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戦闘の勝者達(デュエル・マスターズ)  作者: 娯楽
デュエマ、スタート
10/14

真のデュエル〜逆転の可能性〜





「——————イカリノアブラニ火ヲツケロ」






※これはトレーニングカードゲーム デュエル・マスターズ をファンタジー風に書いたニ次創作です。


淡青色の神歌が辺りの空気を震わせる。

その結果、歌の風が発生したことにより消えていた天然の風の代わりを担った。

「こ、これは…」

青い光の明度は頂点を迎え、ついに運命が決定する瞬間が訪れる。

青い閃光。その中に向かって目を凝らすと、その中に同色の「巨大な影」が、こちらに向かってきているのが確認できた。

その「影」は一秒一秒大きくなり、確実に近づいているのが見てわかる。

そうして「巨大な影」が完全に視認が可能になった時、閃光の光が晴れ、中にいた影はまるで線画のイラストに色を付け加えられるかのようにその姿の全貌を現した。

「ギイィイィィィィィィガァアァイィーーーーー!!!」

光の向こう側から響く、低い鳴き声と高い機械音がごちゃ混ぜに混合させられたかのような独特な鳴き声。

「大当たり….」

その音のような声を聞いた私は悪趣味に笑う。

「な、なんなんだよこれ…」

拉致犯は突如現れた目の前に広がる一匹の亜人に言葉を失う。

その亜人、いや亜()とも呼べそうなその見た目はとても巨大な、揺らぐ体をもつ青い鳥。そはまるで水が正しい形を持たないように不完全で、それでも自分の形を欲している、そんな神秘的な体だった。そしてその体にはいかにも無理やりくっつけたであろう黄色の鎧をつけた竜手。その手には剣と盾が握られているが使い方が分かっているかのような知性は感じられない、神々しさと禍々しさを兼ね備えた魔獣のようなバケモノだった。

「な、なんなんだこのバケモノは……」

ホーガン・ブラスターの結果を見た拉致犯は腰を抜かし、完全にその場から動けなくなっていた。

デス・ザークもその圧倒的物理(カードパワー)の差にやられて攻撃を中止する。

「……これは、君ば欲していた闇王の力の亜種」

抑えられない笑いを堪えることもせず、私は拉致犯にこの亜人の事を教える。

「亜種だと…?」

「そう亜種。……こんなお話し聞いたことある?」

この亜人の最初の説明は、闇王の昔話。

「むかーしむかし。ある所に『無』がありました。……あるのに『無』い。なんか面白いね」

童話の不思議に少しの笑いを挟み、私は続けた。

「なにもない。まるで星のない宇宙のような暗い無にある日、突然一人の子どもが産まれてきました。あ、この子が未来の『闇王 ゼーロ』ね。そこから………まぁ色々あって文明を攻めていきました」

「…….お前、話飛ばしたろ」

「……ごめん。長くてめんどくさくなっちた」

笑いながら舌を少し出して私は容疑を認める。

「……そうして水文明を攻めた時に発生した汚染水を使い、闇王は新たな力を手に入れました。驚くことにその力は、水文明の「時を操る秘伝」だったのです。そうして闇王の不死鳥は水の力を経た『月下卍壊 ガリュミーズ』として再誕したのです!……とまぁここまでがドルスザク最大ピークの頃のお話」

最後にタバコを手持ちの灰皿に埋めて闇の昔話を締めた。

「……さて、次にお話致しますは彼のもう片方。違和感の白金鎧の竜手について」

説明第二幕に向けて、私は二本目のタバコに火をつけ、肺に煙を取り入れる。

「それはかつて、自由な少年の絵から産まれた二体目のドラゴン。そのドラゴンが「奇跡の禁断」と戦う為に古の最高位天使と契約を結んだ、天使(エンジェル)(・コマンド・)(ドラゴン)、『アルカディアス・モモキング』」

