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 追想行進華 —庭園の足跡—  作者: 玉袋 河利守
1章”前と下、それと上と
11/35

11”彼に似ていたね(上)


 

 「盗まれたぁ!?」


 「はい、それに私たちが解読出来ていない『花言葉(セラム)の書』。の一つ。」


 カーテンは靡いたまま、並々入ったお茶はいつの間にか冷めてしまった。頭を抱えて項垂れるオーラン。敦紫を送り届けた後、彼は自室に戻り帰りを待とうとした最中にある事件が起きた。


 「なんて事だ。いつ、どうやって見つけたのだ。大異本棚(だいほんだな)の存在を。‥‥この大陸の行く末が記された大切な書物。私達を救っていただいた彼の方ではないのだな?」


 「はい。」


 「‥では、一体誰が‥‥。それに、盗まれたのがよりによって第三項。敦紫君の事が書かれた重要な書物。このタイミングと言い、邪魔をしている様にしか思えない。‥‥もしや、暴走した‥‥、」


 オーランが吐いた予想を、軽々と押し除けて否定するマリー。マリー自身も暴走した異世界人の顔などわからない。それでも、確かな根拠があった。


 「この部屋で、第三項を手にしていた男は、私たちの言葉を理解していました。お兄様が予想する犯人では、ないでしょう。」


 「では、一体誰が‥‥。」


 「間違いなくこの世界の者、紛う事なき真実です。ですが、不可解な点が二つございました。」


 盗まれてしまった花言葉の書の一部。その行方は、このオーランの隠し部屋が最後。その男は、この部屋にどうやって入ったのか。そもそも、大異本棚に行くためには隠された起動ボタンを押さなければ、入り口は出てこない。地下に行けたとしても、硬く閉ざされた扉が待ち構えておりオーランか、マリーが肌身離さず持っている鍵が必要になってくる。


 地下に行き、扉を確認しても荒らされた形跡や、開けられた痕跡すらない。なのに、9つの花言葉の書が並べられた本棚から綺麗に一つだけ抜けとられていた。


 そして、本を盗んだ男は、解読がすすんでいないその書物を、すらすらと読み上げていた事。これが一つ目の不可解な点。全てが謎だらけ、だがそんな事がどうでも良くなる事がある。それが最後の二つ目‥‥


 「花言葉の書。第三項、『共に散る』と言っていました。私と、お兄様と、敦紫様しか知らないこの部屋でその本を読み上げていました。そして、花言葉の書を読み上げていた人物の名は‥‥」


 この部屋に向かって、狙いを定めて、窓から猛烈な風が吹き上がり2人の声が聞き取れなかった。だが、マリーの言葉を聞いていたオーランの顔だけは、青ざめていた。

 

 「‥‥あり得ない。‥‥。」


 「確証はございません。ですが、本を読み上げた人物はそう言っておりました。」


 「‥‥ふぅ。理解の追いつかない物事が連続すると人は、帰って冷静になるな‥‥‥マリーよ、知っているか?」


 冷めてしまった茶を、全て飲み干し開けっ放しの窓を閉めるオーラン。


 「ここ最近、大地にあれだけ居た動物達が忽然と姿を消している。‥‥、」


 「はい、存じております。」


 「‥相次いで消えていく生き物たち。活発化する襲人に加え、この場所に生息していない魔獣の目撃すら報告されている。今起きた事も含め、数々の不可解な現象が起きているとゆうのに、大陸の秩序を保つ戦鋼番糸は、動かぬ巨兵に沈黙を続ける。」


 「やはり、敦紫様が大きく絡んでいるのでしょうか。敦紫様の事が書かれた花言葉の書が盗まれていますし‥‥」


 「‥違う。‥敦紫君も不可解な現象の一つに過ぎん。あれもこれも、全てはあの半年前から起きたのだ。‥‥一体、このトロイアス大陸で何が起きているとゆうのだ。聖剣を探しに行った敦紫君達に何もなければいいが‥‥‥。」


 その頃———


 

 この森の一角、誰も認識できない場所に1人、スーツの様な物を身に纏う男が木の天辺に乗り、空へと飛んでいく斬撃を見上げながら懐中時計を握りしめる。


 「ふふふふ、コレは途轍もないお方だ。中の下と、言っ所でょうか。いや、見た目で判断するのは懲り懲りです。‥‥‥‥そうですね。‥‥あ、そうでした。まずは証拠を消しておかないと。丁度一匹だけ、死なずに転がっていますしね。ふふふ。」


