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第17話 棋士は一心同体になった



 『赫燐刀』と『碧峰刀』の試し斬りで地下11階へ向かっていた。切れ味が凄いのは理解しているが、細かい部分は階層ボスの戦いでは短すぎた。


(重さは前のよりフィットしている感じがする。強くなるごとに軽くなってしまうが…………魔の付く武器は違うんだよな)


 鉄牙さんから聞いたことだが、主として認めた時から魔双刀は圭に合わせた重さになり、強くなるごとに重量も増えて合わせてくれるとか。

 まるで生き物みたいだなと思ったが、元は高位魔物が流した血を染み込んだ鉱石から作られているから特別なことがおきてもおかしくない。高位魔物は低位魔物とは違い、特殊な力を持っている魔物が多く存在しているから、重さを主に合わせてくれる程度は驚くには値にしないと考えてしまう。


(あとは斬撃を飛ばしたらどれくらい斬れるか? 地下11階には試すのに丁度よい魔物がいるんだったな)


 地下11階にいる魔物はメタルタートルとホワイトタイガーがいて、今回はメタルタートルが標的だ。メタルタートルが背負う甲羅は階層ボスのキングカブトよりも硬いと言われている。普通なら甲羅を狙わずに柔らかい部分の顔、手、足を狙うが圭は甲羅しか狙わないつもりだ。




「いたいた」




 標的のメタルタートルを見付けた。見た目は大きい亀だが甲羅が鋼に包まれていて、鉄の剣では斬れなそうに見えた。剣の上級者なら鉄の剣でも行けるかもしれないが、剣の素人である圭では無理だ。


(これなら純粋に魔双刀だけの実力を確かめられるな)


 まず、階層ボスでは使う暇が無かった魔双刀による『香車の激進』。甲羅に向けて斬撃を飛ばすとーーーー




「デカっ!?」

「ギャァァァ!?」


 甲羅の部分だけ狙ったが、デカすぎてメタルタートルの顔まで斬り裂いてしまった。顔は真っ二つに裂け、甲羅は大きな傷が付いていた。もう1発放てば、甲羅も割れそうな程にだ。


(いやぁ……斬撃が大きくなるとはな)


 これでわかったことがある。武器が強くなるほどに威力と範囲が増えるということに。


「強いなぁ……」


 圭は自分が強くなったと勘違いしそうな程に武器が強過ぎた。しかし、圭が他の武器を使えば『赫燐刀』、『碧峰刀』から見放される可能性があるから他の武器を使って戦うのは駄目だ。

 強い武器を手に入れた幸運を噛み締め、勘違いせずに戦い続けるしかない。


「……メタルタートルがこれなら、ホワイトタイガーも一撃だろうな。…………なら、一撃決殺にならないように部位狙いでもするか? 魔物には悪いが」


 せめての自分の実力を上げる為に、最初から決めた部位を斬って長引かせる。何発か当てた後に倒すーーーー




「ホワイトタイガーか。尻尾、後ろ脚、前脚の順番に斬ってから倒す」




 ホワイトタイガーが動き、四足魔物らしく前脚の爪で攻撃してきた。圭はそんな攻撃は読めるのでみねで受け流しして背後を取る。

 尻尾と後ろ脚を順番通りに斬り、叫んで倒れる前に流れるように切り換えして動きながら前脚まで斬った。




「…………あれ? あっさりと出来た?」




 イメージ通りに身体が動いて、ホワイトタイガーのワンアクションで圭は尻尾、後ろ脚、前脚と順番に斬り落とせた。脚4本と尻尾を斬られたホワイトタイガーは叫びながらこっちを睨んではいるが、眼には恐怖が浮かんでいるのが見える。


「自分も思ったより強くなっていた訳か。すまんな」


 必要以上に傷を付けたことに謝り、首を斬り落とした。その時だった。頭の中に文字が流れ込み、『赫燐刀』と『碧峰刀』が手から消え去って両手の手首辺りに十字の入れ墨が現れた。


(おっ! 収納が出来るようになったのか!)


 鞘もいつの間に消えており、自分自身が鞘になって言葉か念じるだけでもすぐに『赫燐刀』と『碧峰刀』を出せるようになった。


(まるで一心同体になったような気がする)


 出す時は手の平から出るようになっており、戻す時は手から離れていても大丈夫か試してみた。

 手に持っていれば消えるように収納され、足元に置いて戻るように念じるとあっさりと収納された。


「近くなら大丈夫みたいだな。壁に立て掛けて10メートルぐらい離れて……」


 念じてみると…………戻った。


(これは! 盗まれる心配もないし、弾かれてもすぐに戻せる!)


 意外にも凄い効果を持っていた収納。もっと距離を取っても大丈夫か試したいが、ここはダンジョンなので今度にする。

 もうすぐで夕方になりそうなので、地下11階に留まって魔物と戦い続けるのだったーーーー







次は明日の7時に投稿します!

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