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プロローグ

新たな小説です。

今回は現実世界にダンジョンが現れ、棋士である主人公が探索者になります!



 約100年前にダンジョンが現れた。



 最初は混乱したが、しばらくして人類は適応していった。ダンジョンに入る探索者と言う職業も生まれ、魔物と言うモンスターを倒したり富を産む様々な宝物を手にする。


 その探索者へ息抜きの為になる1人の青年がいたーーーー











「あー、また負けたか…………」


 ここは東京にある旅館の一室。さっきまでは将棋のプロ、棋士としての対局があった。負けたと落ち込む青年は夢野圭ゆめのけい、四段のランクを持つ棋士である。

 同じ四段の相手と対局をしていたが、最後に相手が上手く詰みに来られて負けてしまった。


(クソっ、帰ったら反省会だな。四段からは降格が無いといえ、負けが続くのは望ましくはない)


 奨励会にいる時は八級〜三段までで降格もあったが、圭は問題無く勝ち上がって去年に棋士へなれた。しかし、棋士になってからは強い相手ばかりとぶつかっているからなのか、負けの方が多くなっていた。

 今は21歳でまだ若いといえ、負けが続くと焦ってくるのも仕方がないだろう。さっきの対局で使われた棋譜を鋭い目で睨みつつ、肩まで届く茶髪をグシャッと握り掻いていた。


「そろそろ着替えて出るか…………む?」


 対局用の和服から私服へ着替えようとした時にスマホが鳴り、画面を見ると友達からの電話だった。


『よっ、通じたことは対局が終わったんだな! どうだった?』

「負けたよ……。アレは相手が上手かった」

『そうなのか。落ち込んでいるみたいだなーー』


 電話相手は中学からの腐れ縁で同じ将棋部に入っていた同級生、土浦湊どうらみなと。湊は将棋のプロは目指さずに大学へ通いながら探索者をやっている。


「で、結果を聞きに電話をしたのかよ?」

『いや、呑みにでも誘おうと思ったが……、後の時間はあるか?』

「帰ったら反省会をしようと思っていたが……」

『反省会はいつでも出来るじゃないか。明日にまた対局がある訳でもないだろ?』

「それはそうだが…………わかったよ、行くよ」

『決まりだな! そうだなーー』


 待ち合わせの場所と時間を決め、旅館を出るのだった。











「お、いたいた」

「来たか!」


 一度帰宅して、荷物を置いてから待ち合わせ場所へ向かった圭はすぐ湊を見付けた。わかりやすい格好をしていたからだ。


 湊はダンジョン帰りだったのか、武器である剣が腰に付けられていた。それから道具や素材が入る小さめの魔法鞄であるショルダーバッグも見えている。

 ダンジョンが出来てから日本も許可を貰えたら刃物を所持可能になっている。


「ダンジョン帰りか?」

「おう! 一応、探索者ギルドでシャワーを借りたから臭くはないから安心しろよ」

「まぁ、目立つ汚れはないからそうだと思ったよ。で、何処で呑む?」

「いつものあそこだ」


 ニカッと笑顔を浮かべる湊は金髪に染めており、明るい性格をしている。圭は良く湊と呑みに行っており、今回向かう場所は良く通う居酒屋だ。


「そういえば、探索者になって2か月ぐらいか?」

「そうだな。大学に通っている先輩から誘われて、探索者になって2か月は経っているな」


 湊は大学に通いながら探索者もやっている。探索者になった理由は先輩から誘われたのもあるが、お小遣い稼ぎの為が強い。


「浅い階層だが、1日中潜っていたら大体5,000〜8,000円は稼げているからお小遣いにはなるだろう?」

「まぁ、大学生なら丁度いいぐらいだろう。武器が壊れたり、怪我をしなければな」

「それは気を付けて地下1〜2階しか潜っていないし、先輩も一緒だから怪我はしないと思うが…………武器はそういかないよなぁ」


 武器は探索者ギルドで買えるが、安いのでも剣は3万ぐらいは掛かる。壊れたら買い直さないといけないので貯蓄をきちんとしなければならない。


「…………武器と言えば、スキルはどうなんだ?」


 ダンジョンではスキルのクリスタルが出ることもあり、魔法を使える探索者もいる。更にスキルのクリスタルは高く売れるのだが…………


「あー……まだ見たことはないな。俺よりも長く入っている先輩でさえ、まだスキルのクリスタルを見つけてないぞ? たまにギルドで売られることもあるが、最低でも300万円ぐらいはするから買えねえよ」

