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第7話 棋士はEランクになる



 報告の為にダンジョン探索を中断して、いつもの受付嬢がいる受付に向かう。


「え、夢野様? …………まさか?」

「勘が良いな。階層ボスを倒して戻ってきたとこさ」

「ええぇっ!? まだ昼を過ぎたばかりじゃないですか!?」


 今は昼1時ぐらいになったばかりで朝9時から入った圭は4時間で初めて探索する地下4、5階を突破して、階層ボスを倒したことになるから驚いているのだ。


「地下4階は他の探索者が多かったから戦わずに通り抜けられたのもあるし」

「それでも速いですよ……あ、倒した時の素材はありますか?」

「あぁ、あるぞ」


 階層ボスの魔石と毛皮、そして倒した魔物の分も出しておいた。


「本当に倒している……すいませんが、ギルドカードを渡して頂けますか?」


 受付嬢に言われた通りにギルドカードを渡すとギルドの奥へ行き、しばらくするとお金と一緒にギルドカードも持ってきた。


「はい、素材は2,800円になり、ギルドカードも更新してEランクになりましたのでボーナスが付き、10,000円もお渡します」

「ボーナス? そんなのもあったんだ?」  


 素材は少なかったから魔石だけで2,000円ぐらいになったと予測は出来る。階層ボスは1日に何回も挑めるような相手でもないし、魔導具の燃料として便利だから高いのも納得だ。


「まだ話していませんでしたね。ランクが上がるごとにボーナスが付きますので、頑張ってランクを上げて下さいね」

「次の条件は何?」

「Dランクになる為には3つのダンジョンで地下15階にある転移陣へ登録すればいいだけです」


 Dランクまでは厳しい条件を付けられていないから時間さえかければ達成は難しくない。だが、Cランクからは中堅レベルの探索者として認識されるから厳しい条件をクリアしなければなれない。


「ふむ、今はまだ気にしなくてもいいか」 

「当たり前ですよ。Dランクになるには早くても5ヶ月ぐらいは掛かりますよ?」

「まぁいい。まだ時間があるから地下6、7階の地図が欲しい」

「まだ潜るんですか!?」


 まだ戦い足りないので、次の地図が欲しいと思っていた。地図を買い、魔物のことを教えて貰ってからダンジョンに向かうことに。







 転移陣で地下5階へ向かい、地下6階へ降りると様子が変わった。洞窟なのは変わらないが、緑が少し増えていた。隅に苔、キノコ、草が生えた程度である。


(少しだけ変わっているな。ある魔物がいるからかな?)


 圭が思う魔物とは…………




「あ、あれがトレントか」

「…………」


 圭が見付けた魔物は2メートルぐらいの枯れた木の姿をした魔物だ。こいつがいるから緑が増えている訳だ。


「火に弱そうだが、使えないんだよな」


 魔法があれば楽に倒せる魔物だが、圭は使えないので剣で斬り伏せるしかない。


「…………」

(根で攻撃してくるか!)


 探索者からにしたら、手数が多く魔法がないと面倒臭い相手なので人気がない。トレントの中にある核を壊せば1発だが、場所はランダムだし根に邪魔をされるから前衛の人にはキツイのだ。


(斬撃を飛ばせば根は大丈夫だが、問題は核の場所なんだよな…………)


 核がある場所がわからないなら適当に斬るしかない。


「まずは根だな。『香車の激進』!」

「…………」


 トレントは痛みを感じないから根を斬られても怯まずに襲ってくる。


「やっぱり痛みはないんだな! オラッ!!」 


 連撃で根を斬りながら前へ進んでいく。そして、大木にも斬り付けるーーーー


(斬れは出来るが、両断は出来ないか!)


 中心へ向かうごとに硬いと感じて剣が抜けなくなるのを恐れてすぐ引き抜いた。斬った場所には核はなかったのか、普通に動いてくる。

 根も新しいの出してくるから、再び斬って別の場所を狙って斬る。それを何回か繰り返すとガチッと違う感触を感じたと思ったらトレントが煙になって消え去った。


「運良く核を壊せたみたいだが…………」


 自分の剣を見ると少し刃こぼれしているように見えた。硬い大木を何回も斬ればそうなるのは仕方がないだろう。


(別の攻撃方法を見付けるまでは無視かな)


 トレントのドロップアイテムである小さな魔石、ビッグボアのと比べて小さくて1センチにも満たない。それでも1つで300 円もするから余裕で狩れるようになりたいと考えていた。

 そんなことを考えながら歩いていたら、行き止まりの道にポツンと木の宝箱が置いてあった。


(そういえば、ダンジョンは宝箱も生まれるっけ)


 良い物が入っていたらいいなと思ったが、罠のことを思い出して足が止まる。


(まだ浅い階層だったら罠はないと聞く。もしも、あるとしても矢が飛ぶ程度の筈…………)


 罠のことを考えるなら、正面に立たず横から剣を使って開ければいい。そう思い立ったらすぐそうして動く。


「剣を隙間………」

「グギャギャギャ!!」

「うおっ!?」


 剣が宝箱に触れた瞬間に牙が生えた宝箱になっていた。


(なんだコイツ!?)


 慌てて剣を叩きつけると宝箱がめり込み、なんと一撃で倒せたのだ。


「グギャァ!?」

「な、なんだ? 見掛け倒しだったのか……?」


 見た目は木の宝箱だから何発か必要になると思っていたが、あっさりと倒せたことに驚く。

 それよりも、倒した跡にはある物が落ちていた。


「篭手? いや、ナックルっぽいが…………」


 出てきたのは左手に付けられる篭手というか、殴れるようにナックルもくっついていた。これを武器か防具のどっちかわからないが、攻撃と防御が出来そうな代物だった。色は鋼色が主体で黒色の模様が入っている。


「重さは…………まぁまぁ軽いかな」


 ナイフを持っていた左手に防具が付くのは悪くない。万が一に防御が出来る手段があるというのは嬉しいことだ。


「……あ、これなら行けるか?」


 圭はトレントに対する対策を思い付いた。これならやれるかと思い、トレントを探しに動くのだったーーーー











まだ続きます!

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