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6話

お待たせ致しました。

6話でございます。

視点は神咲くん



ーレッドに火球がヒットする20分くらい前ー







目で追えるギリギリの殴り合いをするレッドさんとアーク様の戦いを、凄いなぁと見入っていたら、隣に居たレオンさんに「アレは全然本気でやってない、まだお互い戯れの範疇」って言われて驚いた。十分激しくぶつかってるように見えるのに、アレで遊んでるんだ…強さの次元が違うと思った。


あ、レッドさん拳に炎纏わせてる。どうやって出してるんだろう?あれが『色ノ家門(キアロスクーロ)』の『血の能力』ってやつなのかな。


見よう見まねで、炎よ出てこいとか念じながら自分の手をグーパーしてみた。まぁ出るわけないんだけど。

僕は意識した身体の一部を硬化する事と火耐性しかできないんだから。それでも『2系統』って珍しいらしいけど。まだ実感みたいなのは無い。




ーーーぽっ……




「えっ!?」




そんな事考えてたら、どうしよう…手の平に小さな火球が生まれたんですけど。混乱しながらレオンさん達にアワアワと手を突き出した。


「ひっ、火、出ちゃったんですけどっ、どうしましょうっ!?」


「どう…しようもなくないか…?」


困った顔をするレオンさん。そりゃそうだ。


「自分で出したんだから、自分の意思で消えないのかー?」


首を傾げるジークさん。消えろと念じてみるも全く消える気配が無い。


「手を振ってたら取れるんじゃないさ?」


ノワールさんの言葉に、適当に手を振る。取れない………飛んでけって念じたらいいのかな?

飛んでけー飛んでけーと念じながら手をブンブン振る。




ースッ…




「あ、取れた!…………あ」


「「「あ」」」


ヒューッと飛んでった火球はレッドさんの頬あたりに命中し、僕含め4人の顔が青くなった。



ーそして現在ー



ゆらぁりとこちらに身体を向けたレッドさんの腕をアーク様が掴む、レッドさんがそれを引き剥がす、それを何度か繰り返しながらゆっくり確実に僕に向かって歩いてくる。あわわわ。

レオンさん達が何重にもシールドを張ってくれるが、作るそばからシャボン玉のように割られていく。

あぁ…僕の人生…短かったなー……

色々諦めて遠い目をしていると、レッドさんに首根っこを掴まれ持ち上げられた。さっきの炎を纏わせた拳でぶっ飛ばされるのかなー、熱いのも痛いのもやだなー。


「おい。てめぇ名前なんつったっけ?」


「ふぇ…?」


殺られる覚悟をしていたのに、レッドさんからかけられた予想外過ぎる質問に変な声を出してしまった。


「てめぇの名前聞いてんだよ」


「え、あ、神咲緋也、です」


「神咲緋也…その名前、覚えておいてやる。雑魚に顔面に攻撃当てられるなんざ数十年ぶりの事だからなァ」


ニタァと音がつきそうな笑顔でそう言うレッドさんに冷や汗が止まらなかった。今から殺すけど僕の名前を覚えておくって事!?僕死ぬの助かるのどっち!?






「そこまでにしろ、赤いの」


「あ、アーク様」


レッドさんに首根っこを掴まれたままだったのを、ヒョイっとアーク様に抱えられ地面に降ろされた。



「貴様の笑顔は凶悪すぎるんだ。神咲くんが発狂したらどうしてくれる」


「はぁ?いくら雑魚でも笑顔で発狂はしねぇだろ」


「…1回鏡で自分の笑顔を見てから言え」


「鏡見ながらニヤつく趣味はねぇよ」


「貴様の笑顔の凶悪さを自覚しろと言っとるだけだ!」



また言い合いが始まった。さっきみたく煽りあってる感じじゃないけど、戦闘になるなら邪魔になりそうだからレオンさんの所まで下がらせてもらいたい。とか思ってたらレッドさんが不意に僕に向かって何かを放って寄越した。慌ててキャッチすると、それは赤い石の付いた金と銀が交差するデザインのブレスレットだった。





「……あの、これは?」


「『共鳴石』だ。緋也は雑魚とはいえ、炎が使えるのは珍しいから一応渡しておく。それが反応したらここに連絡しろ」


いきなり下の名前呼び捨てかと思ったら今度は名刺を渡された。



『喫茶店パロマ 店長:韓紅 十希』



かん…く?なんて読むのこれ…レッドさんの本名?

