第6話 棋士は階層ボスと戦う
数体のスモールスネークとスモールウルフと戦い、経験を積んだ圭は階層ボスがいる扉前にいた。扉前に広場があり、挑戦は順番になるが今回は挑む探索者がおらず、すぐ入れる状況だった。
「確か、ここの階層ボスはビッグボアで男性の成人と同じぐらいの高さがあるんだったな」
ここまでは圭より小さい魔物しかおらず、ここまで大きい魔物と戦うのは初めてだ。攻撃方法はスモールボアと似ているが、ビッグボアには立派な牙が付いており、その牙を使った攻撃方法もあるので気を付けないと大怪我、最悪死んでしまうこともある。
(スモールボアと同じだと思っていたら危険だな。だが、倒し方は同じだと聞いている)
ビッグボアの弱点は側面を狙うことだ。硬い毛皮を纏っているが、きちんとした準備をしていれば時間を掛けて倒すのは難しくないようだ。
覚悟を決め、扉を開けると漫画やアニメとかでしか見られない大きな猪がいた。身体は黒く鼻息が荒いビッグボアは圭を見ると敵意を向けてきた。
「お、デカいな。早速来るか!」
「ブルォォォォォーーーー!!」
挨拶代わりと言うように突進してくる。その迫力は車が突っ込んでくるような感じだった。
「速いが、真っ直ぐで単純!!」
軌道が読み易いと思いつつ、斜め前方へ避けて側面へ剣とナイフの連撃を喰らわせる。硬い毛皮で傷は小さいが確実にダメージは入っている。
「これは時間が掛かるな……」
初心者なら本来はパーティで挑む魔物だから、1人で挑むと時間が掛かるのも仕方がないだろう。
(同じ場所を狙えばダメージは大きくなっていくだろ?)
「ブルッ!!」
「おっと、牙か!」
側面にいる圭を振り回した牙で攻撃してきたが、予測していた圭は下がって避けることがは出来た。
(うーん、側面よりも目とかを狙えば、もっとダメージを与えられそうだよな?)
側面なら避ければ届く場所だが、目となれば避けた後だと過ぎる場所なので狙いにくい…………普通の探索者なら。
「ブルォォォォォ!!」
「避けて……今!」
さっきと同じように避けると、剣でも目には届かなくなるが圭は避けた瞬間にナイフで突きを放った。普通なら届かないが、『香車の激進』で突きの斬撃が目を貫いた。
「ブルァァァ!?」
(『香車の激進』は本当に便利だな)
片方の目がやられて痛むビッグボアを黙って見ている訳でもなく、次は剣で前脚を斬りつける。斬り落とすことは出来ないが、ダメージを与えて動きを悪くさせるのは可能だ。
「ブルゥッ!」
「お、まだ走れるか」
前脚が血だらけになってもまだ突進をしてくる。だから、無事の目も潰すことにした。
さっきのようにナイフの突きで目を潰し、更に前脚を傷付ける。完全に目が見えなり前脚もボロボロだが、怒りで圭がいる方向へ顔を向けていた。
(匂いで場所だけはわかっているのかな? 次は鼻を潰す!)
また突進で来るが、さっきよりも遅いので圭は真正面から剣を力一杯で振り、鼻を潰す。
「オラァァァ!!」
「フゴッ!? フゴォォォ…………」
目、脚、鼻をやられて前へ倒れるビッグボアだったが、まだ煙になっていないからまだ体力は残っているようだ。
「楽にさせてやるよ」
前に倒れてくれたので楽に頭を狙える。鼻にやったように上段斬りを頭に打ち込むと煙になって消え去った。そして、そこに残ったのは3センチ程の魔石と毛皮だった。
「倒せたか」
階層ボスを倒したから、先へ進む扉が開かれて階段と受付嬢が言っていた転移陣とギルドカードをスキャンする為の機械があった。
この転移陣と機械はどのダンジョンにもあり、何故あるかはまだわかっていないが、便利だから使っているようだ。
「スキャンすれば、登録出来るんだったな」
スキャンを終わらせ、転移陣に向かう前に地下へ進む階段を覗き込む。
(うーん、やっぱり何も見えないか。まだ昼過ぎだから続けて先に進みたいが…………1度戻るか)
先にギルドへ報告して、地図を手に入れたら行ってみるのもありだと考えて転移陣に乗った。
「お、頭の中で出口を選べばいいんだったな」
使い方は受付嬢から聞いていたから問題無く転移することが出来た。
「ん、ここは?」
何処かわからないが、建物の中だった。扉が見えて、開くと外に出られた。
(えぇと、ここはダンジョンの裏にあった建物か!)
場所を理解し、ダンジョンの正面にある探索者ギルドへ向かうのだったーーーー
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