ここで私はタバコを吹かし、一旦休憩。

尽きたタバコを灰皿に当てて鎮火しそうして再度、新品のタバコを取り出し火をつけから昔話のクライマックスの説明に入る。

「アルカディアス・モモキングは戦闘の末、見事「奇跡の禁断」を打ち倒しましたとさ。めでたしめでたし」

そうしてアルカディアス・モモキング昔話を王道的に締めくくる。

「……さーて。くそながったけどここからが本題。じゃあこの子は一体なんなのかってことだよね」

私は巨大な亜人を横目にしながら、咥えたタバコを吹かて笑う。

「またまた昔話をしようか。と言ってもこれは先の二つと比べれば結構新しいんだけどね」

ふぅ、と白い煙を喉から肺へと循環させニコチンの快楽を脳へと送る。

「そして人間界には、そんな童話になる程の有名な亜人と亜獣を使役する二人のデュエリストがいました。一人は己と亜人との絆を高め合う為に、一人は無限の力を欲した結果、魔の導具に取り憑かれて。そんな二人はある日ぶつかり合い、結果青い魔導具使いが勝利を収めた」

タバコはチリチリと火花を散らしながら煙へと変わる。

その煙を時々悪循環させることにより得られる快楽は、いつも短期で壮大だ。

(デュエル)(マスターズ)決戦(グランプリ)と呼ばれるその戦いは、二人に大きな痛手を負わせた……。そんでその後に、その隙をついた実験中毒者がいました。その実験チュウは深傷のアルモモとガリュ・ミーズを回収、混成。その結果生まれたのがこの歴史の不純物、『頂上混成 ガルディアス・モモミーズ ′22(ドュエンティートュー)』ってわけ」

そうして、最後に肺いっぱいにニコチン吸い込み、「おしぃまい」と笑いながら説明の幕をおろした

「……歴史の……不純物…まさか…ディスペクター…!」

拉致犯はこれまでの説明を聞いた中で、これの正体と自分の知識と合致するものがあることに気がついた。

「すごいねー。さすがゼーロンを追ってただけのことはあるよ」

拉致犯からのちょっとした想定外の言葉に、私は皮肉の賞賛を彼に与えた。

「あんな紛い物共と繋がっていたとは……お前は本当に何者なんだ……?」

「何者って程の者じゃないよ。ただ私は、デュエマが好きなだけ」

純粋な気持ちを誠実に話し、デス・ザークを指差す。

その行動は拉致犯の背中を凍らせ、デス・ザークの防衛本能を篩立たせた。

私の命令を承諾したモモミーズは先の低くて高い、機械音のような動物の鳴き声を響かせ、臨戦態勢に入った事をこの場の全員に知らせた。

「ギィィィィぃぃイィイィイガァァアァアアアァァァアアアーーーー!!!」

独特な咆哮が大気を震わせ、青く揺らぐ巨大な羽が空一面に広がる。

モモミーズは不似合いな剣と盾を構え、デス・ザークに向けて特攻。

デス・ザークも負けじと羽を広げ威嚇。

がしかし、体格や圧倒的パワーの差をただの威嚇ごとで埋められる訳もなく、

「キィィ!?」

デス・ザークの胸は黄色い剣に貫かれ、呆気なく破壊される。

その様子を黙って見ることしかできなかった拉致犯の目には、今までの苦労、死んでいった仲間達の面影、戦場での苦痛が次々と浮ぶ。

彼はそれらを断罪し未来に残さない為に、闇の力まで手に入れて努力してきた。だというのにこんなぼっと出てきたふざけた女に、こんなにも簡単に破壊されてしまった。しかもその女はこの芸当を運だけやったと言いやがった。

