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 追想行進華 —庭園の足跡—  作者: 玉袋 河利守
2章”貴方が選んだ形、拾い上げた物は
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36”また、一から。


 同時刻、黄色に塗装された屋根がシンボルであるリズルゴールド王国では‥



 「それで、スイレ王国ですごい事が起きていたみたいだね。」

 「あぁ、『嵐』に続き、不可解な現象が連続で起きたのだ。」

 「整理が追いつかないよ。‥‥それも全て異端児の影響なのか‥‥、仕舞いには、ねぇ?。一度死んでしまった、だっけ?‥‥敦紫君。」

 「‥‥‥、どうなんだろね。」


 

 此処は、リズルゴールド王国、王城。高く広く胸を張って建てられた城の上層部にて、円卓を囲み食事をし話す三人の男達。巨漢な男は引っ切り無しに食べ物を口へと運ぶが、他2名は、手すら付けていない。



 「‥報告書に書いた通りだ。ムシャ、それが前日起きた全て。ムシャ、」

 「目を通したよ。‥‥『嵐』‥ねぇ。僕は見ていないけど、魔法では無い根拠が現地ではあったみたいだね。」

 「ムシャムシャ、何度も言っているだろう?、文句があるのなら、過去に行ってみてくれば良い。」

 「‥はぁぁ、そんな事できる訳ないでしょうが、」



 円卓に置かれた豪勢な食材達、たとえ男が何十人居ようと余ってしまう様な量、それに加えて奥からはこれでもかと食事が運ばれてくる。食卓には似合わぬ書類の山を載せて、頭を抱えながら書類の山を読む男の名は、この国の王リズル/サホト=オーラン。注がれたワインを飲み、目を細めて何度も資料を読む姿は、難問にぶつかっている学者並み。


 何故それほど、美味たる料理を目の前にして、文字がビッシリと描かれた紙に食いついているのか。


 先日、スイレ王国で起きた『嵐』。人を切り刻み痛みすら感じる様な風が吹き荒れ、建物を崩壊させた。そして、立つ事すらままならない様な豪雨、それに伴い人智を超えた積乱雲により光は消滅。


 スイレ王国近辺で配達を行なっている郵便局人は、スイレ王だけを覆う様に雲が忽ち込め、外からは何も確認ができなかった。と、証言が上がっている。外の人間は、スイレ王国で何が起きていたのかすら分かっていなかった。


 起きた事を丁寧に字を起こし、報告書を完成したのはドクレス、目撃した者達の声よりも、見て、確認して、味わった物の書き記した事、嘘や間違った事でもない。


 しかしながら、オーランは頭を悩ましている。


 

 「‥‥食事中なんだから、この場所では楽しい顔しようよ。」

 「あぁ、すまないね。んんー。」

 「そんなに信じられないのかい?御伽話の『嵐』が。」


 「‥‥‥‥。」


 

 魔法、魔胞子(バーベ)を操り標的に向けて攻撃をする方法。それが魔法の理。強烈な風が起きたスイレ王国でも、その魔法を使い、人々に危害を加える事が可能。ならば、一つの「魔法」の一種なのではないかと、だがそれでは説明のできない範囲に操作性、風の魔法を使ったとして同時に水の魔法を使い、雨を降らしたのかと。


 その考えに辿り着けば辿り着くと、当初、犯人だと思われていた半年前の勇者とはかけ離れた存在になってしまう。


 何せ、その異世界人は魔法を使えないのだから。


 それに加えて敦紫の知った事実も相見え。



 「‥魔法ではないと思うけどね。似た様な自然災害は僕の世界でもあったし‥‥、」


 「‥‥ん?、あぁ、違うのだ。最初から疑ってなどいないよ。」


 「え?」


 

 自然による災害なのか、それとも人による力なのか。そんな事どうでも良かった。オーランが頭を悩ませる理由は一つ。


 「分かるかい?。自然か、人による物か、この際どちらでも良い。そもそも現段階では二つの属性魔法を同時に放つ様な事例など聞いたこともない。ならば、魔法を使える物が2人いて、悪事を働いたのか、では誰が?、途方もないよ。そんなこと考えていたら。但し、起きた事は事実だ」


 「‥‥。誰かがやったとしても、此処あたりは‥‥」


 「いいや、もう良いよ。犯人探しは。それよりも‥起きたのだ。御伽話の中での『嵐』が現実になったのだ。扉が開いたのだ。起きるはずの無い事が起きてしまった。これは事実として残る。伝説では無い。ともなれば、」


  また、同じような事が起きる可能性も高い。


 

 自然災害、ピラミッドの頂点に立った人間達が、太刀打ちできないようなモノ。この大陸にはそもそも雨が珍しいとゆうレベル。伝説の中であった『嵐』、ならば物好き以外はあり得る分野を研究するだろう。当然、起きないそう仮定しての話。しかし今回でその概念は崩された。『嵐』は列記として実在する。


