うと、空を泳ぐ星を確認できた。


 濃く、青い空の下、樽になみなみの酒を横手に置き空を眺めるシフォンの姿。この夜空に一番似合う髪色を持った女性。


 綺麗にそして澱みがなく済んだ青色の瞳、同系色の長いまつ毛に、翔と同じく青色の甚兵衛を羽織っているのに、その佇まいは透明感すらある。触れて仕舞えば、この夜空に溶け込んでしまう様な儚さまで窺える。声をかければ笑顔で此方に振り向き、その美しさに拍車をかける。


 「‥‥、びっくりしたよ。プレゼントって言うから、何かと思えば、俺たちの銅像って。」

 「いいでしょう?彫刻が得意なリゲイトを持っていないこの村のみんなであんな傑作が生まれたのよ。」

 「‥いや。いいだよ。それは。ありがてぇし。」


 プレゼントに対して何かと愚痴る訳ではない。皆んなが頑張って作ってくれた物は嬉しいに決まっている。しかし、シフォンの顔はまるっきり同じなのに、翔の佇まい、顔立ちが‥‥


 「‥俺の顔‥‥イケメン過ぎるだろ!!」

 「なによ急に。自画自賛かしら?」

 「ちがう!!あんな高身長で男前な奴俺はしらねぇぞ!!」

 「あら、もっと男前にしようと相談をしたのだけど、タビラに止められて‥‥」

 「!もう、誰かわかんねぇよ!」


 この小さなシオン村の広場には、この村が出来た当初から空き地の様に扱われた。子供がいない事により、その空き地は誰も使わず悲しく寂しい風景となっていた。だからこそ、こんな空き地の真ん中に銅像を建てる事になった。シフォンと翔が等身大で?彫られた彫刻像。


 手を繋ぎ、二人とも笑顔で描かれた銅像の周りには、花を植えられ、なにもなかった空き地に彩りと祝福を与えた。


 「‥ふふ、いいじゃないの。これもまた私のやりたい事リスト。」

 「‥?。この前から言ってるそのやりたい事リストってなんなんだ?」


 シオン村から外を出れば小さな丘と木が一つ。その場所に二人が座り、


 「‥‥それは内緒。星が綺麗ねぇ。」

 「ふん。話逸らしやがって。」


 酒がなみなみ入った樽を持ち、徐に立つとこの丘を降りてゆく。翔もまた酒を持ち追いかけると、そこにはずっと不思議だと思っていた湖に辿り着く。大きな湖、この空を映し出す透明で清らかな湖、ただ、中央には数人が座れるスペースが存在する変わった陸。何かを建てるには小さい、渡るための橋もなければ濡れて行くしか、他はない。脚力を生かして飛び移れる様な距離でもない。


 中央には、何もないスペース。そんな可笑しな湖。その場所に段々と近づくがシフォンは一向に止まる事はない。そのまま進めば、湖に落ちてしまう勢い、夜も更け気温も下がっている今、全身に水を浴びれば風邪を引いてしまう。翔は止まる素ぶりを見せないシフォンに声をかけるが、聞く耳を持たない。


 「おい!ねぇちゃん!前みて歩けって!落ちるぞ!」


 残念ながら、言う事を聞かず片方の足が湖の上までやってきてしまう。


 「あぁ!おい!‥‥‥え?‥‥なんで?」


 声をかける事も手を引く事も止める翔。それは何故かシフォンはまだ歩いていたから。夜空を鏡のように映し出す湖は宇宙といっても過言ではない。そんな場所に水面を作りながらも、濡れず不思議にも歩くシフォンの姿。


 浮いている訳ではない。しっかりとこの水の上を歩いているのだ。


 「えぇ?。」

 「ふふ、どう?驚いた?」


 湖の上で立つシフォンは中央にある陸に上がると、腕を組み、その蒼き瞳で翔の黒い瞳の中を覗き込む様に見つめる。魔訶不思議な状況、この湖に濡れる事なく真ん中にある陸に辿り着けた事もだが‥‥、


 「此処はママが最後に希望を託した場所。どの場所よりも、あの森よりも深く濃く鮮明に映し出される。‥‥貴方の可笑しな目でも見えるでしょ?」


 空とは違い暗き地上。丘を境に酒場の明かりは遮断され真っ暗で足元すら確認できない。それなのに此処まで歩いてこれた、それは何故か?。至る所に散りばめられた星が‥ちがう。その星をも凌駕する輝きを放つ蒼い鱗粉が灯台となっていた。この鱗粉は、あの惑わしの森で確認できたものと、全く同じ。比較するならばその数である。


 「‥‥‥。」


 あの森よりも更に量を増やし自由に飛び回る鱗粉は、宛ら夏の夜に浮かぶ蛍の様に。触れようと手を伸ばすが逃げてゆき、ただじっと収まれば近づき肩や背中、髪に触れてくるおかしな生き物。