あ…『からくれない とき』って下に書いてあった…え、名前オシャレすぎん?ていうか喫茶店の店長!?笑顔あんなに凶悪なのに!?情報量多いけど僕が知っていい情報なのかな…まぁいいや。あとで携帯端末に登録する時は「レッドさん」って入れておこう。誰か分からなくなりそうだし。



「おい赤いの。貴様には珍しく随分手厚いことだな。何を企んでおる」


殺気を飛ばすアーク様に、飄々とするレッドさん。


「うっせぇな。念の為だよ念の為。アークは俺らとの戦い方は教えられても、力の扱い方までは教えらんねぇからな」


いつの間に側に来ていたのか、ブルーさんもグリーンさんも頷いている。


「この際敵陣営だなんだはどうでもいいんだ」


「どこにいたって同胞は同胞ッスからね!」


アーク様は依然険しい顔でレッドさん達を見ながら僕を背中に庇ってくれた。


「再三言っているが、神咲くんは戦闘に出さんぞ。今日発現した炎だって貴様らに充てられて擬似的に出来ただけでは無いのか?」


「別に緋也が戦闘しようがしまいがどっちだって構わねぇんだよ。充てられて能力が発現したかもしれねぇが、話はそこじゃねぇ。いいかアーク、緋也、俺らの死因で1番多いのは戦闘の負傷じゃねぇ。血の制御が出来なくて身体が崩壊する自滅が1番多いんだよ」


身体が崩壊する…想像してしまって血の気が引いた。後ろにいる僕にはアーク様の表情は分からないけど、一瞬息を呑んだ気がした。


「雑魚い力だからって放置しといて、何かのきっかけで血が暴走したらどうすんだ?お前らじゃ、緋也を止めようともがいて巻き添えで死ぬくらいしかできねぇだろうが。俺らは敵陣営にいるからって同胞を見殺しにするようなクズじゃねぇ。いずれお前らを皆殺しにするにしても、今はあらゆる可能性を考えて死なねぇように手を差し伸べる事の何がおかしい」


レッドさんの真剣な瞳に圧されて暫く誰もが口を閉じたが、ため息とともに先に口を開いたのはアーク様だった。





「…はぁ。別におかしいとは言っておらん。貴様らの身内に対する過激な行動など今更だし、クソデカ感情も今更だし、言ってる事が若干滅茶苦茶な気はするがそこもまぁいい。此方としても折角入社してくれた新人を失いたくないしな。神咲くんの自衛になるなら、貴様らに関わる事に口を出したりはせん。が!!ちゃんと帰せよ?神咲くんは“ う・ち・の・子 ”だからな!絶対貴様らにはやらんからな!!」


ビシッとレッドさん達を指差しながらそう言うアーク様に、僕を含めて皆キョトンとした。ブルーさんなんか笑いを堪えすぎてめちゃくちゃ肩が震えている。




「キシシシッ!緋也、お前の雇用主は随分束縛が激しいらしいな。コイツが嫌になったらいつでもうちに来いよ。ヒーローが嫌なら、パロマで給仕として雇ってやる」


レッドさんはニタァと笑いながら僕の頭をガシガシと乱暴に撫でた。嫌な気はしなかった。


「誰が束縛激しいメンヘラだ。社員思いの上司の鑑だろうが」


「誰もメンヘラとは言ってねぇんだわ。自覚あんのかよ黒山羊」


またギャイギャイと言い争いをする2人に、僕は苦笑しかできない。なんだろう、レッドさんと話す時のアーク様は社内にいる時と違って生き生きとしてる気がする。本当は仲良しさんなのかな。言ったら殺されそうだから言わないけど。

敵対してなければ、レッドさん達も仲間思いの良い人達なんだろうな。敵陣営にいる初対面の僕の為にあんなに感情爆発させたり、世話を焼こうとしてくれたし。







仲間……あれ?レッドさんにブルーさんにグリーンさん、あと2人いたはずだけど…どこに行ったんだろう?



