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第14話:キンキンキンキン

キンキンキンキン


 これも『突風戦記FUMA』の擬音。

 天空族250騎士団の3番隊隊長・東十条凍矢と地岩族二百将の第六将ガンガームの剣術による攻防を描いたコマだ。

 この漫画、部隊数が多いので設定上のキャラ数も1000を超えるらしいが、50巻までに50人くらいしか出てこない。作者いわく、キーパーソンはまだ半分も出ていないらしい。どれだけ風呂敷を広げているのだろう。


キンキンキンキン


 漫画で描かれているように、俺は凍矢のような最小の動きで連続攻撃を続ける。

 実際にどんな動きをしているのか、速くてよくわからない。

 ……決して説明が面倒なわけではない。

 魔術の効果なのか、これだけ動いても全く息が上がらないし、疲労も感じない。

 まるで体だけが俺とは切り離されて動いているような感覚だ。

 ナーガスは俺の剣を受けるので精いっぱい。まるでガンガームのようだ。


「まだまだ!」


キンキンキンキン


キンキンキンキン


キンキンキンキン


 ……なにかおかしい。攻撃がナーガスに当たらない。

 ナーガスは俺の攻撃を全く同じ動作で受け止めている。

 何度も繰り返しているので、俺の動作が完全に読まれているのだろうか?


「青年! 先ほどから『キンキンキンキン』と叫んでいるが、呪文の類かね?」


 剣を受け止めながら、ナーガスが俺に問いかけてくる。


キンキンキンキン


「そうですけど。なにか?」


 攻防を続けながら俺は答えた。

 「キンキンキンキン」と言いながら剣を振るうのは客観的に見たら滑稽だ。

 冷静に指摘されるとかなり恥ずかしい。


「これが魔術なら合点がいった。先ほどから私の体が勝手に動いて君の攻撃を受け止めている。これだけ動いているのに息も上がらない。この魔術になにか意味はあるのかね?」


 ナーガスの言葉で疑問が確信に変わった。

 JUピー!の魔術は擬音を唱えることで漫画のコマの内容を再現する。

 つまり、今まで俺が使っていた『キンキンキンキン』は、凍矢とガンガームの攻防を再現するだけ。漫画のコマでは特にどちらもダメージは受けていない。

 だから、俺とナーガスもただ剣を交えているだけで何も進展しないということだ。


「その表情からすると、どうやら想定外だったようだな」


 『キンキンキンキン』の再現が終わり、ナーガスが自身本来の構えに戻る。

 俺の予定では『キンキンキンキン』でナーガスに多少の傷を負わせるつもりだった。

 奴の鎧以外なら多少の攻撃は通ると思ったのだ。

 ダメージを与えられなくても、体力を消耗させる予定だった。


「確かに素晴らしい剣舞であったが、そろそろ観客も飽きてくる頃だろう。今度はこちらからいかせてもらう」


 ナーガスは少し右肩を落とすと、右足を強く踏み込んでこちらに突進してくる。

 そして、フェンシングのような突きを繰り出した。

 俺はとっさに剣を構える。

 

 次の瞬間、手にしていたはずの木刀が乾いた音とともに俺の手から離れていた。

 その後に、左腕に痺れるような痛みが走った。

 防御の魔術を施したジャケットの上に受けたはずなのにかなり痛い!


「青年! 君の攻撃は効かない。そして、私の攻撃も防げない。降参した方がよいのではないかね?」


 眼前のナーガスが白い歯を見せて不敵な微笑みを浮かべる。

 俺はその顔を見ながら、立ち尽くすしかなかった。

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