 その男は指を弾く。



 —————————————————————

 



 「‥思っていた形にはなったね。ありがと、ペン。」


 「はぁぁ、もう何でも良いです。好きに呼んでください。」


 彼が行った技は、この世界に来て最初に見た技。フーガ”の剣術である斬撃を飛ばす手法。敦紫とゆう人間であれば、見た物をすぐさま真似をし、実践に移る。そして、少しづつ追求し、完成までの過程を楽しむ生き物。


 だが今回のフーガ”の技は、武器が必要になってくる。敦紫自身の身体だけでは体現できぬモノであった。その為、実践に移ることが出来ず、ずっと、ずっと、頭の中で模索していたのだ。どう身体を動かせば、どう言った原理なのかを。ずっと、ずっと。


 そして、武器を手にした今、その答えに辿り着いた先が‥‥、


 「敦紫様ですよね?」


 「改まってどうしたんだい?。」


 「どうもこうもありませんよ!!何ですか今のは!?剣術は、魔法ではありませんよ!!斬撃を飛ばすなど、見た事も聞いた事もございません!!貴方は一体何者何ですか!!、それに見てください!!」


 眠るリリー抱き抱えるマルクワは、事の重大さを敦紫に教える。それは、座り込む彼の後ろの光景。此処までやってきた筈の森の道、言わば獣道。木が生い茂るこのヒヨドリの森は、一直線に道が出来ていた。


 「分かりますか!!。貴方の一振りで、森が抉り取られたのです!!確かに、私やリリーを助けてけれた事は感謝致します。しかし!、魔法に続き、桁違いのその力。この光景を目に焼き付け、再確認さてください。大陸を救う救世主であったとしても、」


  これはただの『破壊』だ。


 「‥‥‥ごめんね。」


 森の中だと言うのに、先を見れリズル王国が見えてしまう。元々木があった場所には何もなく、焦土と化した斬撃の通り過ぎた後。


 「貴方の振り下ろす力が国にでも当たっていたら、今ごろ大変な事になっていましたよ。ほんと、『天才』は加減を知らないのですか?」


 「‥‥天才?。」


 「それはそうでしょ。剣を振るのも一、二回程度。それなのにこれですから。‥後。その喋る錆びた可笑しな剣は?。」


 「おいおい!!舐めてたら痛い目あうぜ?、俺は大陸兵器、代百具!!軌剣——」


 そういうの良いから、と敦紫は吐き捨てながら、手に持つペンを振り回し言葉を掻き消す。が、ペンドラゴラムの言葉の一部を聞いたマルクワは、顔の形相をかへ、リリーを置いてけぼりにしてはこちらに詰め寄ってくる。


 「フェンネル!?本当にそれはフェンネル何ですか?‥いや、だからこそのあの力か‥‥。すごい!すごい!!やっぱり貴方はすごいお方だ!!」


 じっくり見せてくださいと、マルクワは舐め回す様に眼をギョロギョロと動かす。食べ物でもないのに、口元からは涎が溢れてしまっている。


 「僕が凄い訳じゃない。でも、そんなに凄いのかい?今にも錆びて朽ちそうなこの剣が。」


 「うるせぇ!!」


 「凄いなんて物じゃないです!!ゴホン。この武器には‥ゴホン!ぶきがあればこのタイリクにすごくてそれでいてうつくしくてかっこいいです!」


 「??。」


 最後のかっこいい。しか聞き取れなかった。説明下手なのか、興奮して、溢れ出す感情と言葉が合わないのか、どちらでもいい。この武器一つにこうもテンションが上がるものなのだろうか?所詮はただの道具だ、僕にはその良さなんてわからない。話を聞いている時間すら勿体無いと感じてしまう。もっと他にいいものが沢山あると言うのに‥‥‥‥‥‥


 ——「おいおい!敦紫!みてくれ!この花。美しいだろうそれでいてたくましくてなんだろか。んーーどう言ったらお前にわかってくれっかな、ほら、太陽のひかりに当たったらこの花が‥‥ほらほらほら!‥良いだろ?花ってのは」


 「ふふふ。」


 「あ、申し訳ございません。好きな物を語りだすと、どうも人様を置いていく癖がありまして‥‥。」


 そんな冷めた僕の言葉を無視してでも、飽きずに自分の好きな物を語り続ける君を見て笑っていたな。彼は、『花』が大好きだった。その良さを僕に伝え続けてくれた。結局、理解はできなかったけど、マルクワ君を見ていると、彼の思い出がふと蘇る。