キョロキョロしだした僕に、笑いから復活したブルーさんが気づいてくれた。


「どうした緋也?」


「いえ、その、確か最初は黄色い人とピンクの人もいたと思ったんですが、姿が見当たらないのでどうしたのかな、と…」


僕の疑問に答えてくれたのはアーク様と口撃し合っていたはずのレッドさんだった。


「あぁ、イエローとピンクなら気にすんな。戦闘が長引いたり、今日みたいに援護の必要も無いグダグダな日は勝手に帰っちまうんだよ」


「…いつも思うが、チームとしてどうなんだそれ」


呆れたように言うアーク様に、レッドさんは何も気にした風もなくヒラヒラと手を振った。


「お前ん所みたいな仲良し組織じゃないんでね、うちは。家がたくさんあれば派閥ができるし、計略謀略暗殺ナンデモあり。死んだらそこで死んだ奴の方が責められる、実力至上主義の殺伐とした組織よ」


「ヒーローってなんでしたっけ」


「仕方ないッスよー。強い光があれば同じくらい強い闇が生まれるッス」


「それ、本来なら闇の部分は俺様達悪の組織の説明の為に使うんだがな。両方正義側に存在する矛盾よ」


頭を抱えるアーク様に、はにゃっとするグリーンさん。カオス。






「さてと、適当に戦って被害も出したし、緋也も見れたし、帰っかー」


ぐーっと腕を伸ばし、くあっと欠伸をすると、レッドさんはポケットに手を突っ込んで、ブルーさんとグリーンさんを見た。


「そうだな。やる事もあるし、今日は帰るか」


「はいッスー!今日は早めに終わったから、駅前にできたお店のパフェ食べに行くッスー!」


「女子か。この後の行動は好きにしろ。俺は『定例会』まで寝るから起こすなよ。そういう訳で、緋也、アーク、雑魚共、またな」


スタスタと出口に向かうレッドさん達。

アーク様は何も言わない。

レオンさん達も、途中から空気だった青龍さんも、誰も。

そしてレッドさん達の姿が完全に見えなくなると、どこからともなくヨミさんが現れて、アーク様の隣に立った。


「お疲れさんでっす!中々おもろいもん見せてもらいましたわ。ほんで?わっちらも撤収でいいんですの、アーク様?」


ヨミさんに話しかけられ、アーク様はハッと我に返って頷いた。


「あ、あぁ。後処理部隊に連絡を。到着次第、俺様達も撤収する。それまで各自待機だ」


そう指示を出すと、また腕を組んで黙ってしまった。


青龍さんが連絡を済ませたのか、片手で合図し、適当にその辺の瓦礫に腰掛けた。





「はぁ、よっこいせと。今日は儂の出番が無かったが、たまにはこんな日があってもよいのぅ」


「青龍様が活躍するような現場は自分はなるべく遠慮したいですね。命が幾つあっても足りませんよ」


「そうかの?良い鍛錬になると思うがの」


「いやいや、限度がありますよ。腕が上がる前に死にますって」


苦笑いするレオンさんに、頬杖をつきながらニッと笑う青龍さん。


「なんじゃい、それでも第1部隊の副隊長か」


「え、副隊長?あっ…」


思わず口に出してしまって手で覆うが、遅かった。

青龍さんにニコニコと手招きされてしまったので、近くに寄る。隣を叩かれたので失礼しますと断ってから腰掛けた。


「坊主はまだ社内の事はほとんど知らんじゃろう。戦闘を担当する4部隊の内、第1部隊が儂が預かる部隊じゃ。そこの副隊長がこのレオン。攻撃力も高いが、守る力も中々じゃったろう?…まぁ、ピジョンレッド相手では歯が立たなかったが、カカカッ」


