第23話 棋士は連絡が来る
真矢と出会った夜食の日から2日経った後。朝に探索者ギルドから緊急連絡が来た。
『朝霞ダンジョンから魔素が漏れ始めた。急ぎで準備をして朝霞の探索者ギルドへ集合するように!!』
転換期の日が来たようだ。今日もダンジョンへ潜ろうと思っていたので準備はしてある。早速、家を出て朝霞のダンジョンへ向かった。
(こいつらは転換期に挑む探索者達か…………)
ギルドへ着くと見慣れない探索者達がいた。見える範囲では30人程度の探索者がおり、立派な装備や武器を持っていることから上位の探索者が集まっているようだ。
(30人じゃ、少ないよな? まだ到着していない人もいるかもな)
「お、お前が『夜叉姫』の弟子か?」
「ん?」
『夜叉姫』の言葉に振り向くと圭よりも身長が高くて豪傑の言葉がピッタリな男が立っていた。背中に巨大な斧を掲げているのが見える。
「いきなり声を掛けてすまないな。ある噂を聞いて、気になったんだよな」
「君は?」
「俺か? 山岡竜也、Aランクの『金剛鬼』と呼ばれている。お前はあの『夜叉姫』と潜っている奴で間違いないか?」
「まぁ、最近は一緒に潜っているな。俺は夢野圭、探索者になって1週間ぐらいのEランクだ」
「ほぅ、まだ初心者なのにここへ呼ばれているところから普通ではないな。『夜叉姫』はお前の才能に気付き、弟子にしたってとこか?」
「あ、どうして弟子になっているかわからないけど、師匠弟子関係ではありませんよ」
弟子ではないことを伝えると竜也は驚く。驚くことか? と気になったが話の途中に玲奈が現れた。
「私の仲間に何かしようとしているのかしら?」
「『夜叉姫』……いや、気になったことを聞いただけだ。いつも1人だったお前が急にパーティを組み始めたら気になるだろ?」
「そう? 今まで出会った人は気に入らなかったから組まなかっただけよ」
どうやら、玲奈はずっと1人でダンジョンへ潜っていたみたいだ。玲奈が現れてから近付いてくるパーティがあった。
「やぁ、久しぶりね。断られて以来かな?」
「げっ、キモい男に出会っちゃったよ…………」
玲奈が顔を歪めて、会いたくもない感情を隠すこともなかった。
「あははは、酷いな。キモいと言われたのは生まれて初めてだよ」
「失礼よ! 『氷麗の貴人』様になんてな口を利いているのよ!」
「探索者の先輩に対しての態度ではないわ」
「……彰人さんに謝って」
嫌悪の視線を向けられている男は貴凰彰人、Aランクの『氷麗の貴人』の二つ名を持っている。玲奈にキモいと言われているが、容姿はイケメンで爽やかな男性なので周りにいるパーティの女性達は彰人の彼女でモテモテだ。
「キモいと本心で思っているから、近付かないでくれる? 周りのハーレムも煩いから口を閉じてくれるかしら?」
「なっ! まだ言う……」
「許せないわ!」
「……黙るのはそっち」
面倒事になりそうでため息を吐きたくなる圭だった。女性達の喧嘩がヒートしそうになった所に竜也がパンと手を叩いて中断させた。
「こらこら、喧嘩はすんなよ。これから一緒に戦い合う仲間になるんだからよ」
「その通りだ。竜也、止めてくれてありがとうよ。君達も僕は気にしていないから止めようね」
「で、でも!」
「お願いだから、少し静かにしてね。今回は夜乃院さんではなくて夢野さんと話をしたいから」
「む、圭に?」
どうやら、彰人が圭達の側に来たのは圭と話をしたい為であった。
「挨拶に来たのに煩くしてごめんね。君のことで気になることがあって」
「気になること?」
「うん、もしかしてと思って……。間違ったらごめんだけど四段の夢野棋士ですか?」
「そうだけど?」
「マジで!?」
驚いたことに彰人は棋士の自分を知っていたようだ。知り合いなら知っていることだが、初対面の探索者が自分のことを知っているとは思わなかったのだ。
「なんで、夢野棋士がここに!? 探索者に!? い、いや、まずは…………」
彰人は爽やかな雰囲気を捨てて興奮していた。そして、魔法鞄へ手を突っ込んである物を取り出した。
「ふ、ファンです! サインを下さい!!」
差し出されたものは真っ白の色紙だったーーーー
すいませんが、1週間ぐらいはリアルでやることがあるからここで休みを入れます。
宜しくお願いします。