 「‥どうかしら?見える?この子達。」

 「惑わしの森と同じ物、‥」

 「‥やっぱり、見えるんだ。‥やっぱり、そうなんだね。」

 「‥‥一体‥‥コイツらはなんなんだ。」

 「この子達は、自然そのもの。‥風も、地に咲く草木も‥既存する万物そのもの。‥‥名を『神起朧(しんきろう)』。」


 「‥‥コイツらが‥‥神起朧‥‥なんだよそれ。」


 神起朧(しんきろう)。このトロイアス大陸にある草木、風、空に浮かぶ雲に、自然と該当するものは、神起朧と言う蒼い鱗粉が根源である。自然を目で確認出来ない人間はこの物の存在すら知らない。そもそも詮索すらしない。そこにあって、ただ、吹くだけ、気にする事は何らない。


 しかし、そんな自然を見る事ができたら?、それが神起朧である。此処で一つ頭によぎる物、それは全ての人間が目視できる対象、魔胞子(バーベ)の存在である。側から見れば、色が違うだけ、此れと何が違うのかなど、説明するまでもない。


 自然のあるまじき姿が『神起朧』

 何かを模索して動かし操る人の考え、それが『魔胞子』である。


 そんな神起朧を扱える生き物が存在すれば‥‥


 「こうやって、水を歩けるの。どう?翔も‥」

 「いや、訳わかんねぇよ!。」

 「ふふ、良いから良いから。ほら!」

 「だぁ!やめろ!落ちるって!」


 手を引っ張られた。物凄い力で。踏ん張る事はできず、その身をこの湖に委ねてしまうが、水に足がついた。


 「え?。すげぇ。」

 「ね?、貴方は操作できないみたいだから、私が踏み場を作ってあげているだけだけど。‥‥、だから、ほら。」


 ジャバァァん!!


 指を下すシフォンを眺めていると、途中、自身の視界が下がっていき冷たい感触に襲われるのだが、時すでに遅し。足から頭にかけてまでこの湖に浸かってしまう。


 「ぶはぁ!何すんだよ!」

 「カッカッカ!!悪戯よ。これもまた私のリストに‥ね?」

 「はぁぁ、逸早くそのリストが終わる事を望むよ。」


 既存する万物の根源を使役する。それが彼女の力‥このトロイアス大陸で『唯一無二の自由をぶら下げて歩く者』と称されている。


 そんな彼女の力には、力相応の役目が存在する。


 「私の力は『異路(いろ)』の一種。蒼ノ印。自然を読み取り扱い、この大陸に彩りを設けるのが役目。それが私、ハルス・シフォン。」

 「‥‥‥、役目?」

 「存在する事が役目である私、‥‥他にも居るんだけど‥‥でも、私はこの力を扱えない。」


 一変たりとも色褪せない、それが彼女。他にも存在自体が役目であり、ある観点を目的として行動を果たす。それが彼女達なのだが‥‥、


 「私は他の連中よりも力も存在もあやふや、本当はもっと沢山の雨を降らせてあげないと、もっと風を吹かせてあげないと‥‥でも出来ないの。こう見えて弱虫なのよ?」

 「‥ゴリラみたいに力強いのにな(バコォン!)」


 もう一度、足場を作ってもらい中央へ移動する事ができた。建物も無いもないこの大地、空を見えげると輝きを放つ神起朧達は、透明になってゆく。


 一滴も減っていない二人のお酒には空の映像が映し出される。風が吹くたびに、そのきめ細かい青髪を靡かせながら、ただじっと空を見つめている。この場所はそんな宇宙の扉とも言える夜空を拝むことが出来る憩いの場。そんな空があると言うのに翔は、空を眺めるシフォンの横顔ばかりを見つめている。


 「‥‥何かついてる?」

 「いや、空に指して何してんだ?」

 「星、数えてるの。夜になるとどうしても辛い事思い出しちゃうでしょ。それでその数、数えちゃうでしょ。幾つ起こるんだって。」

 「‥‥‥。」

 「そんな数、涙の数、数えるなら、星数えてた方がまずっと良いでしょ?。」


 凛道 翔は、虚しくも自分の胸に手を当ててこれまでの過去を思い出す。残念ながら、良い思い出など片手で収まり切る程度、それなのに傷となる過去は身体の全体を使っても足りはしない。思わず、彼もまたシフォンの真似をして星を数えてみる。


 「どう?‥」

 「‥‥分からん。」

 「え?」

 「辛いなら、全部やめたら良いのに。」

 「え?」


 彼は、人の道には関与しない。それが最善の策であると、己の芯がハッキリとしている。悩む事も決断する事も全て最後は、自分一人。とやかく言われるのが嫌いな彼は、当然人にもしない。それが優しさだと思っている。