豪快に笑う青龍さんに、レオンさんは少し居心地が悪そうだ。


「戦闘部隊と、他にも部隊があるんですか?」


「そりゃあな。戦闘に諜報に潜入などなど。でも人数が1番多いのは内勤じゃよ。うちは書類を捌くのが苦手な者が多いからのぅ。儂も苦手じゃ」


そう言いながら肩を竦める青龍さん。


「アーク様から聞いています。だから僕も、素性は置いておいて内勤専属で採用されたと」


「そうか。焦らず、自分の出来る事をすればよい。無理は禁物じゃ。今日の事はきっと坊主を悩ませるじゃろう。自分が怖くなったかもしれん。だが坊主は坊主以上にも坊主以外にもなれん。その事は覚えておくがよい」


青龍さんは僕の能力の事は知らない。

それでも掛けてもらったその言葉は有難かった。


「はい、ありがとうございます」


お礼を言うと、青龍さんは優しく笑ってくれた。







「後処理部隊が到着した。これより帰還する。青龍、ゲートを頼む」


「承知しました」


青龍さんはよっこいせと言いながら立ち上がると、能力を展開し、鳥居のような門を開いた。アーク様を先頭に門の中に入っていくと、そこはもう見慣れたV.C社内のエントランスだった。





「おかえりなさいませ、皆様〜」


受付嬢♂さんが出迎えてくれて、なんだかホッとした。まだ入社からそんなに経っていないのに、僕の帰る所はここなんだと、他ならぬ僕自身が思っている事に少し驚いた。


「今日は皆ご苦労だった。他に仕事を抱えている者以外はここで解散だ。次の仕事に備えて休むがよい。あぁ、神咲くん、君はこの後俺様の執務室に来てくれ」


「あ、はい」


「以上だ」


アーク様の言葉に、それぞれ用のある方へ歩き出す中、僕もアーク様の後ろに着いて歩き出した。




最上階に向かうエレベーターを待ちながらアーク様をチラ見すると、少し眉間にシワが寄っていた。戯れとはいえ戦闘があったんだし、多少は疲れててもおかしくないか。


「今日は色々疲れただろうが、すまない、もう少し付き合ってくれ」


「いえいえ。僕なら大丈夫ですので、お気になさらず」


「あと、分かっているとは思うが、社内ではあまり鳩共の話はせんようにな」


「勿論です」


軽やかな音とともにエレベーターが来たので、乗り込む。


「…そう言えば身体は大丈夫なのか?」


「何がですか?」


「使ったというか使えてしまったというのが正しい言い方かもしれんが、火球を出しただろう。身体に影響はないのか?」


あぁ、火球を出した事すっかり忘れてた…

そういえばなんともないな。


「自分でも使った事忘れていたくらいなんで、全く影響無いですね、はは…」


アーク様は僕の言葉に明らかにホッとした様子で、忘れてた事を申し訳なく思った。


「今はなんともないかも知れぬが、後々具合が悪くなったらちゃんと言うのだぞ。場合によっては俺様より鳩共に言っても構わぬし。決して我慢や無理をせぬ事、これだけは厳命しておくからな」


「はい、わかりました」


「うむ。どれ、着いたようだ。なんだか最近は最上階に呼び出してばかりだな。本来なら幹部以外あまり用がある場所でもないのだが…」


エレベーターを降り、大きな窓に近付き景色を見る。

銀色に輝くビルの大群、黒い点にしか見えないが都界に暮らすたくさんの人々、時々飛んでるのは鳥の獣人か悪魔族の人だろうか。こうやって上から見ると、やっぱり都界って物凄く発展してるんだと実感する。倒瀑って建物はそこそこで、もっと緑が多かったと思う。


「今までちゃんと見た事は無かったですが、すごい景色ですね…あ、でもこんなに解放的だと、空を飛べる種族に襲われたら危ないんじゃないですか?」


「なに、そこはちゃんと対策してあるとも。ビルの建材も頑丈な物を使っているし、内外部に設置した防衛装置が襲撃者を消し炭にしてくれるわ」


「消し炭…」


「あまり作動する事は無いがな。襲撃される時は大体エントランスか裏口からが多いな」


「同業者の方々ですか?悪の組織ってもっと卑怯な手段で来ると思ってたんですが、意外と正攻法で来るんですね」


「馬鹿が多いということだ。数で押すことしか知らんから、真正面から大群で来るのだ。せめてトンネルを掘って地下から侵入するとか、排水管を登って屋上から侵入するとか、もちっと頭を捻ってもいいと思うんだがな」