 今から研究にあたっても、次に襲来する時にその知識は役に立つのか。一度起きてしまったのだから二度目は必ずある。しかし、書類を読み漁れど有力な情報すら手に入らない。


 「‥嵐、敦紫君の世界では、当たり前なんだよね。」

 「いや、当たり前では無いけど、あの世界の人たちはみんな認知の上で行動していたかな。」


 ようやく満足したのか、テーブルに乗る食材を粗方片づけたドクレスは口を拭き、鉄のグラスに入ってある水を一気飲みすると、2人の会話に参加する。


 「ふむ。いつ起きるか、など予想も出来ん。嵐が記載された書物と言う書物すらない。あるのは絵本のみ、『アナタノタメニ』とゆう御伽話でしか聞いた事が無い。現時点で、味わったのはあの国の民たちと、私達だけ。味わってすらいない学者に研究を進めろなぞ、無理な話だ。」

 「でしょ。そして、味わったからと言って、何かを変えれる訳でもない。この大陸全土が未経験の事なのだから。でも‥‥1人だけ違うよね」

 「あぁ、そうであったな。あの時も、そうであった。」

 「この議題を此処で話すのも惜しい。僕たちだけの話しじゃ無いからね。だから、敦紫君、一緒に来てもらうよ。」


 「??。」


 「月に一度、帝国で行われる『ハリスの審界』に。」


 

 国の頭が月に一度集い、情報提供を行う場それを『ハリスの審界』。国王となる者と護衛2人を引き連れて、個々に起きた状況を話し合い、争いを避ける会議。そのほかにも話題を呼ぶ事柄に着手し、その事について話し合いを設ける場でもある。


 そんなハリスの審界に『嵐』の議題を上げるつもりでいるオーラン。この円卓にいるドクレスもフリーシア王国の護衛として参上するつもり、


 「『嵐』について詳しい君は、連れて行きたい。だけど君にも君のやるべき事がある。無理強いはしないけど、どうかな?」

 「‥却下。」

 「そうか。護衛もいないし、丁度良かったんだけど。もしかしたら、僕たちが探す異世界人の事も聞けるかもよ。」

 「ふふ、そんな話しでは乗れないかな。もう異世界人の事なんてどうでも良くなっちゃったから。却下だよ、ごめんね。」


 敦紫の返答はその一択だった。ハリスの審界、情報のトップと言える事柄が飛び交う場ではある。だとするならば『偽物の勇者』について手掛かりもあるかもしれない。但し、そんな暇つぶしはしない。


 もうスイレに舞い降りた勇者(かれ)の行方なんて、どうでも良い。


 嵐についても教えてあげたい事も沢山あるが、敦紫は既に答えは得ている。この世界よりも元の世界の方が大切‥


 「気が変わってね。嵐の事なら何か書く物を用意してくれたら簡潔的に書き込むし、僕は元の世界に戻るのが第一優先。今回のスイレ王国の一件も、賭けに負けて偶然鉢合わせただけ。『嵐』が、とか。『異世界人』がとか。もうどうでも良いんだ。ごめんね。冷たい人間だからさ。」


 「ふふ。謝る事はないよ。君の意思を尊重す——」



 ドタァァン!!



 「え!?」


 テーブルが跳ねて、乗る食器が揺れる。一つの椅子が転がり、音を立てる。足を組み水を飲む敦紫の隣で、大きな身体をした漢が土下座をしていた。それを見て敦紫は驚いてしまう。


 「ど、どうしたの?」

 「私からのお願いだ。『ハリスの審界』に出席していただきたい。」

 「え??」


 「嵐の際、敦紫殿が見せた魔法は、この世の概念を根本から覆す様な魔法。わたしにすら、手の届かない領域の魔法を扱う事ができる貴方様は、その知恵をハリスの審界に出席する物たちにご教授願いたい。いや、難しい事は言わない。説明だけでも良い。どうか!どうか!!」


 「え?、いや。どう言う事。」


 「‥‥‥頼む!!敦紫殿の目的を知りながらも無礼をお許し頂きたい!!しかし!!その魔法が広がればこの世はもっと!!」


 「‥‥え、いや。あの‥‥」


 「‥‥‥‥。」


 何を言っても動かない岩となってしまうドクレス。下手な言葉や周りくどい事もせず、ただ敦紫に来て欲しいその願いで土下座をするドクレスに、あたふたする敦紫。


 それを見て、ようやく自分の皿に乗ってある料理に手を伸ばし籠った笑い声を漏らすオーラン。


 「ふふふ、ほんと真っ直ぐだねぇ、ドクレス君は。それで、どうするの?敦紫くん。中々だよ、王国騎士団の団長さんがこんなに頭を下げるなんて。」


 チラッとオーランの顔を見て、ドクレスの綺麗な土下座をまた確認して、目を瞑って頭を傾げながら自身が定めた目的を見直して、またまた目を開けてドクレスを見て顎に手を持って行き擦り、眉間に皺を寄せて考える。


 「‥‥‥‥。‥‥いや。‥‥‥‥。‥はぁぁ。分かったよ。行くよ。」

 「おぉ!!そうか!!そうか!!敦紫殿!!なんと礼を言ったら!!」

 「これは、僕をシフォンさんに合わせてくれた僕からのお礼‥‥だけど面倒事はごめんだからね!」


 「はっはっは!!幾ら冷たい救世主様でも、真っ直ぐな人間には敵わないねぇ。愉快愉快。じゃあ出席書に敦紫君の名前を書いておくね。」


 「はぁぁぁ、2人のお願いを聞くのもこれで最後だからね?君達の願いを受け入れたんだから、一つ僕のお願いも聞いてくれるかな?」


 「なんだい?」


 「僕を『大異本棚(だいほんだな)』に連れて行って欲しいんだ。」

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