 「良いよ良いよ。大好きなんでしょ?これが。触ってみるかい?、」


 「良いんですか!?。」


 大好きな物なら、触れてみたいとそう思うだろう。だから、マルクワ君にこのペンドラゴラムを渡そうとする。案の定、彼は目を光らせて、両手を恐る恐る出してくる。


 その時、僕らではない人間の指を弾く音が、鮮明に聞こえた。


 「ん?」


 「どうしたんですか?あぁ!!」


 音が鳴り響いた方角に目を向けて、手を離してしまい、渡すことが出来ずペンドラゴラムは、落ちてしまう。敦紫だけが、敦紫だけが、その音に気付いた。全てを理解した。


 「ブォォーーーーーンン!!!!」


 何と、先ほど敦紫が吹き飛ばしたであろう1匹の魔獣が雄叫びを上げて蘇る。吹き飛ばした気絶させた事が、裏目に出てしまった。そして、起き上がった場所の近くには、今まさに目を覚ましたリリーが立っている場所。


 先ほどよりも魔獣の身体は大きくなっており、気づいても対処出来ぬ距離、魔獣の無慈悲な攻撃は彼女の頭上へと降りてくる。


 「なぁ!?リリー!!逃げろ!」


 「くそ。そう言うことか、」


 この状況の全てを理解した敦紫であったが、一度それを捨てさり先ほどと同じ容量で剣を振ろうと、落ちたペンドラゴラムを広い、腕には血管が浮き上がる。


 「まて!相棒!ここで全力で振ればあの2人もろとも散りになるぞ!」


 「!?」


 そんなこと言ったて、今から全力で走っても間に合わない。何故、マルクワ君はリリーさんを置いてけぼりにした。‥‥


 今まさにリリーの頭上には大きな魔獣の手が接近し、体全体が影に覆われ、潰される寸前である。マルクワも全力で走り、そして敦紫も、斬撃を飛ばすことをやめ彼女の元へと走り出すも間に合うはずがない


 「‥クソ‥‥」

 「やめろぉぉ!!!」


 マルクワの必死の叫びは惜しくも届かず。2人の目の前で、無惨にも血飛沫をあげる。


 音を立てて、リリーの身体は倒れ弾む。マルクワ達の視界には、世界全体が真っ赤になるほどの血飛沫が広がる。瞼に力を込めて目を瞑ってしまう。だが「え?」とゆう敦紫の言葉にマルクワは、恐る恐る目を開けると。


 転がるリリーの四肢は、綺麗に形を保ったまま。だが、一つだけその場所にはない物があった。


 そこには魔獣はいるものの大きな手がなかった。何が起きたか分からずともマルクワもその場所にたどり着き、敦紫は、また気絶してしまったリリーを守る形で抱き抱える。


 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。え。」


 風が強く立つ。魔獣の腕は空を飛び。噴き上がる血飛沫を眺める。その向こうには、1人の女性が立っていた。


 扱いやすいこの小ぶりな剣を手に持ち、敦紫が放った斬撃のお陰か、はたまたそれは必然か、彼女の立つ位置に太陽の光が一直線にさしている。糸の様な琥珀色の髪の毛を括る赤い紙紐は、その光によってよく目立つ。


 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」


 「グルルルルゥぅ!」


 無言のまま女性は、じっとその大きな魔獣を眺める。魔獣は、腕に力を込めるとみるみるうちに粘膜をまとった新しい腕を生やした。


 「ブォォォォォォォォォォ!!」


 「やはり、魔胞子(バーベ)を根源とする者。腕を切り落としてもまた生えてきます!!勇敢なるお方!お逃げ下さい!こちらには敦紫様がおられますから!さぁ早く‥‥‥‥ってあれ?」


 「‥‥‥‥。貴方ですか?この森に道を作ったのは?‥‥」


 彼女は美しき顔つきで、振り向きオニヒメを抱き抱える敦紫に問う。だがそんな余裕などどこにも無い。今も尚、魔獣は新しく生えた腕を上げ、彼女に向けて殺気を漏らした攻撃を放つ。


 「!?、気を抜くなぁ!!」


 「‥‥‥‥。一度たりとも気を抜いてはいませんよ。‥‥‥たの、‥い‥‥‥‥‥ていま‥‥」


 彼女は口を動かし何かを話している。それは目の前に立つ魔獣に向かってなのか、それとも独り言か。この緊急事態、彼女は今何をしゃべているのかは分からない。が、今はどうで良い。


 敦紫はリリーを抱き抱える手を片方ほどき、置いてきたペンドラゴラムの名を叫ぶ。「それきた!」とペンドラゴラムはその刀身を浮かせ、敦紫の手へと舞い戻ると敦紫は振りかぶる。


 (頭を切れば良い話。脳筋に降るのではなく、力を微調整し、あの魔獣の首を標準とし、振ればいい。難しい話じゃない‥‥‥え?)