 「‥あんた‥‥、そう言うの嫌いじゃなかった?」

 「あぁ、嫌いだ。勝手にさせろって言いたくなる。」

 「じゃあ、あんたの心に反しているんじゃないの?」

 「‥‥他人はそうであっても家族は違う。‥‥邪魔出来んのが家族の特権だろ?」


 話す様なことでもない自分の過去、それを全て包み隠さず彼女に話す。この世界に迷い込み、そこから起きた事の全てではなく。元々いた世界の事から今までの事を全て話した。その間は優しく夜空を見上げながら聞いてくれたシフォン。


 「‥色々とあったのに、生きてて偉いわ。」

 「‥‥‥。」

 「元いた世界。‥どんな景色なんだろう。翔が虜になってしまう花畑も‥、貴方の傷を癒してくれた先生も‥‥貴方が育った故郷も‥、どんな所なんだろう。今度は私が転移でもされようかしら。ふふ。」

 「‥‥‥。」


 自分勝手ではあるが、全て話したのだから、お前も言え!と、言ってみるが多くは語らず、笑い掛けるのみ。

 ただ、彼の重たい腰が、足が、微かに動き始める。


 「‥ふふ、私ね。ママがいたの。」

 「あぁ、俺もいたよ。当たり前だ。」


 同じ境遇だからこそ、別の世界をも取り越し突き破り


 「‥そんなママは私が子供の時に死んじゃったの。」

 「あぁ、俺もだ。」


 似た物同士、幼き頃に母と言う拠り所を見失った者たち


 「‥でも、ママやパパみたいな人に出会って此処までこれたの。」

 「俺もだ。爺ちゃんや婆ちゃん。先生に色んなこと教わった。」


 幸とは言えない人生。茨の道に手助けはあれど寄りかかる存在はいなかった。


 「私には弟がいたんだ。その子もママと一緒に‥‥」

 「‥‥俺も‥‥この世で一番慕ってくれた弟の様な奴を見殺しにしてしまった。」


 人生、同じ道などない。他人である以上、似た道をあるが入り込む隙は存在しない。陰で見守り、辛くなれば話を聞く程度、それが此方の世界でも彼方の世界でも今生きる者達の歩き方。


 「辛い?今。」

 「‥え?今?」


 過去に怯えてしまう自分である。動く事をせずに放棄してしまう様な自分ではある。悩みも苦も悲しも葛藤も、誰かに打ち明けたとて、何も戻らず何も治らない。それを知る大人達は、一人で頑張って行くしかない。その想いで、側にはいられない。それが『優しさ』である。それが他人の最大級のご奉仕である。


 『見届ける』それが人生に置いての言葉の意である。


 「‥少なくとも私は、貴方がいる。一人で生きてきた私に、我儘言って、こうして凭れる人が側にいる。」

 「それゃあ‥‥良かった。もう少し身長伸ばさねぇとな。」


 あの子が歩く道に、ふと返り咲き人の道に関入する自由な存在があり、鬱陶しくも邪魔な言葉すら並べる。挙げ句の果てには、あっちが良いだのこっちが良いだのと指図すら並べてくる存在。歩くのはお前じゃないだろ。と、何度もゆうが私達の道からは何故か消えてくれない。他人ならばそもそも入ってこないのに。


 「‥、今はとても幸せよ。」

 「‥。」


 ただし、泣きたくなった時、足に力が入らず目眩を引き起こした時、夜に考え事をしてしまい孤独を実感してしまった時、いつも邪魔ばかりする存在に頼り、凭れてしまう。あれだけうるさかったその存在も凭れている時は静かにその身を貸してくれる、卑怯な存在。


 「‥‥‥、血が繋がっていなくとも私は貴方が家族で良かったわ。」

 「‥、あぁ、俺もだ。ありがとう、拾ってくれて。」


 邪魔な存在、その全ては己の歩く道に生える大きな樹木達。お節介、指図に手当て、その全てを勝手にしてくる。卑怯で大切な存在。


 それが、『家族』である。血が繋がっているか否かでこの言葉を使うのは、愚行、愚言に値する。

 その人の道に入り込める術を知り、何を言われようが動じない心を持ち、言葉を聞かずとも理解できる愛を纏った邪魔で卑怯な存在。だからこそ、ふと頼り凭れてしまう。


 それが『家族』である。


 

 「なぁ。」


 「なに?」


 「俺がいた世界は、楽しそうに思えたのか?」


 「そうねぇ。‥‥見てみたいものは沢山あるわ。‥翔を育てたって言うお婆様にも会ってみたいし。」



 星を数える場所で、彼は彼女に向かい合い片手を出しては小指を上げる。



   じゃあ、連れてってやる。


   え?、何処に。


   俺が生まれた世界に。見せてやる。存在や役目なんてどうでも良くなる筈だ。


   ‥‥‥。



 青い髪を捲し上げて、小指を挙げると交わせる。



   えぇ、約束ね。



 星を拝めるこの場所で、


 亡き母が託したこの場所で、


 二人の姉弟は、


   『約束』を交わす。


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