「……デス、ザークが…」

混乱とありえない現状に、拉致犯の口からはその言葉以外なにも出てこなかった。

「……言ったでしょ?運が一番の必勝法だって」

そうして、トテントンへ向けて私は満面の笑みとピースを送る。

「あ、ははは……」

トテントンは笑顔を作って答える。

運命は変わる。だからデュエマが好き。彼女がそう言った事の理由と意味が、トテントンは少し理解したように感じた。

それと同時に、この年上でどうしようもないほどだらしないお姉さんが何よりも頼もしく、そしてもう二度と関わらないでおこうと思った。

「……まだ、終わってないぞ…」

拉致犯は力がなかなか入らない全身の体を無理やり立たせ、こちらを睨む。

「終わってない……終わってないぞ……!」

「諦めなって。現実逃避するのは君の悪いところだぜぃ?」

「黙れ!!お前に俺のなにが分かる…俺の……なにがぁ!!」

拉致犯は叫び、走り出す。

この女の首元を食い切る勢いで。

「ぐぅ……かはぁ!」

しかしその願いは拉致犯の胸を貫いた黄色の剣によって阻まれ、叶うことはなかった。

「……なっ………………」

巨大な剣が胸を突き差し、自分のシールドがブレイク(心臓が潰)されるのを文字通り肌で感じる。

口からは命が溢れ、めまいが生じる。

「ぐ………かは……」

胸から剣が抜かれ地面に倒れると、更なる出血と命が遠のく感覚が体の内側から襲う。

「バーカ。もう勝負はついてるって」

私はまだシールド(心臓)の残りがある事を確認し、モモミーズに追撃の命令を下す。

モモミーズはギィ、と返事のような鳴き声をすると剣を逆さに両手で持ち変え、残りの心臓を潰す為に構える。

目の前に広がる一匹の亜人と、そいつの剣。

それらを見て、拉致犯はようやく自分が負けた事を理解した。

——————もう終わり。

その言葉が浮かんだ時、拉致犯の中にある感情が全て虚無へと放り投げられたような感覚に堕ちていった。

全ての努力は報われず、全ての積み重ねは上から叩き崩された。

もう、終わりなのか。

「……くっそぉ……」

目の前が水で滲む。

悔しい。虚しい。腹立たしい。

戦争も、自分の願いも叶えられなかった。

「みんな……ごめん……」

怒りのような哀しみのような、そんな感情が自然と拉致犯の口からその言葉を口走っていた。

そして、その時が来る。

巨大な刃が再度、拉致犯の胸を貫通し擬似心臓を全て潰す。

刺された瞬間、大量の赤い命がまるで噴水のように吹き出した。

トテントンは涙目になりながら視線を逸らす。

そろそろ慣れてきていたと思っていたが、さすがにまだ無理か。

そんなトテントンが逸らした場所では拉致犯が刺された衝撃で、まるで打ち上げられた魚のように跳ね、グチャ、と音を鳴らしながら再度仰向けに倒れた。

胸や口から更に血が溢れ、溢れる(こぼれる)

もはや拉致犯の目に色はなく、生命なんてものは感じられない程の出血と格好だった。

「……も、もういいんじゃない…?」

ふと、茂みから目を逸らしていたトテントンが声を上げた。

「なんで?」

「だって、もうこの人動かないし、それに可哀想だよ」

幼女の目には小さな涙がちらほらと見えられる。

「おっふ…」

その涙が私の性癖を吹き飛ばしかけたが、なんとか耐えしのぎ、彼を痛めつける理由を説明する。

「ごめんねトテントンちゃん。それはまだできないんだ」

「どうして…?」

「『真のデュエル』っていうのはどちらかが死ぬまで続けなきゃ終わらない。……彼も言ってたでしょ?『デュエマ』は戦争の手段だって」

私はタバコを吹かして、光のない笑顔で改めて丁寧に優しく、無知な子どもに教えあげた。

「……戦争は、殺し合いなんだよ」

「ころ……しあい…….」

「そう。どちらかが死ななきゃ終わらない。そんなどうしようもなく残酷で、どうしようもなく無益な行動。それが『戦争』っていう『デュエマ』」

「……お姉さんは、そんなものが楽しいの?」

「うん。とってもね」

私はトテントンちゃんの質問に迷いなく答える。

その回答にトテントンは更にこの人との心の距離を感じた。

この人とは決して愛いれられない立場なんだと、子どもながらに痛感する。

「さて、それじゃあトドメ(ダイレクト・アタック)を———」

そう思って拉致犯の方へと視線を向ける。

「——————は?」

「………え?」

しかし、その場所を見た瞬間、私とトテントンは目を奪われた。

——————そこには、大量出血で倒れていたはずの拉致犯はおらず、代わりに全身を炎で燃やす、一人の焼死体が立っていた。


「——————イカリノアブラニ火ヲツケロ」


みなさま。娯楽さんです。ども

……何気に、飽き性な私がここまで続けられてます。奇跡だこれ。


ところで皆さま。私事ではありますが、アルバイトを始めました。

……これで今までの金欠地獄から抜け出せるぜぃ!ひゃっほいい!!

それに、アドバンスでは5cワルドバロムがぶっちぎりの入賞と聞いて、それを知った時はもうそれはもう驚きました。

∑(゜Д゜)←まさにこんな顔になりました。

バイト代の使い道が早速決まりましたなぁ。


それでは、これからも「戦闘の勝者達デュエル・マスターズ」をよろしくお願いいたします。

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