 この世界に来てから、身体能力が格段に上がった敦紫の視力は、魔獣の攻撃すら目で追えるほどに強化されている。今も尚彼女を殺さんとする攻撃は、ゆっくりと彼女の額へと接近していくそんな最中、敦紫は見ていた。


 魔獣の振り下ろす攻撃を難なく交わす女性の姿。今の敦紫なら普通のことである、なにせ目で追えるのだから。だが白銀の鎧を身にまとった彼女は、魔獣が放つ攻撃に


   目を向けていない。


 相手の顔を見ているのか、真っ直ぐに前を向いたまま魔獣の猛攻を避けゆっくりと相手の懐までやってくる。


 「‥‥避けれるものなのか‥‥魔獣の素早い攻撃を‥。これは一体‥‥敦紫様?。‥‥。」


 マルクワの横で、リリーを抱き抱える敦紫。彼女が織りなす不思議な技に戸惑い、己の目を疑いこの光景は、現実なのかと敦紫に問いかけると。


 ペンドラゴラムを掘り投げ、手持ち無沙汰になった片方の手で、自身の顔に巻かれた包帯を徐に解く姿。


 「敦紫様?。包帯を外しても良いのですか?‥‥敦紫様?」


 マルクワの言葉に、返答はなかった。


 包帯を外し、浮かび上がるのは美しき顔。今も尚、魔獣の攻撃を華麗に避ける女性と変わりがない程。女性としても、男性だとしても、羨ましがれる程に整った顔付き。


 マルクワと敦紫が出会ってから今まで、包帯の姿しか見てこなかったマルクワは、隠された敦紫の顔を見て、驚いてしまう。


 今目の目の前で起きている事を置き去りにして、マルクワは、敦紫の顔を凝視しているが、敦紫は残念ながら気づいておらず。ただ、目の前で起きる不思議な光景に、紫色の目は奪われている。


 敦紫はその光景に何故か鳥肌がたった。体が感じる感情は恐怖なのか‥それとも。ただ、少しだけ少しだけではあるがまたまた親友の面影が照らされる。


 「ふふ、次は右手ですね。はい。それで口元が‥‥」


 彼女の口にした言葉がまさに現実となる。右手の攻撃を華麗に避けた後。気づけば、彼女は大きな魔獣の真下へと辿り着く。そして、その魔獣は雄叫びを上げてキラリと光る大きな牙を見せ大口をあけ、彼女を噛みちぎろうとするも


 「わざわざ顔をこちらに向けてくれるとは‥‥彼の方もあなたの様にムキになってくれれば簡単なのですが。‥‥そうはいきませんよね。」


 その牙に噛まれれば最後、四肢は見るも無惨な形に成り果てる未来しか見えない。そんな攻撃を仕掛けた、普通の人間であればここで負けであろう。諦める人間だっているこの状況。


 魔獣は、勝ちを確信した。たが、甘く見ていた。自身の攻撃が当たると思っていた。だが残念なことに次の瞬間。


 魔獣の首は綺麗に切られ空を舞う。噛みつき攻撃すら見透かされた様に避けられ斬られたのだ。


 首を失った魔獣は、力を失い膝を勢いよくつく。そして粒子となりて空へと上がり姿は無くなってしまう。


 「‥‥あの日からあなた様を稽古相手にしてきましたが、もう教わる事は無さそうです。ですが、あなた様にも色々としてやられましたからね、感謝しています。今までありがとうございました。」


 彼女は先ほどまでいた今は亡き魔獣の場所で、笑顔をつくる。そして、自身が持っていた剣を鞘に納め敦紫の元へとゆっくりと歩いていく。


 「君は一体?」


 近づく彼女に声をかけてみる。そして横では膝をついたマルクワが驚いた表情を固定したまま


 「‥‥‥‥やっぱり。その美しき佇まいそれにその鎧についてあるエンブレム。‥‥‥何故あなた様の様なお方が‥‥‥‥!?先ほどのご無礼をお許しくださいませ!」


 「いえ、謝らなくても大丈夫ですよ。‥‥そう見えてしまうのは仕方ないですからね。」

 

