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第20話 棋士はパーティでもソロ



 玲奈に『将の騎士』と『大樹魔法』を使った戦いも見せながら地下12、13、14階を順調に進んでいくと玲奈は呆れたようにこっちを見ていた。


「貴方はソロの探索者として完成され過ぎているわね。普通なら何処か足りない所があって、パーティを組んで補うんだけど…………」


 圭は攻撃、防御、強化、回復、魔法、武器を揃えていて、何でも出来ているからパーティを組む理由がなかなか見付からない。圭は敵の数が多かった時しかパーティを必要としないだろう。

 しかし、ダンジョンではそんな場合が起こるのは僅かしかない。


「敢えて言うなら、防具なんだけど…………回避をするなら絶対に必要ではないよね」

「防具かぁ。考えたことはあったけど」


 圭は動きやすさを重視しており、防具は『鋼蜥蜴の篭手』しか着けていない。


(稼げるようになったら軽装の鎧を買おうと思っていたけど、『歩の基盤』は俺の耐力を高めてくれるから身体よりも弱い鎧を着ても意味がないよなぁ)


 今の圭は普通に買い物へ行くような長袖の上着、ジーパンを着ており、服装には防御を持たない。


「魔物の素材で出来た服装とかあるの?」

「ここにはないけど、中堅以上のギルドにはあるわよ。オーダーメイドになるけど」

「つまり、高い訳だな」

「最初から素材を持っていけば安くなるわよ。服装に使えそうな素材はギルドに百科事典みたいなのがあった筈よ」

「そうなのか。帰りに聞いてみるわ」


 話をしながらも魔物を狩っていき、地下15階へ降りた。


「初心者のダンジョンじゃ、地下15階の階層ボスでも圭の本気で戦う姿が見れなそうね。変異種がいれば…………」


 玲奈はそう言うが、変異種なんて簡単に出会える訳がない。階層ボスがいる扉まで向かうが変異種に出会うことはなかったーーーー






「…………変異種に出会い過ぎだろ」






 階層ボスが変異種だった。本来ならメタルゴーレムであり、硬さを極めた魔物なのだが、目の前にいる階層ボスはメタルゴーレムだが、両手の形がおかしかった。


「アレは……ミスリルで出来たドリルみたいね」


 メタルゴーレムの両手がドリルの形になっている。回すことが出来ていて、綺麗に穴が掘れそうだ。


「ミスリルって、中堅のダンジョンに行かないと見られない奴じゃなかったか?」

「普通ならそうね。でも、変異種は普通じゃないからね。油断して直撃したら死ぬわよ」

「だな。油断せずにやるよ」


 ここでも玲奈は手を出さずに圭だけで戦う。ミスリルのドリルは危険だが…………


「『暴虐の樹根』!」


 魔法でこっちの姿を隠すように根を盾にする。メタルゴーレムはドリルを回し、盾にした根を掘り進めて破壊する。根はあっさりと破壊出来たが、圭の姿は見当たらない。圭は何処へと探すと…………


「ミスリルは両手だけで他はメタル。鋼だよな」


 メタルゴーレムの後ろから声があり、振り向く前にメタルゴーレムはバラバラへ斬り付けられていた。メタルゴーレムは理解が追い付く前に煙になって消え去ったのだったーーーー




「お見事。やっぱり、その能力はズルいわ」

「まぁな。3つ目の『桂馬の瞬発』は短距離転移だからズルいと言われるのは仕方がないな」


 実は、地下15階へ着く前に3つ目の能力が使えるようになっていた。『桂馬の瞬発』は圭が言っていたように短距離転移が出来る。一瞬で視界内の場所へ転移が出来るから、メタルゴーレムの背後を簡単に取れたのだ。

 短距離転移は便利だが、魔力消費が多く何回も使えるような能力ではない。今回は必ず攻撃を受けるにはいかなかったから、背後を取らせて貰った訳だ。


「お、ミスリルが落ちているな。流石にスキルのクリスタルは無かったな」

「そう簡単に落ちないわよ。私だって変異種を何十体も倒しているけど、スキルのクリスタルは十個ぐらいしか落としていないんだから」

「そうだよな」


 ただ圭の運が良過ぎただけ。スキルのクリスタルは落ちなかったが、ミスリルをゲット出来たのはラッキーだ。


「うーん、ミスリルで何を作って貰うといい?」

「貴方は魔法を使えるから、魔力増幅の為に『魔力の指輪』を作って貰うのが良いと思うわ。魔双刀があるから他の武器はいらないしね」


 先輩である彼女に聞いてみると、『魔力の指輪』を勧められた。ミスリルは魔力を通しやすく、装備者の魔力を高める効果を持っており、武器に使う素材に適している。後はアクセサリーにして魔力を高める人が多い。


「そういえば、階層ボスが変異種になっていたことは報告しないと駄目なんか?」

「報告はしないと駄目ね。転換期が近くなったことだからね」

「あー、戻るか?」


 すぐ戻って報告すべきかと玲奈に相談したら、玲奈は少し考え込む。しばらくしてから、返事が来た。


「いえ、地下20階まで進みましょう。あと数日であって、今日や明日になる訳でもないわ。貴方を少しでも強くすることが優先よ」

「あれ、目的が変わって…………」

「良いのよ。貴方はパーティよりもソロで動いてもらった方がいいわ」


 今回はパーティを組んで、パーティでの戦い方を教えてもらうつもりだったが、玲奈は戦いを見てパーティよりソロで動いて貰った方が強いと判断した。


「初心者のダンジョンの転換期に現れる魔物の強さは最低でも地下10階にいる魔物だと思って。それなら、貴方なら1人でもやれるでしょ?」

「地下10階の魔物なら出来るな」

「私が知っているDランクのパーティでも何回か攻撃しなければ倒せでいないわ」

「成る程。俺には魔双刀があるから、一撃で倒せるからパーティにいる理由がないわな」

「そういうことよ。ギルドには私から言っておくわ。貴方がソロで動けるようにね」


 転換期はソロで動くことに決まった。ヘマをして死なないように今日で地下20階へ辿り着いて強くならなければならないーーーー










次は明日の7時に投稿します!

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