「スキルのクリスタルはそれ程に貴重なんだな」


 見つけても探索者なら自分に使うから流通はあまりしてない。金の為に売る人もいるが、殆どがオークションで出されてギルドには流通されない。そして、金持ちが買っていくから平民が手に入れるのはほぼ無い。


「あー、1つでも見つければ最低でもサラリーマンの年収分は手に入るが、現実は甘くないってことさ。年収と言えば、棋士の年収は充分に高かったよな?」

「勝てていれば、1,000万以上の人もいるが、俺は負けが多いから500万ぐらいだな」

「税のことも考えたら独身なら問題ないが、家族を持っている人からにしたらもう少し欲しいとこだな」

「そうだな。結婚はまだしたくないからいいが、お前はどうなんだ? 彼女がいたよな?」

「いやぁ、大学を卒業して職に付いてもまだ結婚はしたくないな」

「職って、探索者は?」

「大学を卒業しても続けるかはまだ決めてない。危険のこともあるが、成功しないと稼ぎもサラリーマンより下だろうし」


 湊は魔物を倒して身体能力は少しずつ上がっているが、魔物と戦うのは危険であるのは変わりないし地下深くへ潜らないと貴重な素材が手に入らないから稼ぎの心配もする。


「まっ、探索者には人によって向き、不向きがあるからゆっくり考えていくよ……着いたな」


 いつもの居酒屋に着き、席を取る。酒を頼み、話を再開した。


「そうだ、お前も探索者をやってみないか?」

「は? 俺は既に棋士と言う職に就いているが?」

「いや、知っているだろ? 探索者は兼業OKだってことを」


 探索者はどんな職に就いていようが、兼業は許可されている。ダンジョンが生まれてからまだ100年しか経っていないし、ダンジョンは様々な場所に生まれていてまだ最下階まで潜った人は1人しかいない。国がまだ見ぬ富や資材を求めてのことから、探索者を増やす為に兼業を許可されているのだ。


「俺に潜る理由が……」

「ただの息抜きやストレス解消とかでもいいんだよ。ずっと将棋に向き合っても疲れるだけだろ?」

「…………」


 棋士になってから、湊が言っていた通りに将棋ばかりやっていて、お出掛けも湊との呑み会しか行っていないような気がする。

 息抜きならと思い…………


「はぁ、少し探索者をやってみるか」

「お、そうなら探索者になるための申請書を出して、武器を買ったら一緒に潜ろうぜ!」

「申請書はギルドで貰えるんだったよな」

「おう! 問題がなかったらすぐギルドカードを貰えるぞ」


 探索者になったら一緒に潜ると約束をして、注文した酒を楽しむのだったーーーー









 ーーーー1週間後。



 無事に探索者へなった圭は武器である剣を腰を提げていた。湊が持っていた小さめの魔法鞄であるショルダーバッグも買っており、ギルドカードも貰った。最初の探索者はFランクからスタートで1番上はAランクを超えたSランクがあり、探索者はそのランクを目指している。


「まだ来ないな……」


 ギルド前で湊を待っているが、なかなか姿を現さない。その時だった。


(む、メール…………はぁぁぁ!?)


 メールは湊からで、内容はーーー




『すまん。風邪を引いて、熱が出たから行けなくなった。地下1階なら1人でも大丈夫だから、頑張ってくれ!』




 まさかの体調不良で来られなくなり、初心者の圭は1人でダンジョンに潜ることになるのだったーーーー







まだ続きます!

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