 「ん?マルクワくん。この人はあのオーランと一緒で偉い人なのかな?」


 「‥‥‥そうですね。また違う種類ですが‥‥え、我が国の王を呼び捨て!?。ハァ、あなた様ぐらいですよ。‥‥気を取り直してこの人は‥‥‥」



  「お嬢ーーーーーー!!!!」



 怒鳴り声か、がなり声か、その重みのある声は木に住まう小鳥たちが一斉に羽ばたくほどの声。この声を上げドタドタこちらに猛烈な勢いで1人の大柄な男が走ってくる。


 此方に、真っ直ぐ、走ってくる。


 「なんですか!?この状態は!大きな魔胞子を感知したと聞きこちらに来ましたが‥‥何故こんなにも森がぐちゃぐちゃになってるですかい!!」


 「はぉ。うるさい人がきましたね。」


 「うるさいではありません!!私も同行すると言ったでしょうが!何故こうも自由な人になられたのか‥‥ハァァァ」


 「ドクが鎧を着るのにモタモタしてたからでしょ!それに私1人でも大丈夫なんです!あのお方から教わった物で充分魔獣とは戦える様になっています!」


 「‥‥魔獣!?、魔獣が出現していたのですか!なら。尚更ではありませんか!この際だから言わせてもらいますけどね。いつもいつも、あなたの行動で爺やに怒られているのは私なんですからね!それにまたあの男あの男と、奴のせいで!あの可憐なヘレン様がこんな自由な人になられてしまった!許せん!たぶらかせよってあの男は!!」


 「!?。ドク!!あなたはまたおの方の事を!!」


 「えぇ!えぇ!何度でもですよ!!」


 この森の中、そこには敦紫が放った一撃で一直線にリズルの国が繋がるほどの道が一つ出来上がっている。周りでは、木々が生い茂り、その茂みからは小さな生き物たちが怯えながらその女性と大柄な男の様子を伺っている。


 そして、目の前で腰が抜けて両膝をついているマルクワとリリーを抱き抱える敦紫も同じ事。そんな2人を置いて行き、また目の前の男女は戦いの火を灯す中


 「‥‥‥‥あの‥‥‥‥‥‥」


 その喧嘩に気を遣いながらも、声をかけてみるマルクワの姿。


 「大体ね。あなた様は‥‥‥ん?なんだ?誰だ君は‥声も小さい!ものを喋る時はシャッキとしないか!!って痛い痛い痛い」


 大柄な男のほっぺをつねり重心が傾く姿を見る敦紫。


 「‥‥‥。ふ、(‥‥痴話喧嘩‥‥懐かしい。)」


 マルクワは何故怒られたのか困惑している中「どうしましょう?」と敦紫に投げかけてみるも


 「え?もう怖いですよ!何故笑っているのですか、敦紫様!」


 少しばかり微笑んだ姿を見せる敦紫に、その口喧嘩に急ブレーキをかけてはこちらを睨みつける大柄な男


 「何?君がオーランの言っていた敦紫殿か!‥‥‥ゴホン!!大変お見苦しいところ見せてしまった。‥イテェ、私は少し離れにあるフリーシア王国から来たものだ。ゴール・ドクレスと申す。イテェ、そして今私の頬をつねり続けるこの方も同じ種よ。」


 「‥‥口喧嘩をするぐらいの中なんだね羨ましいよ。僕は敦紫‥。‥‥??。」


 「?。敦紫様??。どうしたんですか?」


 「いや、‥‥何でもないよ。」

 

 その巨体は、鎧に被されて尚わかるほどの大きさ、顔付きは強面で顎髭を伸ばし、身長も高く、敦紫に比べれば倍ほどあるのでは無いかと思ってしまう気迫、胸元には銀色に輝くエンブレムをちらつかせ鷹の紋章を描かれてある。


 「ガハハハ!口喧嘩ですか!!そうですね。日常茶飯ですわ!ほれ言っていますよヘレン様、仲がよろしい証拠だと。」


 「‥‥‥‥それで敦紫様、何故あなた方はこの様な所へ?、」


 「え!無視!?」


 敦紫は事情を聞かれたものなので口を開けると 「ここは私が」そう言い今まで膝をついていたマルクワが立ち上がると今までの事を話した。そして今、敦紫の腕の中で眠っているリリーの目が薄らと開いてゆく。


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