「そんな事されたとしても、対策されてるんですよね?」


「当たり前だ。あらゆる可能性を考えてシステムを組んでおるからな」


ドヤァと得意そうな表情。ちょっと可愛いかも。

雑談を終わらせ、大きな窓から少し歩いた所が大会議室、小会議室、そしてその隣がアーク様の執務室だ。




「すまない、前回より書類がたくさん積み重なっておるから、倒さんように気を付けてくれ」


そう言って中に入るアーク様に続くと、確かに、さっき見ていたビル群みたいにいくつも聳える書類のタワーが……また書類整理に来た方がいいのかな?


「この前も思いましたけど…すごい量ですよね」


アーク様はうんざりした顔で書類のタワーを見回した。


「君が考案した書式の運用が始まるまではこんな感じだろうな。それにまだこの入口から入れるから今日は少ない方だ。酷いと入口まで書類で埋まっているから大会議室側から入るしな」


「…想像以上に深刻だったんですね、書類仕事…」


「あぁ…俺様とネーロの執務室は大体いつもこんなものだし、ヨミ、玄武、レオンのところも多少量は少ないが似たような光景だな」


「…うわあ…仕事部屋を持ってる幹部クラスの部屋は大体書類に埋もれてるって事ですか……少しでも戦力になれるようにこれから頑張りますね。手が空いてる時はいつでも書類整理に来ますんで!」


ぐっと両手を握って見せると、アーク様には何故か微笑ましいものでも見るような目をされた。なんで?


「期待している。さて、そろそろ呼んだ理由を話そうか」


インスタントで悪いがと前置きしながら目の前に出されたコーヒーにお礼を述べ、アーク様がソファに座ったので、僕も向かい側に座り、背筋を伸ばした。


「既に『2系統』能力を持っているのに、3つ目の能力が使えた理由を俺様なりに考えてみたんだがな、神咲くんの父親、極道の組長と聞いているが、本当に人間族か?」


「ぇ…あ、はい、兄達や僕よりも生身で戦う力は弱いので、おそらくそうだと思いますが…」


まったく予想外のところへの質問にちょっとどもってしまった。


「…そうか。片親が悪魔族とか獣人族なら、或いはと思ったのだが。となるとやはり赤いのの強過ぎる力に充てられてたまたま発現しただけなのか…」


ふむ…と考え込んでしまったアーク様。

僕もまさか出ると思ってなかったから、正直戸惑っている。つい先日自分の本当の種族を知ったばかりで、珍しい部類で、今日の火球発現。ポケットに入れていた『共鳴石』を取り出し、じっと見てみる。透き通るような赤い鉱石。これが反応する事があったら連絡しろって言われたけど、この石を装備して能力使ったらそれが『血の能力』ってわかるのかな。いやでもあんまり雑魚過ぎると反応しないとも言ってたような……


「アーク様、お時間があれば、ちょっと地下訓練場に行きませんか?」


きょとんとした顔で僕を見つめるアーク様。


「レッドさんから渡されたこの『共鳴石』って『血の能力』に反応するみたいですし、ちょっと試してみたいんです。身体硬化と火耐性が『血の能力』ならこの石は何か反応するかもしれません。何も起きなければ、違う理由で使える能力って事ですよね?そしたら火球が僕の『血の能力』かもしれません。まぁ色々仮定だらけですが」


むぅんと唸り声をあげるアーク様。

…あれ?やっぱり仮定だらけだから許可おりないかな。いや、書類の山脈を片さないといけないから付き合えないって事か?


だいぶうんうん唸った後、ため息を吐きながら僕を見た。


「…はぁぁ……試すのも付き合うのも構わんが、それで赤いのらが言っていた血の暴走は起きんのか、不安だな」


「じゃ、じゃあ!レッドさん達に過去の血の暴走の例とか聞いてみてからならどうでしょうか!?」


「…む?まぁ、それからなら……いやまて、確かに話を始めたのは俺様だが、そう慌てて結論を出さなくても…」


「アーク様、レッドさん達に連絡を取る許可をください!」


「あーーもーー!好きにせーーーーい!」






お読みいただきありがとうございます。

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